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スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)

作家
カート・ヴォネガット・ジュニア
和田誠
伊藤典夫
出版社
早川書房
発売日
1978-12-31
ISBN
9784150103026
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スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

本書は、著者のカート・ヴォネガット・ジュニアが体験したドレスデン空爆に徹底的に拘泥した小説である。第2次大戦のヨーロッパ戦線が終結したのは、ドイツが無条件降伏した1945年5月8日。そして、ドレスデンへの空爆がなされたのが同年2月13日の夜だ。作家は、その当時捕虜としてドレスデンにいた。母国アメリカによる空爆で、彼自身もあわや命を落とすところだった。その日、ドレスデンで命を落とした人は13万5千人。理不尽というよりは不条理な体験だったことだろう。作家はその無益さをこういう形でしか表現しえなかったのだ。

2017/01/05

こーた

ぼくの祖父は著者と一歳ちがいで、若いころ軍隊にとられて満州へ行った。前線へ送られるまえに戦争が終わり、幸運にというべきか、さほど悲惨な目には遭わずにすんだ、と聞いている。冗談など滅多に言わない生真面目な性格だったが、酒に酔うと饒舌になって、当時の話をした。軍隊の生活というのは現代からみるとひどく滑稽で、聞かされる僕らは大いに笑った。それでも、ほんとうに過酷な場面はあまり話したがらなかったようにおもう。祖父は戦後の日本を愛していたし、そのおなじ国がかつてやった、途方もなく愚かな戦争を心の底から憎んでいた。⇒

2020/04/22

kinkin

初ヴォネガット。うーんこれは一度読んだくらいではわからないというか、何度読んでもわからなきっと。分かる必要がないのかあるのかそれがわからなくなった。他の読メさんの感想を読んでやっとおぼろげながらこの本の全貌が少しわかったような次第。でもまだまだ読みが足らないのだきっと。もう一度読んでみよう落ち着いて。

2016/07/25

新地学@児童書病発動中

【カート・ヴォネガット先生お誕生日会】時間の流れから自由になった主人公のビリーが体験する滑稽かつ悲惨な経験を描く小説。トラルファマドール星人と言うSF的な要素も導入されている。普通の小説の基準で考えたら、この小説は失敗作である。「そういうものだ」という文が繰り返され、プロットは支離滅裂で、まともな登場人物はいない。自国軍からドレスデン無差別攻撃を受けたヴォネガットは、これを書くことでしか心に負った深い傷を癒すことはできなかったのだろう。発狂するかわりに道化になって、この世の不条理に一騎打ちを望んだのだ。

2015/11/13

ケイ

ドイツ人の友人がいる。彼の身内はナチ党員ではなかったので、男は全員ロシア戦線に送られて帰って来なかったそうだ。その家族のお宅にも滞在させてもらい、戦中戦後の話も色々聞いたが、彼らが唯一戦争の事で非難めいた事を言ったのが「ドレスデン爆撃」だった。なぜあそこまで破壊しつくしたのかと悲しそうに語っていた様子。読みながらそのことばかり思い出していた。ドイツ系移民のアメリカ人である作者が、SFの形式をとって1960年代に真面目に取り組んで書いたのだなとしみじみと思う。

2015/09/09

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