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磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (3) 逸楽と憂愁のローマ ヴィッラ・アドリアーナ

磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (3) 逸楽と憂愁のローマ ヴィッラ・アドリアーナ

磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (3) 逸楽と憂愁のローマ ヴィッラ・アドリアーナ

作家
磯崎新
篠山紀信
出版社
六耀社
発売日
1981-06-01
ISBN
9784897370057
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磯崎新+篠山紀信 建築行脚 (3) 逸楽と憂愁のローマ ヴィッラ・アドリアーナ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

ローマ郊外ティヴォリに建てられたハドリアヌス帝の別荘。造営には118年から133年までの15年間を要している。その後は3世紀ごろまでは改装が続けられたらしいが、やがて蛮族の石切場となり廃墟と化していった。残念ながら行ったことがないのだが、写真で見る限りでは損傷を受けながらも、存外に原型をとどめているようである。帝国内を巡遊したハドリアヌス帝らしく、アテネ風のポイキレやエジプト風のカノポスなど、なかなかにエキゾティックなものであるようだ。写真を見ての第一印象は、水との親和性が高いこと。そして実に広大なこと。

2021/05/29

夜間飛行

ローマ最盛期ハドリアヌス帝により築かれたヴィッラ・アドリアーナは、ヘレニズム世界の写しと組み合わせから成り、記憶と瞑想から生まれたメタファーだという。美青年アンティノウスを偲んで造られたカノプス池は、立ち並ぶ円柱や裸の青年像を映しながらいかにも静謐に古代の「逸楽と憂愁」を湛えている。起伏に富むローマの地形がまっすぐな街路を持たず、細胞のように成長する無数の建築複合体を生み出したことも、この柔らかな庭園作りに関わっているらしい。ルネサンス以降の建築にとって範例となった曲線は、廃墟の中にひっそりと眠っている。

2019/06/09

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