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死の泉 (ハヤカワ・ミステリワールド)

死の泉 (ハヤカワ・ミステリワールド)

死の泉 (ハヤカワ・ミステリワールド)

作家
皆川博子
出版社
早川書房
発売日
1997-10-01
ISBN
9784152081148
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死の泉 (ハヤカワ・ミステリワールド) / 感想・レビュー

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nobby

いやー、皆川さん凄い!そして未だ脳内混乱整理中…第二次世界大戦下ドイツを舞台に、史実と合わせて重厚に表される耽美な世界に入り浸る。不死や美声を求めるあまり、人体合体や去勢など人の倫理に背く行為に狂う医師。その偏った芸術愛は、国家による虐待が生んだ民族間の優生や単なる私欲にまでゆっくりと絡んでいく。手法や視点を変え描き徐々に繋がる展開は、それほど大きな驚きは無く読みやすい。III部最後で明らかになる事実にハッとするも、想定範囲内で納得。それが「あとがきにかえて」なる7頁での反転、そしてラスト一行読んで絶句!

2017/12/20

クリママ

表紙を開いていけば、そこにも表紙がある。奥付も2つ。どういうことなのだろう。いったい誰が書いた本なのだろう。第二次世界大戦末期のドイツ。国民を北方系アーリアンに改良するためのナチの保育施設、生命の泉「レーベンスボルン」。戦時中の悲惨さ、戦後の猥雑さ。外の世界から孤立した屋敷のフェルメールの絵と少年の声、医学実験、そして、崩れかけた古城、岩塩の坑道。収容所の発案者、推進者、医師は狂人ではなかった。しかし、それを強要された人は狂った。現実と幻想の間に取り残される。

2016/12/01

けい

読中には全く感じなかった疲労感が読後に一気に噴き出す。前半は緻密にナチスドイツの世界観を積み重ね、その中で行われた非人道的な行為を浮き彫りにする。そしてその世界観を引きずりながら大戦後の世界へ移行し、ミステリー作品として世界を展開する。そして最後にやっと整理したストーリーを一気に覆す、悪魔の様なあとがきが・・・。文中に頻繁に登場する「ボルシェビキ」の意味さえ知らなかった私としては、時代背景を勉強して再挑戦したい作品でした。今回は図書館本ですが、手に入れて再読しよう!面白かった。

2013/06/15

佐島楓

最後の一行に至るまで、気が抜けない。醜悪なのに、どこか美しい。ゆえに、目が離せない。「薔薇密室」もそうだったけれど、読了後一種の酩酊状態になる。どこまでが、真実なのか・・・。

2014/07/06

藤月はな(灯れ松明の火)

幻想的かつ露悪的な文体に描かれたのは美しき声に固執する故に狂気に塗れる博士、去勢歌手、一夜を過ごした少女に恋をした愚かな男性の傲慢さを象徴する騎士、底知れない絶望と狂気によって自らを失った人妻、ナチスの選民思想などの退廃的な空気が漂ってきて酩酊状態です。さて本を閉じた後にあるのは虚構か真実か・・・・。文庫フリークさん、財布にジャックさんの忠告(?)どうり、確かにあの仕掛けは混乱しますね・・・・(泣)

2011/05/01

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