2023年発売の児童書(2023年2月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/2/23

人間の行動や生き方は、よく「道」に例えられます。
例えばドイツの詩人ゲーテは、こんな言葉を残しています。

“自分自身を信じてみるだけでいい。
きっと、生きる道が見えてくる。”

こんな言葉を残すくらいですから、ゲーテもきっと人生に悩んだことがあるのでしょう。だれでも一生のうち一度くらいは、「自分はなにをしたいんだろう、なにができるんだろう」と人生の意味を考えたり、「これからどうやって生きていったらいんだろう」と悩むこともあると思います。そんな時に助けになってくれるのが、自分ではない誰かの人生、生きざまをつづった物語。

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自分と同じような境遇に置かれたキャラクターに共感し、その考えを知ることで自分を見つめ直すことができたり、逆にまったく違う生き方をしてきた人や動物への憧れが、自分自身の夢につながったりと、物語は私たちにたくさんの感情と、ひらめきや目標を与えてくれます。

ここで紹介する6冊の豊かな物語から、ぜひあなたの人生にプラスとなる“なにか”を見つけてみてください。

人間に捨てられて、愛する少年と別れ別れになってしまった犬の数奇な運命の物語『パップという名の犬』

パップという名の犬

著:ジル・ルイス訳:さくま ゆみこ

出版社からの内容紹介

ジャーマンシェパードの雑種パップは、まだ数か月の子犬だが、体が並外れて大きい上に吠え癖があるため、人間に捨てられ、愛する少年とも引き離されてしまった。途方に暮れるパップを助けてくれたのは、フレンチブルドッグのフレンチだった。フレンチの仲間になり、七匹の捨て犬たちと群れをつくって生きることになったパップ。人間嫌いのピットブル、人間と犬の絆を信じるラブラドール、群れのリーダーの小型犬レディ・フィフィなど、個性豊かな犬たちが登場する。人と犬の間には、本当に「聖なる絆」があるのだろうか? ふたたび少年にめぐりあえる日は来るのだろうか? 動物をテーマに物語をつむぎつづける作家、ジル・ルイスの力のこもった新作。

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迷子の子ねこの本当の飼い主はだれ? 『ウィリアムの子ねこ』少年とねこの心温まるストーリーは、ひとりよみにもおすすめ

ウィリアムの子ねこ

著:マージョリー・フラック訳:まさき るりこ

出版社からの内容紹介

ある朝、ウィリアムは、
まいごの子ねこに出会いました。
「かわいい子ねこちゃん、きみ、どこからきたの?」
でも子ねこは、「ミュー、ミュー!」としかいえません。
そこでウィリアムは、お兄さんのチャールズとお姉さんのナンシーと一緒に、子ねこを警察署へ届け出ることにしました。
ところが、子ねこの飼い主という人が三人もあらわれて…? 

町の人たちを幸せにした子ねこと男の子の、心あたたまる物語。
『アンガスとあひる』で知られる絵本作家、マージョリー・フラックの絵本をひとり読みができるように読み物の形にしました。

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長生きのかっぱと、ごく普通の少女・ちよとの、年月を経た友情に感動!『がっこうかっぱの生まれた日』かっぱの優しい怒りに心を打たれる

がっこうかっぱの生まれた日

作:山本 悦子絵:市居 みか

出版社からの内容紹介

かっぱは人間よりもずっと長生きだ。池にも何百年もすむことになる。おれは、あちこちさがしていちばん気に入ったこの池をすみかに決めた。近くに村があるから、よく子どもたちがのぞきにくる。
ある日、おれは池に落ちた女の子を助けた。女の子の名前は、ちよ。家族とはなれてひとり、この村に疎開してきたという。いまこの国では戦争をしていて、大きな町には爆弾が落とされているらしい。ちよは学校のことをいっぱい話してくれた。ちよは、いっしょに学校にいこうと言ってくれた。学校にも池があるらしい。ところが、雪が舞う季節になって、ちよはぷっつり姿を見せなくなって……。

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風船みたいなオバケの正体は!? 「ホオズキくんのオバケ事件簿」シリーズ第5弾『学校はオバケだらけ!』

学校はオバケだらけ!

著:富安 陽子絵:小松 良佳

出版社からの内容紹介

2学期、学校のいろいろな場所で風船みたいなおかしなオバケの目撃情報が続いた。4年1組のオバケ探偵団、ホオズキくんとマサキとおマツは調査に乗り出すが、なかなか正体がつきとめられない。すると、同級生のユースケが「自分の落書きのせいでオバケが出たのかも?」と相談にきて……。
小学校4年生にしてオバケのプロ、ホオズキくんがオバケ事件を見事に解決! 富安陽子のちょっとこわくて、わくわくする読み物シリーズ、第5弾!

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物語の力で自由を手に入れたイソップ自身の物語を綴った『寓話に生きた人イソップ』美しいイラストで彼が生み出した寓話を楽しんで

寓話に生きた人イソップ その人生と13の物語

作:イアン・レンドラー絵:パメラ・ザガレンスキー訳:山下 愛純

出版社からの内容紹介

『ウサギとカメ』、『北風と太陽』など、2500年以上前に誕生して世界中で親しまれている寓話の数々。その作者イソップが、古代ギリシアに生きた奴隷だったことを知っていますか? 物語の力で権力に立ち向かい、自由を手に入れたイソップの生涯と、13の物語を、美しいイラストで綴ります。

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失敗もまわり道もムダじゃない! 自分にぴったりの仕事に巡り会うまでの紆余曲折の物語を鈴木のりたけさんが描いた『しごとへの道(1) パン職人・新幹線運転士・研究者』

しごとへの道1 パン職人 新幹線運転士 研究者

著:鈴木 のりたけ

みどころ

朝早くから準備を始め、てきぱきと仕事をこなし、開店と同時に毎日楽しみにしているお客さんにパンを届ける「パン職人」。ビシッと制服に身を包み、約1300人の乗客を乗せ、時速285㎞のスピードで東海道新幹線を走らせる「新幹線運転士」。大学のキャンパスの一室で、自分の打ち出すテーマについて実験や分析を続け、論文にまとめていく「研究者」。

颯爽と仕事に打ち込むその姿には、誰もが憧れてしまいます。でも、彼らはいったいどうやって「自分のしごと」を見つけていったのでしょう。

大人気「しごとば」シリーズの作者鈴木のりたけさんが、新たに取り組んだ読み物シリーズ「しごとへの道」。さまざまな職業の人を取材し、その職業を紹介する内容からさらに一歩深く進み、子ども時代から現在まで、どのような人生を歩んできたのかを、コマ割りのコミック仕立てで描き出します。

読み始めると、どの人のストーリーにもあっという間に引きこまれてしまうのは、その道のりが決してまっすぐきれいな一本道にはなっていないから。大きなまわり道をしたり、前が見えなくて悩み続けていたり、挫折を味わったり、紆余曲折、十人十色。人生を変えてくれた言葉や人と出会いの中で、働くことの面白さや喜びを見つけていく様子には、子どもから大人まで、どんな立場の人の心にも大きく響くものがあるのです。

「しごとへの道はひとつじゃない!」

自分の夢を見つけることや、自分の道を進んでいくことは、簡単なことではありませんよね。でも、だからこそ、こんな風にリアルで魅了的に描かれた人たちのストーリーが、読む人の背中を押してくれるはず。熱くて濃密な、鈴木のりたけさんの新境地。また続きが楽しみになるシリーズの誕生です。

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