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サーカス団長の娘

サーカス団長の娘

サーカス団長の娘

作家
ヨースタイン・ゴルデル
Jostein Gaarder
猪苗代 英徳
出版社
NHK出版
発売日
2005-02-01
ISBN
9784140054758
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サーカス団長の娘 / 感想・レビュー

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眠る山猫屋

眩暈がするような螺鈿細工の煌めき。語るべき物語を無限に抱えたペッテルの生涯。しかし語るべき物語はペッテルから溢れ、ペッテルはそれを切り売りする道を選ぶ。だからこの物語の中で繰り返される〝サーカス団長の娘〟のモチーフは、スパイラルを描いて悲劇に結ばれてゆく。〝蜘蛛〟と呼ばれ、文学界のフィクサーになったペッテルは終始孤独だ。彼は豊かだが、自分が紡いだ物語の断片に翻弄され墜落していくのに最後まで気づけない。インセストの罠は少々陳腐だが、物語の結びかたは鮮やかだ。ペッテルの人生の締めくくりも、小説の終り方も。

2020/04/02

星落秋風五丈原

色とりどりの小箱が入れ子になったチャイニーズボックスを思わせる。物語の中にいくつもの独立した物語があり、社会風刺、文明批判もあれば、ミステリ風のサスペンスもある。主人公にしかその姿が見えないという小男メートルの幻出はゴルデル一流のマジックリアリズム。

2005/03/21

愛玉子

天性のストーリーテラーだった少年は、作家たちに小説のネタを売る商売を始める。いくらでも湧いてくるアイディアは高く売れ、彼の人生は順風満帆のはずだった。ストーリーに組み込まれた話の種はどれも奇想天外で面白く、一冊で何冊も読んでいる様な気分を味わえる。中でも彼がとりわけ気に入っている話が『サーカス団長の娘』。少しずつ形を変えながら繰り返し語られるその物語が、やがて彼の人生を蝕んでいく。破滅がわかっていても逃れることが出来ない、ギリシア悲劇の予言のように。ちなみに『ソフィーの世界』とは全く別系統の物語。

2010/03/09

熊猫

物語の神になりそこなった男の物語。原因は愛。 入れ子式の小説が面白くもあり。放漫な男の人生が痛々しくもあり。 オチにつながるキャラクタが登場した瞬間にネタバレしちゃうのが惜しいな。

2015/09/26

読み終えてから『ソフィーの世界』の同著者だと知った。次から次へとアイディアを生み出すペッテル。アイディアを売り、己自身は表に出ない。ファンタジー工房とまで呼ばれた彼が半生を綴る。涌き出るアイディアと彼に影響を与えた女たち。破綻していく【作家援助】辺りにもう一山ほしい気もする。完璧にはほど遠い一人の男としてのラスト。

2014/03/11

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