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金木犀とメテオラ

金木犀とメテオラ

金木犀とメテオラ

作家
安壇美緒
出版社
集英社
発売日
2020-02-26
ISBN
9784087754520
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「金木犀とメテオラ」のおすすめレビュー

「これは嫉妬だ」東京育ちの才女vs.地方の優等生美女。閉ざされた学園で繰り広げられる青春と成長の物語!

『金木犀とメテオラ』(安壇美緒/集英社)

『金木犀とメテオラ』(安壇美緒/集英社)という物語のタイトルは、著者が「流星」を意味する言葉“meteor(メテオ)”をイメージして名づけたそうだが、そのタイトルが、自分の中でギリシャの断崖絶壁に建つ修道院群“メテオラ”のイメージと重なったとき、私は感嘆せずにいられなかった。俗世とのかかわりを断たれた聖域、それはこの物語の舞台となる学園を連想させるばかりでなく、物語が扱う少女時代そのものだからだ。

 12歳の宮田佳乃は、北海道の僻地にある中高一貫の女子校・築山学園に入学した。寮を備えたこの新設校は、全国から生徒を募っている。宮田は東京生まれの東京育ち、ピアノはコンクールに出場するレベルの腕前で、名門塾の六啓舘に通うほど学業優秀、東京の有名校を受験するはずが、とある事情でこの無名校に「追いやられて」きた。学園は進学校を謳うものの、生徒はやる気のない者ばかり。けれど宮田は、信じられない思いで入学式の壇上を睨んでいた。入試成績1位の者が任されるはずの入学生代表挨拶は、宮田の役割ではなかった。こんな田舎にやってきてま…

2020/4/11

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金木犀とメテオラ / 感想・レビュー

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hiace9000

『ラブカ…』以前の安壇作品。少女時代に特有の内に向かって閉鎖的な自己、学校という閉鎖的聖域と、その中で鬱屈や屈託を抱えながらも、光ある未来へ踠き進もうとする繊細で直向きな熱と、挫折との対峙。まさにこの世代のリアルな心の機微を、揺れや煌めき、嫉妬や翳りまで含め見事に描き上げる手腕。安壇さん、こんな素敵な作品があったことを今さらながら知り、感嘆! 読後「メテオラ」を検索。"奇岩群の上に建てられた俗世から切り離された修道院"と…。そこでやっとタイトルが含意する作品世界とタイトルの秀逸さを悟り、さらに感嘆!

2023/05/21

モルク

北海道の新設の中高一貫女子高に入学した東京から来た宮田と地元生奥沢。成績抜群の宮田はコンクールで入賞するほどのピアノの腕前であるが父の意思でこの学校に入学、奥沢は母子家庭で学費免除の秀才で容姿端麗。成績に関して常にライバル意識を持ちながらの12才と17才の時を描く。それぞれに家庭に関して深い悩みを持っているが本音で話すことがない二人。自分をさらけ出せたならもっといい関係が築けたんじゃないか?そしてこんなに美しい奥沢が母の恋人の餌食になるかも、時枝先生と恋が芽生えるかと勝手に老婆心も。その後も知りたい。

2022/12/06

おしゃべりメガネ

本屋大賞ノミネート作品『ラブカ~』の実力はやはり伊達ではなかったと再認識できる安壇さん作品でした。舞台は北海道の外れにある中高一貫の女子高で、謎めいたキャラ二人をメインに少し陰りのある青春物語が展開されます。ワケあって東京から一人できたピアノ弾きの「宮田」と絶対に他の生徒にあらゆる意味で負けるワケにはいかない首席の「奥沢」、この二人を中心に周りのクセありキャラも交わっていきます。最初はそれぞれがギクシャクしていた面々も高校2年にはすっかりそれぞれのキャラを理解し、なんとなく仲良しな雰囲気な良かったですね。

2023/06/04

ぶち

読友さんのレビューで無性に読みたくなった作品です。世間から隔絶されたメテオラ(修道院)のような学校で共に育つ少女たちの物語。コンプレックスゆえに仮面をとることができない奥沢叶と、根強い"一番"への執着を手放せない宮田佳乃の二人が主人公。お互いを苦手としながらも強烈に意識し合っています。著者の安壇美緒さんはそんな二人の心理を繊細に描いていて、焦燥を抱いていた中高生時代の自分を思い出してしまいました。脇役たちも魅力的です。爽やかな友情で接してくれた森みなみと北野馨。寮母の杉本さんや時枝先生のような大人たちも!

2023/09/17

ゆみねこ

北海道に新設された中高一貫校築山学園。成績優秀な2人の少女、東京からトップの成績で入学した宮田佳乃と地元から入学した美少女・奥沢叶。互いに家庭に問題を抱え、友達には言えない秘密を持つ。ライバルへの嫉妬、自分の将来への不安、思春期の少女たちの成長が眩しい。

2023/01/13

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