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暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫 ハ 32-1)

暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫 ハ 32-1)

暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫 ハ 32-1)

作家
ロバート・ハリス
Robert Harris
後藤安彦
出版社
新潮社
発売日
1996-08-01
ISBN
9784102493014
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暗号機エニグマへの挑戦 (新潮文庫 ハ 32-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

読む前は天才数学者が、ナチス・ドイツのエニグマによる暗号を、時間との戦いの中で解いてゆく物語かと想像していた。そこにサスペンスを置いていたのだ。ところが、これは予想していたのとは違って、遥かに血肉を持った物語であった。謎の恋人クレアを追う過程で明らかになっていくのは、エニグマを巡る世界戦争のスケールの、しかも高度に政治的な事柄である。「カチンの森」がこんなところに登場してくるのもまた予想を超えていた。また、最後の第7部は、きわめて映像的でありながら、あえて全てを映像として描かないが故に深い余韻を残す。

2017/02/07

ケイ

2017年読了一冊目。「非情の海」を昨年に読んで初めて膨大な数のイギリス船がUボートに沈められたかを知った。物資を得るためにアメリカとの往復が必要になる。大西洋を横断するイギリス船団に対し、底でじっと攻撃の時を待つUボートの恐ろしさが身に沁みた。だから、このタイトル、エニグマの解読にイギリスがどれほど死力を注いだか想像できる。しかし、この作品は一筋縄ではいかないのだ。エニグマの解読…という仕事を与えられた数学者が最も追い詰めようとしたものは何か。そこに強い意志がある事がジュリコの背中を逞しく見せた。

2017/01/01

扉のこちら側

2016年717冊め。【203/G1000】純粋に暗号読解に挑む話と思いきや、ロマンスも絡めたサスペンス。輸送船団の扱いが本末転倒な気がするのだけれど、肉を切らせて骨を断つ戦術なのか。ネタバレせずに感想を書くのが難しいが、史実とフィクションをうまく絡めていると思う。

2016/09/12

nobby

エニグマから暗号ばかりイメージした自分は、少し詰め込み過ぎな印象で読んだ…舞台は第2次世界大戦中の英国、護送船団をめぐる独Uボートとのせめぎ合いは暗号解読に委ねられる。孤軍奮闘するジェリコの恋愛要素まで絡める展開は圧巻だが、その分ちょっとスピード鈍るのが残念…史実も交えて丁寧に描かれるも、最後に語らせ過ぎな真相が強引な感もあり。暗号を取り上げる戦争作品に共通して、その襲撃予測がついていても解読済を気付かさないように一定の犠牲はやむを得ずという方策が悲しく切ない…

2017/04/05

まふ

「暗号」という込み入った話が続くが最後に俄然ハードボイルドタッチとなってナルホドとカタルシス感を味わった。第二次大戦時ドイツのエニグマ暗号解読のため英国軍は暗号解読機関に優秀な数学者を集めて解読にかからせるがなかなか解読できず被害は甚大化する。主人公の数学的天才トム・ジェリコは神業的インスピレーションで難問を解決する。一方、ロシアによるポーランド兵士1万人虐殺という「カチンの森の惨劇」がこの過程で明らかになるなど、もっともらしい組立がドキュメンタリー的味わいをこの作品に与えてさすが、と感じた。G1000。

2023/05/17

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