まぼろしのパン屋 (徳間文庫)
まぼろしのパン屋 (徳間文庫) / 感想・レビュー
シナモン
美味しそうな表紙につられて借りてきたけど、思ってた内容と全く違った。え、社会派な話?と思いきやファンタジー要素も加わって、なんとも不思議な読み心地。「しあわせとはなんだろう。それは自らのこころに寄り添い、正直に生きることだ。」現実的にはどうかなぁと思いつつも、最後の主人公の決断に爽やかな気持ちで読了でした。他、食にまつわる短編が二つ。人情味溢れる一冊でした。
2023/04/19
佐々陽太朗(K.Tsubota)
食べ物にまつわる短編が三つ。いわゆる人情噺といって良いのだろうが、何か風変わりなものを感じる。それはヘタをすればそれが違和感となって読むことを楽しめない種類のものである。食べもので言えば、口に入れた瞬間「ん、なんだこれは?」とちょっとしたクセを感じることがあるが、それである。それがその料理の良さでもあるのだが、人によってはそのクセが気に障って箸を置いてしまう類いのものだ。そのクセは松宮氏の独特の視点に帰せられるものだが、もう一つ、文章の荒さにも起因している気がする。特に第三話は言葉の問題もあり読みづらい。
2018/08/14
紫 綺
なんやこれ、面白いやないけー!(笑)パン、ホルモン、おでん…食べ物をめぐる中編1編、短編2編の不思議な物語。描く行動は荒いが、心情は細やか。昭和チックな懐かしさ満載。
2018/09/06
おかむー
表題の中編とふたつの短篇からなるこの作品。ハートフルで括るには淡々とした描写ながら「いろいろあったけど結果オーライ」なおハナシですね。『よくできました』。一篇ごとに“パン屋”“ホルモン屋”“おでん屋”が軸になるが、企業モノ、群像劇、一人語りとそれぞれ方向性は変えつつも、あとがきで著者自身が言っているように“どれも人間くさい話”でよい感触です。なかでもやはり表題作の主人公・高橋がスケープゴートにすらされないうだつのあがらなさゆえに大企業の社長に手が届くまで昇ってゆく「塞翁が馬」っぷりは皮肉が効いてますね。
2015/09/27
papako
こちらのレビューが気になって。なんだか面白かった。大きな会社の部長さん、東急田園都市線で座席争奪戦。妻はパン作りに夢中、自分はフランス小麦で大損、しかしあれよあれよと出世する。だけど彼が選んだ道は。。。外科のお医者さん、開腹手術して牛を一頭解体してホルモンを食べる。なんともなぁ。特攻服のヤンキーは車掌さんになって痴漢の頭をドアではさんだ!なんかクスッと笑ってしまう人情話。パン屋、泣いちゃったよ。誰にでも楽しめる感じじゃないけど、なんか良かった!お好み焼きソースも読みたい。
2018/08/11
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