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日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-5)

日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-5)

日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-5)

作家
石黒達昌
伴名練
出版社
早川書房
発売日
2021-08-18
ISBN
9784150314941
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日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-5) / 感想・レビュー

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buchipanda3

短篇選集。この感じをどう表現したらいいだろうかと思ったら、編者が解説で「最も冷徹で、最も切実な生命の物語」と題しており、まさにそれだと。淡々と事実を羅列するかのような文章ゆえに却って妙にリアルさが醸し出され、これはひょっとしたらどこかで実際にあった話ではと錯覚してしまいそうになる。その現実と虚構の絶妙な曖昧さに思考の感覚が酔い狂わされ、物語に込められた科学と人類の関係に大いにざわつかされた。小説という虚構がもたらす可能性を改めて感じる。そして日常も既にフィクションの領域という著者の言葉にドキっと。

2021/08/22

ひさか

SFマガジン02年3月号希望ホヤ、5月号冬至草、小説トリッパー96年夏季号王様はどのようにして不幸になっていったのか?、すばる01年11月号アブサルティに関する評伝、文學界99年3月号或る一日、海燕95年6月号ALICE、角川春樹事務所00年人喰い病:雪女、海燕93年8月号平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,、の5つの作品を21年8月ハヤカワJA文庫から刊行。伴名練さん編によるシリーズ3作目にて最終巻。希望ホヤ、ハネネズミの話が面白い。伴名さんの解説が読応えあります。

2021/11/03

geshi

SF設定を出発点にリアリティーある科学書のような筆致によってそれが実在するのではと思われてくる理性と幻想の交差の不思議な味わい。『冬至草』冬至草を原爆と重ねていて、人間の血を吸って成長する姿に魅入られてしまう科学者の異様が映る。『雪女』怪談の医学的方向からの語り直し。そこに浮かび上がるのは人間の情念であるテーマの着地。『平成3年~』ハネネズミの実在を信じさせるために論文形式にして写真やデータで下支えする手法の面白さ。人間の傲慢と無力をまざまざと見せつける。

2021/09/09

シキモリ

主に自然科学、生物化学的なテーマをルポタージュ調の文体を以て俯瞰的な視点からノンフィクション風に淡々と綴る作品集。人の血液を養分とする植物の生態を描いた「冬至草」と妖怪譚を特異体質という観点から描く「雪女」の二作が表題作で、人智を超えた種のメカニズムを研究者の執着質な探究心と共に紐解いていく。併録作「希望ホヤ」と「平成3年5月2日〜」もまた然り、人間の傲慢さによって滅び行く種を通じて、自滅という形での人類滅亡を暗喩するという冷徹さ。人間の驕りと科学の限界、生命の摂理を前にして人間の力は如何に無力なのかと。

2021/09/12

シタン

科学(特に医学)に携わる者の苦悩、科学が持つ負の側面や限界を鋭く抉り出す。SFというよりもミステリの読み味に近いが、ある意味で科学はミステリよりも魅力的な謎解きといえる。個人的にはなぜか安部公房を思い出した。(ちなみに安部公房は一般にSF作家ではないが、日本SFの源流と言われることがある)「平成3年〜」は『新化』で読んでいたが、横書き・論文風スタイルだとかなり印象が変わる。そして『新化』にはなかった「この本を読まれた方へ」が素晴らしい。今回はSFサイドからの出版だけど、SF好き以外にも読まれて欲しい。

2021/09/03

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