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アウトサイダー (集英社文庫)

アウトサイダー (集英社文庫)

アウトサイダー (集英社文庫)

作家
コリン・ウィルソン
中村保男
出版社
集英社
発売日
1988-02-19
ISBN
9784087601404
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アウトサイダー (集英社文庫) / 感想・レビュー

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白義

この世に疎外感を感じる全てのものたちにとっての序論、魂の書。カミュやウェルズから始まりドストエフスキーにニーチェまで、多彩な人物たちの生の極みをきちんと扱いながら、自身のアウトサイダー論という独特の体系に昇華しているのが素晴らしい。この世に現実感を感じないアウトサイダーたちの、非現実からの脱出への試みを並べながら、最終的に神秘主義思想がその試みだと示唆するところで終わっているが、そうした結論よりアウトサイダーという人間の元型を抽出し提示したことが何より偉大。25歳の書とはとても思えぬ力作である

2012/07/25

sabosashi

 イギリスという階級社会にあって強靱な意志力にめぐまれた著者は、社会に異を唱えるひとたちをめぐって広範な研究を著わした。ときは1956年で、レビ・ストロースによって実存哲学に懐疑が投げかけられる直前。では現在での有効性はいかなるものか。ところが実存主義で挙げられる作品群を扱ってはいるものの、より幅広く、現存の秩序イデオロギーに相容れないひとたちを分析していく。出発点はサルトルやバルビュースなど、だからわたしがのっけから勘違いしたのも故なしとはいえない。

2021/06/19

ゆり

この本を読み終わるのに一年かかった。私のために書かれたと感じてから、正直読んでいて苦しくなる部分もあったが次々と繰り出されるアウトサイダー論にどこが自分を支えてくれるような、自分の考えは間違ってなかったと感じさせてくれる力強さがあった。自分がもやもやと感じていたものを、見事に言語化し客観的に眺める機会を与えてくれた。25歳でこれを書いた、作者はすごい。この本に出会えてよかった。

2018/04/12

サト

「アウトサイダー」とは何たるかをカミュ、ヘッセ、ドストエフスキー等の共通点から定義して説明する。それだけで全体の半分が割かれて、次に、ではどうすればいいのかが分析される。著名な文学作品から裏付けれる閉塞感には、希望がなく不幸で狂気で人間はただの蚤で虫けらにすぎないというのだから頭が痛い。最後には宗教の話になっていく。結論自体は、ほんの数行で済んでしまう。引用先が英文学や仏文学ばかりで興味のある作品が多かったのは楽しめた

2011/06/02

松本ポン太

著者はSF『賢者の石』『スペースヴァンパイヤー』で有名ですが、本作は文芸評論の大作です。カミユ、ヘミングウェイ、ヘッセ、ドストエフスキー等の作家や舞踊家ニジンスキー、画家ゴッホ、哲学者ニーチェ等も評論しています。クリエイターたちを局外者というか、斜に構え、深い洞察力を持ったアウトサイダーと論じ、実在のクリエイターのみならず作品中の登場人物も同じように扱われ、著者の博覧強記で押されるので、読んでいて混乱します。あまり馴染んでいなかった作家の作品も読みたくなったので、読書案内として面白いと思いました。

2020/06/27

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