致死量ドーリス 愛蔵版 <楠本まきコレクション>
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致死量ドーリス 愛蔵版 <楠本まきコレクション> / 感想・レビュー
真霜
蜜はドーリスになりたい、溜めて膨れてやがてその希みが致死量になるまで。漫画という枠組の限界に佇んだりはみ出したりしながら、一冊の本という体裁に形作られた唯一無二の作品です。楠本先生は読み手の存在を想定せずに描かれたそうですが、そういった無意識さに手を取る立場は惹かれるのだと思います。次々と容姿を変えながら曖昧なままで居る蜜の側に、気付けば寄り添ってしまう岸。破滅とも開放ともいえる物語は、不思議と閉塞感がありません。併録の「ツクヨミ」「月に日に異に」がまた味わい深くて異彩を放っています。
2024/01/02
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