KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

尾崎翠集成 (上) (ちくま文庫 お 37-1)

尾崎翠集成 (上) (ちくま文庫 お 37-1)

尾崎翠集成 (上) (ちくま文庫 お 37-1)

作家
尾崎翠
中野翠
出版社
筑摩書房
発売日
2002-10-09
ISBN
9784480037916
amazonで購入する

尾崎翠集成 (上) (ちくま文庫 お 37-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

青蓮

「第七官界彷徨」は再読。この作品のスピンオフ的な「歩行」「こおりぎ嬢」「地下室アントンの一夜」を読むと「第七官界彷徨」がより奥行きを持った立体的な世界に感じられる。時代の影響もあるのか著者が人間心理にかなり興味を持っていたのが解る。彼女の紡ぐ言葉、文章は細やかで繊細だ。「香りから呼ぶ幻覚」が個人的に非常に気に入りました。書簡などを見ると身内には結構葉すっぱな言葉遣いをしているのが面白い。「女流詩人・作家座談会」ではもっと詩は読まれるべき、男性詩人との闘争、シュルレアリスムについてなどを語っており興味深い。

2019/09/09

あんこ

幾度か読んだものも、初めて読むものも、読んでときめく。感覚的なのに、こうも惹かれる不思議さを孕んでいながら、読み終わってしばらく恍惚とする。それなのに、巻末の書簡は普段着の尾崎翠がいて、人間らしさを感じられた。

2015/04/14

しゅんしゅん

「第七官界彷徨」の不思議すぎる唯一無二な世界観に魅了される。繊細すぎるくせにズボラでどうしようもないこの感覚なんなんだろう。病や薬におかされた尾崎翠が生み出し幻像劇のようにも見えるがそれにしては理知的。登場人物の性格の設定がてんでバラバラになったり、急にすべてが同調的に流れたりする突発的なうねりが心地良い。どの人物もどこか寂しがりな尾崎翠の感性を反映しているようでしょんぼりしている感じなのが可愛かった。スピンオフ作品も味わい深かった。「書簡」のやり取りの中での北杜夫への偏愛ぶりもなんだか微笑ましい。

2021/10/18

冬見

「第七官界彷徨」分裂心理に執心する医者に植物の情愛研究へ没頭する肥料学生、ピアノの音程に憂鬱を感じる音楽学生の元で炊事係をする娘は人間の第七官に響く詩を探し廻っている。何度も読み返している作品で、尻尾を掴んだような気分になっては逃げられている。いつまでたっても世界を捕まえることができずにいながら、心は奪われ、この世界に囚われている。「歩行」幸田氏のおもかげを忘れるために歩く。こちらもふわふわと不思議な話。

2019/01/18

kaori

上・下巻ともに何回目か分からない再読。でも、何度読んでも可愛らしさにぐっときてしまう。どの作品も好きだが、やはり素敵なのは「第七官界彷徨」と「アップルパイの午後」。恋をしている人達の目まぐるしい感情の揺らぎ、焦燥や感傷、そしてシニカルなのにいじらしいのが何ともたまらない。

2013/12/20

感想・レビューをもっと見る