いとはんのポン菓子 (光文社文庫 う 24-3)
いとはんのポン菓子 (光文社文庫 う 24-3) / 感想・レビュー
エドワード
米や雑穀を十倍以上に膨らますポン菓子を知っていますか。私の父の世代、戦後の物不足の時代を生きた人には懐かしい味だ。正式には穀類膨張機というアメリカ製の機械を日本で初めて製造した実話に基づく物語。大阪南郊で教師を務める橘トシ子は、太平洋戦争で空襲を受けた大阪で、食糧難に苦しむ人々、特に子供のためにポン菓子の製造を思いつく。彼女は工具や図面を自在に操るリケ女の先駆者だ。鉄を求めて北九州へ行き、職工たちの信頼を得、最後に日本製鉄の社主の理解を得る。ドラマティックな彼女の軌跡から、戦争の理不尽さが伝わってくる。
2023/08/29
陽ちゃん
ポン菓子製造機が、戦時中に大阪の若い女性の「子どもたちに食糧を食べさせたい」という強い思いから生まれたとは知りませんでした。大阪の旧家のいとはんだったトシ子が、鉄が手に入るという理由で単身、北九州の戸畑へ移住し、最終的に地元の職人や女性たちを巻き込んでポン菓子製造機完成にこぎつけるまでには、書かれている以上のご苦労があったんでしょうね。お陰で、平和な現在も美味しいポン菓子がいただけることに感謝しなくちゃ、と思います。
2023/08/11
まゆこ
★★★☆☆
2023/09/15
檸檬
Good
2023/08/22
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