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往古来今

往古来今

往古来今

作家
磯﨑 憲一郎
出版社
文藝春秋
発売日
2013-05-10
ISBN
9784163821306
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往古来今 / 感想・レビュー

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梟をめぐる読書

私の記憶のなかの過去と現在が、あるいは一度も交わることのなかった他者の人生が、ひとつの作品中で区別なしに混じり合う。私の記憶のどの瞬間にも特権的な時間などないのだということ、そればかりか私と〝私以外の誰か〟の人生さえまた等価なのだということ。それを近代文学というフォーマットのなかで表現しきってしまう磯崎憲一郎は、やはり只者ではないのかもしれない。文学的な手法のあざとさが目につく場面はあるが、圧倒的な共感を込めて語られた山下清やカフカや無名のハワイ移民の伝記に反感など感じるはずもなく。素直に愉しめた一冊。

2013/05/19

kuukazoo

面白かった。あとがきにあった「段差や転調を作者の意図として書かずにいかに前に進めるか、どこまで小説に忠実でいられるか、だけを考えていたように思う」の通り、小説という乗り物の一番前に乗って眼前の風景がどんどん変化していくのをただただ楽しんだ感じ。どこへ連れてかれるのかその迷走ぶりにどきどきしながら。この人の書くものの楽しみ方がやっとわかった気がして、うれしい。

2015/08/21

OjohmbonX

シンボリックな物や事(子犬や母親の送迎や枝投げ等)への驚き(どうしたことだ!の感嘆符)の羅列は、例えばガルシア=マルケスの「族長の秋」で意味を見出さず事物をごろごろ転がしたままにされた記憶の前では退屈だし、それら事物の時空間を隔てた反復は、意味でなく言葉のレベルで反復を徹底してみせた金井美恵子の「ピース・オブ・ケーキ~」の前で退屈だ。むしろ脱走する山下清が衣類を紐で十字に縛る瞬間や、大人達が嫌悪を抱くトウキビの山に子供達が駆け上がる瞬間、意味が無に帰す瞬間に、個人的にはこの著者への歓びを一貫して感じてる。

2013/06/30

てん・てん

ハナシがあっちこっち行くんで難解だった。ワタシ的読解力の無さにちょっとガックリ・・。『じっさい」とか『ちょくせつ』とかが平仮名なんだけど、これって文学テクニックなのかしら。 横尾忠則さんの装丁もさすがと言っていいのか悩んじゃう・・。 アートや文学に程遠い自分を感じちゃいました・・。

2013/06/26

金平糖

B+。

2018/03/24

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