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若冲が待っていた: 辻惟雄自伝

若冲が待っていた: 辻惟雄自伝

若冲が待っていた: 辻惟雄自伝

作家
辻惟雄
出版社
小学館
発売日
2022-12-26
ISBN
9784093888899
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若冲が待っていた: 辻惟雄自伝 / 感想・レビュー

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trazom

日経新聞の「私の履歴書」は当りハズレの差が激しいが、二年前の辻惟雄先生の大当りの連載に加筆したのが本書。抜群に面白い。何度読んでも笑えるのは、文章に滲み出た先生のお人柄の賜物である。両親、恩師、弟子たちに対する眼差しが、感謝と優しさに満ちて本当に温かい。辻先生が「奇想の系譜」を著さなければ、今の私たちは、又兵衛、蕭白、若冲、狩野山雪、国芳、芦雪に出会えてなかったかもしれない。パトスをもって美術史に向き合う辻惟雄先生こそ、正に「奇想の美術史家」(山下裕二先生)なんだ。こんな幸せな気持ちになる本は久し振りだ。

2023/02/16

パトラッシュ

又兵衛、蕭白、若冲らの作品は辻さんの紹介で初めて知っただけに、回想の「私の履歴書」は興味深く読んだ。医者になるつもりが病気で断念して美術史の世界に転じ、恩師の紹介で奇想の画家たちに開眼し、江戸絵画の再評価を促すまでになった経緯は、ほんの少し道がずれていたら若冲ブームも訪れなかったかもしれない。また著者が日本美術の特質とする「かざり」「あそび」に注目するきっかけや、同級生の高畑勲との関係から絵巻物をアニメの源泉と考えるなど、美術の見方を変える補助線が「待っていた」ように現れるのは本当に偶然かと思えるほどだ。

2023/03/26

Mirror

亡き義父と共に訪れた奇想の系譜展 辻先生が、掘り起こしてくれなかったら出会えなかった作品達。多くの方が慕うのは人柄ゆえであることがよく分かった。

2023/03/18

飼い猫の名はサチコ

伊藤若冲を現代の人気画家に蘇らせた立役者の先生の自伝。先生の人生において、色々な縁の繋がり、巡り合わせがうまくハマらなければ、今、一般人が若冲の名を知り、美術館で若冲の絵の前で心ゆくまで見惚れる贅沢は味わえなかっただろうと思う。感謝して読了。

2023/12/08

かじ

展覧会場の物販で見かけて、辻氏については、若冲といえばということでお名前だけは目にしたことがあって、どんな研究者なのか気になっていたのだが、ようやっと触れる機会を作ってみた次第。医者をめざしての進学から美術史への転身、安保闘争の経験、そして「奇想」、研究者へと、辻氏が歩んできた道が、我々が若冲作品を鑑賞できるようになるための道筋そのものになったんだろう。近年も「かざり」がテーマの展覧会があったように思うが、その観点がここから始まったものかと思うと興味深かった。江戸絵画、これからも大切に堪能しよう。

2023/04/03

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