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こうしてイギリスから熊がいなくなりました (創元推理文庫 F-シ 10-2)

こうしてイギリスから熊がいなくなりました (創元推理文庫 F-シ 10-2)

こうしてイギリスから熊がいなくなりました (創元推理文庫 F-シ 10-2)

作家
ミック・ジャクソン
田内志文
出版社
東京創元社
発売日
2022-11-18
ISBN
9784488594046
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こうしてイギリスから熊がいなくなりました (創元推理文庫 F-シ 10-2) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

表紙の絵は解説の酉島伝法氏(←!?)が最も気に入っているものだそうです。熊苛めの歴史があり、野生の熊が絶滅してしまった英国を舞台にした、熊に纏わる寓話集。畏怖され、侮られ、利用され、苛められ、過酷な労働を押し付けられ、時には市民に扮してきた熊たち。そんな彼らも勿論、黙っちゃいなかった。その中で飛びぬけているのは「鎖につながれた熊」。これは熊苛めの歴史IF譚です。主熊公の名がサムソンなのでこうなる事は必然だったのが皮肉。ラスト2篇は住まう所が近くとも共存できない二者の落とし所を哀愁とシニカルさを込めて描く。

2023/07/09

nemuro

昨年11月「ジュンク堂書店札幌店」にて。長くて普通の文章のようなタイトル(原題「Bears of England」からの邦題)とそのタイトルに合わせたように縦長な熊が描かれた表紙イラストに惹かれての購入。収録は「精霊熊」「罪食い熊」「鎖につながれた熊」「サーカスの熊」「下水熊」「市民熊」「夜の熊」「偉大なる熊」の8篇。映像的で読む者の想像力がくすぐられる、そんな文章だと思う。デイヴィッド・ロバーツの細密な挿画(43点)が文章に同化し秀逸である。訳者あとがきの「イギリスでは十一世紀に熊が絶滅」が衝撃だった。

2023/02/08

すだち

イギリスには野生の熊がいないそうだ。あとがきの英国動物乱獲史が興味深い。そしてこのタイトル。人に混じり暮らす熊は労働者、サーカス要員、血みどろで闘わせられるなどほぼ悲運。人並みに暮らしていても、毛深い、気難しい、お腹でっぷりさんあたりは熊疑惑がかかるそうな。熊はある時は恐怖の対象で、ある時は愛されクマさん。二本足で立つのが良くも悪くも人っぽいとの説。どれもブラック。熊が力をこめて抱きしめ続けた老人が「じゃがいも袋のようにくずおれた」が一番怖かった。

2022/12/21

n.k

水辺や地下の話が多いが、情景が目に浮かぶだけではなく、音や匂いまでしてくるスゴい本だった。 キャラクター・ぬいぐるみの可愛いイメージとは対照的な、大きく強く静かな熊。崇められたり、娯楽にされたり、労働力にされたり、、人間本意な付き合い方をした結果、いなくなっちゃう。それでも、一冊を通して人間は熊にはかなわないなとしっかり感じた。

2023/01/16

ふりや

「でっかくて かわいくて かしこくて もういない」11世紀にイギリスで絶滅してしまった熊をめぐる8つの寓話。時に人間に恐れられ、時に人間と共存した熊たちは何故、どのようにイギリスから去っていったのか。皮肉とユーモアを交えながら幻想的に描かれています。同じ著者の『10の奇妙な話』がとても面白かったのでこちらも読んだのですが、同じく挿絵を担当しているデイヴィッド・ロバーツ氏のイラストとの相乗効果がやはり素晴らしい!読み終えた時には不思議な余韻があり、ちょっと切なくなる作品です。酉島伝法さんの解説も良いです。

2022/11/28

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