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孔子伝 改版 (中公文庫 B 20-5 BIBLIO)

孔子伝 改版 (中公文庫 B 20-5 BIBLIO)

孔子伝 改版 (中公文庫 B 20-5 BIBLIO)

作家
白川静
出版社
中央公論新社
発売日
2003-01-01
ISBN
9784122041608
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孔子伝 改版 (中公文庫 B 20-5 BIBLIO) / 感想・レビュー

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イプシロン

本当に感動した著作の感想はすぐには言葉にできない。言葉にならないのだ。それでもキーボードーに向かう愚かさよ。本文を読みつつ何度も深く吐息し、沈思黙考した。だが先へと進むと、先に沈思黙考して辿りついた以上の深い哲理が示され、またしても沈思黙考せざるを得なかった。そうしてあとがきを読み終えたとき、感想など書けない次元の絶望感に打ちひしがれた。しかし、それこそが白川静が用意した場所であり、著者が望んだのは読者一人一人がその絶望から歩みだす勇気を持って欲しいという願いに似たなにかなのだろう。『論語』を、

2020/10/02

うえぽん

中国古代文学・文字の大家が、歴史的事実に即して孔子とその弟子達、批判者達の実像に迫った書。父親の名も知れぬ巫女の子であった孔子は、長らく亡命者であり、政治的手腕はなかったが、その偉大な人格ゆえに、弟子達が言行を記録した。その最も忠実な記録とされているのは論語だとするが、それでも編纂期も編者も不明で、古典として読むことの困難さが理解できる。論語を倫理道徳を中心とした格言集的なものと捉え、五経などを統治に関する官僚の必読書とされたイメージを脱し、伝え残る言葉を発した孔子の実際の境遇に想いを至らせる画期的作品。

2024/03/03

傘緑

「孔子の言動には、人が夢みるときのような、何か美しいものを感じさせる…また、何かの幻影に怖れおののくような姿がある」この本は『伝』であり『論』ではない。呪者・白川静は「権威をもって、それも穏やかな権威をもってすべてを語っている(ボルヘス、オラル)」。巫女を母として呪の世界に生きた世界最古の思想家・孔子、彼は挫折した革命者であり、政治家であった。その敗北と亡命、流謫、「殺すもの咎なし」という死に裏打ちされた絶対の自由の内で、始原の思想は築き上げられた。「思想は始原において、矛盾と魔性を孕んでいる(呉智英)」

2016/10/29

Tomoichi

宮城谷昌光の「孔丘」を買うはずが、白川静先生のこっちを買う。いつも通り先生の本は難しいが、リアルな孔子や儒教ってこうだったのかって読ませる。もう少し支那古代思想の知識がないと先生の本は読み込めない。不甲斐ない自分です。

2023/12/30

ひよピパパ

東洋学の巨知、白川静氏による孔子評伝。古代文字文化への深い洞察から孔子の実像を描き出す。「孔子の世系についての『史記』などにしるす物語は、すべて虚構」「『老子』が『荘子』より後の成立」「儒家に対するきびしい批判者とされる荘子は、その精神的系譜からいえば、むしろ孔子晩年の思想の直系者であり、孟子は正統外の人」など、見解が結構ラジカル。自身の持っていた固定観念が揺さぶられて刺激的だ。類似する事柄を何度もなぞりつつも、なぞるごとにより深く掘り下げていく論の展開は圧巻。やや難解だが読みごたえあり。

2020/05/07

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