流転の海 第2部 地の星 (新潮文庫)
流転の海 第2部 地の星 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
輝やんがその作家生命を賭して書いたと思われる彼のライフワーク二作目は、故郷南宇和編。自然に囲まれた彼の地でも、熊吾の周辺では相変わらず事件が起き、人が亡くなっていく。ある意味、粗野の塊みたいなこの男だが、実は思いやりに溢れ、言葉の端端に教養を感じさせるのである。よって憎めない。「何がどうなろうと、たいしたことやあらせん」。この勢いのまま、次巻へ。【動物虐待・婦女子へのDVあり】
2019/01/11
KAZOO
この作品を読んでいると若干辻原さんの作品とかぶるような感じもあって既視感があります。それにしても子どもを50を過ぎてから得て大阪から宇和島に主人公は引き込んでしまいますが、当時としてはもう引退をと考えるのでしょうがエネルギーの塊のような感じですね。今の時代にはおさまらない感じの主人公で、当時の昭和の熱気なども感じられます。
2017/03/13
かみぶくろ
第一部を読み終わったあたりから薄々感づいていたけど、この大長編、ものすごい傑作なんじゃないかという予感がしている。多様な登場人物が織りなす些細な喜び怒り哀しみ楽しみ、そして生き死にを、満天の星々が祝福している、そんな感覚に陥る。まだまだ先は長いけど、そのことが嬉しい。
2018/12/03
ジェンダー
今回は前回と違い主人公の周りでいろんな方との再会と死。つくづく寿命というのはわからないものだと思う。今も昔もそうではあるけれど満足して死んだ方も入れば満足出来ずにこの世を去った人がいる。今回は後者のような気がする。後悔してももう遅いと良くいうけれどまさにその通りだと思う。そしてどんな事情があれ自分の親に親孝行するのは当たり前でもあるし大事であると改めて感じました。主人公が故郷に戻って田舎というのはのどかで良いなぁと思う反面噂はすぐ広まるしまた都会の人間が田舎に行くと物足りなくまたさみしくなる物かと思う。
2014/08/06
33 kouch
故郷での伸仁との触れ合いや自然が描かれる1冊。ただ村の人の描写は辛辣。「閉鎖性という言葉で一括りに出来ない底意地の悪さが蠢いている。思いもよらぬ陰湿な噂話はすぐに広がるが、耳の痛い真実は頑固に拒否し、常に数の多い方に味方し、体制におもねり、権威に平伏し人々の顔と腹はいつも異なる」。肥溜に伸仁が落ち、その畑主に熊吾がクレームに行くシーンが印象的。畑主の曾祖母は過去に落ちたものは一人のみ、危険でないと言い張る。その一人は死んだのか、言い寄る熊吾にそれはあんただしっかり生きとると答える曾祖母。まるでコメディ
2024/02/12
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