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ヨルノヒカリ (単行本)

ヨルノヒカリ (単行本)

ヨルノヒカリ (単行本)

作家
畑野智美
出版社
中央公論新社
発売日
2023-09-07
ISBN
9784120056901
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ヨルノヒカリ (単行本) / 感想・レビュー

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のぶ

こころ暖かで良い話だった。主人公はふたり。いとや手芸用品店を営む木綿子は、35歳になった今も恋人がいたことがない。片や台風の日に従業員募集の張り紙を見て、住み込みで働くことになった28歳の光は、母親が家を出て以来“普通の生活”をしたことがない。そんなふたりがひとつ屋根の下で暮らし始めた。本作が恋愛の話かどうかはいろいろな意見があると思うけれど、人と同じになれない自分を抱えて、誰かの優しさにおびえて、それでも光を求めてうずくまっている1人きりの寂しい夜を包み込む。ふたりの幸せを願わずにいられない一冊。

2023/09/18

いつでも母さん

「でも、言葉で説明できるようになんて、ならなくてもいいんだと思います」ラスト近くに光に言わせてる。畑野さんの作品は心の奥深くに響く。時に残酷に時に慈悲を持って、そして今回のように優しく届く。喉が詰まって言いたいことが思うように伝わらない経験はないだろうか?大人だからってみんな器用な訳じゃない。みんな同じ感じ方でもない。そこの塩梅が実に巧いのだ。寂しさの中の温もり。木綿子と光だけの空気感が好きだ。

2023/09/30

hiace9000

読み始めしばらくでわかる書名『ヨルノヒカリ』の意外な意味。だが読後の余韻と共にふわりと浮かび上がるのは、書名が醸す得も言われぬ暖かみや、切なく煌めく希望を思わせる含意ー。嵐の夜、「いとや手芸用品店」の店先に漏れた光が主人公・光にとって救いのヒカリとなったように、光の存在もまた木綿子にとってかけがえのない希望や安心をもたらす労りのヒカリとなっていく。「多様性の理解」を少し掘り下げて作品に織り込むことで、単なる恋愛小説とは異なる味わいと"これから"を見せてくれる。登場人物たちの優しさの芯にある強さが心地よい。

2024/03/23

tetsubun1000mg

去年の9月に発売された「若葉荘の暮らし」に次いで2作目。 前作が作家デビュー10周年とのことだったが、この作品は登場人物の設定やストーリーも非常に好みで気に入りました。 昨年書評紙「本の雑誌」の北上次郎氏が薦めていたのが分かる良い作品。 ネグレクトされた孤独な調理経験のある若者が、住み込み勤務者募集チラシの見間違いで手芸品店の面接を受けることから始まる新しい暮らし。 8歳違いの女性店主も恋する気持ちが起きてこない事で苦労して生きている。 二人の関係が、ゆっくりと気持ちが通じてきて温かくなっていくのがいい。

2023/11/21

kotetsupatapata

星★★★☆☆ 令和の人間関係を象徴するような穏やかなストーリー。恋愛をしたことのない木綿子と、家族の温もりを知らない光の二人は、よくある「友達以上恋人未満」よりかは、家族というか同士のような関係に見えました。 互いに踏み込みたくても踏み出せないもどかしさは、正しくハリネズミのジレンマと呼ぶに相応しく、読んでいるこちらも二人の背中を押したくなるやり取りでした。 世間の好奇の目に負けずに二人の選んだ幸せを信じて、共に歩んでもらいたいものです。

2024/01/03

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