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歳月

歳月

歳月

作家
ヴァージニア・ウルフ
野島秀勝
大石健太郎
大澤實
出版社
文遊社
発売日
2013-11-28
ISBN
9784892571015
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歳月 / 感想・レビュー

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兎乃

再読 / 文月葉月のナイトキャップ読書。パージター家の人々、その独白。個の孤独を内側に立たせ 空間の意義を放棄し 時空に漂い 内奥を凝視する、極めてエレガントに。物語の期間、ヨーロッパでは空前の犠牲を払った第一次大戦が起きているが、その“家”には希薄な蜻蛉のような ある種の暢気さが漂っている。それでも彼女は言う“To the New World!と。“We shall be free, we shall be free, Eleanor thought”…

2015/09/03

chanvesa

なんともつかみきれない。散りばめられる死は引きずることなく、生に転換するエネルギー源になることもなく、ある種の冷静さを湛えて時間が進行していく。エリナの世界観が「悲惨に満ちた世界」「すべての町角のすべての貼紙には死と書いてある」(483頁)といったものであることは「現代」とされている場面が第一次世界大戦後であることに由来しているとしても、どこかあっけらかんとしている。その心情に、強い意思や諦念があるわけでもない。ローテンションな無理を感じる。読み間違いの気もする。

2018/06/16

ケイトKATE

ヴァージニア・ウルフの小説を集中的に読んだが、『歳月』は面白くなかった。本書は、エリナ・パジターを中心としたパジターきょうだいの約50年の歴史が書かれている。ウルフの小説の多くは、登場人物の心の奥底に潜む言葉が語られるが、『歳月』にはあまり深く語られていない。さらに、エリナをはじめとする登場人物の造形も魅力を感じなかった。『歳月』は、『ダロウェイ夫人』や『灯台へ』に比べると劣っている。

2021/04/09

ぺったらぺたら子 

お湯がなかなか沸かない。ヘアピンを抜いて真鍮の湯沸かしの燈心をほぐすのだが、それでもなかなか沸かない。会話が詩となる娘セアラが話すにつれてくるくると廻り、或いは椅子で足をぶらぶらさせて馬鹿笑いする。母は踊って「そらっ!」と言う。時から切り離された表情の素晴らしさ。まとめれば内と外、詩性と散文性、此岸と彼岸、その結合の試み。「いつも別世界の話ばかりで/なんでこの世の話をしないのです?」「でもこの世の積りなのよ!」。これが著者の内部の対話であり、その答え。読後もセアラが私の中で永久に廻り続ける。くるくると。

2018/05/09

よしひろ

長い小説であり、The years(「歳月」)というタイトルどおり、長い時間経過を扱っているが、それそれの年代は緊密な関係がないような描かれ方をしている。それでも、最後まで読み終わったときに感じるのは、長い時間の経過そのものである。断片を描く中で、長大な時間を描くことができるのは、ウルフならではだと思う。翻訳がよいこともあるのか、文章も素晴らしく、何度も読みたいと思える作品。

2014/03/04

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