ピッツァ職人
ピッツァ職人 / 感想・レビュー
パトラッシュ
ナポリピッツァに魅せられた日本人青年が、学業や生活を捨てて職人となるべく本場での修業に身を投じる群像劇。シェフやパティシエで同じ話は紹介されるが、歴史の浅いこのこの分野でも決断したら一切ぶれない覚悟がすがすがしい。コネ社会のイタリアでひと筋縄ではいかない苦労を重ね、心が折れそうになりながら必死に食らいつく彼らの姿に、頑固な職人も打ち解けて深い師弟関係が築かれていく。世界大会での入賞は、そんなナポリへの恩返しだった。自分の求めるものを信じるがままに作り続ける、夢中になれる人生を摑んだ姿は幸福の青い鳩だろう。
2023/09/04
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
図書館に蔵書がなかったのでリクエストまでした(買えよ!)。井川さんの著書にハズレなし。1ページ目の1行目から引きずり込まれる。17歳でピッツア職人になると決め高校を中退した青年の物語。ピザとピッツアは別物。「人生をかけて夢中になれるものに出あってしまった人達」とはなんと幸せ者だ。その人たちが作るものが食べた人を幸せにしないはずがない。
2023/09/22
sputnik|jiu
ピッツァに全てをかけた若者(たち)の青春譚であると同時に、日本におけるナポリピッツァの黎明から現在までを紐解くクロニクル。 中村拓巳という若者の半生を軸としながらも、ナポリピッツァ、そしてナポリという街に魅せられた職人のエピソードが重奏的に紡がれ、本書はまさに「ピッツァ職人」の物語である。そこに描かれているのは人間の生き方であり、哲学であり、そして「ナポリピッツァ」という食文化が内包する歴史そのものだ。
2023/06/16
nobu23
ナポリのピッツァに魅了され、高校も行かずにナポリに渡り、最後には世界大会で入賞を果たした日本人ピッツァ職人を追ったノンフィクション。 ピザもといピッツァが食べたくなる面白さ。
2023/08/11
きゅー
井川直美の執筆にかける情熱が十二分に発揮された良書。18歳で単身ナポリへピッツァ修行に行った中村拓巳を軸に、関係する人々の人生やこの数十年の日本におけるナポリピッツァ受容の歴史が鮮やかに描かれる。著者とピッツァ職人との関わりの中心には信頼がある。それも一朝一夕のものではなく10年を超える付き合いがあるからこそ相手も胸襟を開き、酸いも甘いも味わった経験を語ってくれるのだろう。もともと著者は『シェフを「つづける」ということ』や『イタリアに行ってコックになる』など、イタリアンシェフについての著作がある。
2024/02/09
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