ブックデザイナー名久井直子さんの装丁で楽しむ『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』

文芸・カルチャー

公開日:2023/4/6

100万回生きた立派なとらねこと、美しい白いねこの愛を描いた、佐野洋子さんの名作『100万回生きたねこ』が、発行45周年を迎えました。その記念に、現在『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』が2000部限定で販売中です。
 
大きなとらねこが「どん!」と立ち構えている白い背景の通常版の印象とはまったく違い、ゴージャスで大人っぽい、こってりとした色味の赤い函に収められた[45周年記念限定版]。その装丁を手がけたのは、『ゆきのげきじょう』(作・荒井良二、小学館)や『ねむらせやのネミイ』(作・阿部結、WAVE出版)、『遠の眠りの』(作・谷崎由依、集英社)など、多くの絵本・児童書のブックデザインをしてきた、名久井直子さんです。そこで、名久井さんのアイデアがどんな風に形になっているのか、『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』の装丁をじっくりご紹介します。

100万回生きたねこ[45周年記念限定版]

作・絵:佐野 洋子

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目の前でさらさらっと……名久井直子さんのデザインイメージ

『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』の装丁をお願いすると、名久井さんは編集担当者さんの目の前でさらさらっとデザイン案のメモを描いたそうです。下の写真のメモがその時のものですが、仕上がりのイメージは製品版とほぼ同じ。「名久井さんにはもう、できあがりが見えているのだなあ」と、編集担当者さんは感激したそうです。それでは、ひとつずつ細かく見ていきましょう!

デザインイメージはもちろん、必要な印刷・製本技術についても書かれた詳細なメモ
(メモはデザイン案ですので、実際の仕様とは違います)

 

まるで肖像画! 函のくり抜きが額縁と同じ効果を発揮

絵本を収める赤の函は、ツルツルとした手触りのPP加工したコートボール紙に、金の箔押しで題字が印刷されています。中央に楕円形のくり抜きがあり、そこから絵本の表紙に印刷されたとらねこの絵が、ぴったりとはまるようになっています。

絵本本体は、函と同じく深みのある赤の布張り。柔らかな風合いと心地良い手触りがたまりません。その中央には、函のくり抜きと同じ大きさのとらねこの絵が、「題せん」で入っています。

「題せん」は、上製本(ハードカバー)の表紙に、別途印刷した用紙を貼り付けたものです。たくさんの本を制作してきた担当者さんも、今回初めて使った技術でした。そして、2000部すべて手作業で紙を貼るという、その丁寧さと豪華さに感激したそうです。

絵本本体は、明るい場所で見ると鮮やかな赤、少し暗い場所で見ると落ち着いた色味に見えます

 

実際に絵本を手に取って触ると、「題せん」を貼り付ける部分にエンボス加工が施されており、わずかに凹んでいるのがわかります。このエンボス加工のおかげで表紙の厚みが均一になり、函に入れるときも引っかかりがなく、スムーズに出し入れできるように。読む人のことを考えた、細やかな心遣いが伝わってきます。

背表紙も金の箔押し。題字の書体は、通常版よりも大人っぽい雰囲気が漂う明朝系のものを使用

 

改めて絵本を函に収めてみると、函のくり抜き部分が額縁の縁のような役割を果たし、まるでとらねこの肖像画のように見えるのです。心なしか、通常版よりもとらねこが堂々としているように見えて素敵ですね。

布張りの表紙に金の箔押しで入った題字。なんとも豪奢な佇まいの本です
「お部屋のどこに置こうかな」と考えながら、実際に置いてみて飾り場所を決めるのも楽しそう
通常版と並べても素敵です!

 

精密でかわいい見返しのスタンプ印刷

表紙を開くと目に飛び込んでくるのが、赤い紙に並ぶ金のとらねこ。表紙と同じ立った姿と、宙返りをしている姿の2パターンの絵が、スタンプ印刷でお行儀良く並んでいます。良く見ると、とらねこのしましま模様の濃淡や、ふさふさとした毛並みもちゃんと再現されている緻密さに驚かされます。

表紙を開いてパッと目に入ってくる、とらねこのかわいい姿
「手描き」と言われても納得してしまうくらい精巧な印刷にうっとり

 

テキストページに色が入ってより豪華に

絵本の中面を見ていきましょう。テキストのあるページに、グレー、スモーキーピンク、スモーキーグリーンの色が順番に入っていて、より特別感が感じられます。最後のページだけは4つ目の色が入っていますので、ぜひ実物でお確かめください。きっとその色には、深い理由があるはずです。

テキストページに色があると、絵の印象も少し変わって見えますね

 

また本文の書体も通常版とは違い、やや太めの明朝体を使っています。通常版と比べて一回り小さくなりましたが、読みやすさはどちらも同じ。まさに[45周年記念限定版]にふさわしい、名久井さんのデザインが光る一品といえるでしょう。

通常版と比べると、テキストフォントの違いがはっきりわかります
シリアル番号は、奥付のページ上部に記されています

 

存在感のある大判の透明ダイカットシール

[45周年記念限定版]に同封されている大判の透明ダイカットシールも、名久井さんが提案したものです。高さ127ミリもある大判サイズのとらねこのステッカーは、存在感も抜群!

どこに貼ろうか迷ってしまいますが、おすすめはPCです。

これだけ目立つシールを貼れば、自分のPCが迷子になる心配もなくなりそう!

 

もうひとつ絵本ナビがおすすめするシールの貼り場所が、大きめの透明キャニスター。白にこげ茶の縞模様に青が入っているとらねこの毛並みの色が大人っぽいので、意外にしっくりとインテリアになじみます。

コーヒー豆のこげ茶色が、とらねこに似合っている!

 

お菓子を入れるとちょっと甘い雰囲気に、パスタを入れるとスタイリッシュな感じになるなど、キャニスターの中身によっていろんな変化が楽しめそうですね♪ また、窓ガラス、食器棚や飾り棚の窓に貼ると、お家でネコを飼っている気分になれるかも。ぜひ、お気に入りの場所を見つけて貼ってみてください。

いかがでしたか?
 
オシャレなお部屋に住んでいるお友達へのプレゼントに、「一生そばにいたい」と思う相手へのプロポーズがわりに、5月14日の母の日のプレゼントにも『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』がおすすめ! なお[45周年記念限定版]は限定2000部。販売も、一部の書店、ネット書店でのみの販売になります。

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そして!『100万回生きたねこ』が登場したドラマ『「100万回言えばよかった」メモリアルブック』も好評発売中です!『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』と『「100万回言えばよかった」メモリアルブックの2冊を同時に購入すると、どなたさまでも送料無料(※)になってお得です。ドラマにハマった人はぜひこの機会に、2冊とも手元に迎えてあげてください。

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「100万回 言えばよかった」メモリアルブック

出版社からの内容紹介

第1話から最終話までの奇跡と感動の名シーンをおさめた、ドラマ「100万回 言えばよかった」の公式メモリアルブックが発売。
豪華キャストのグラビア&インタビュー満載の永久保存版の1冊。

安達奈緒子の脚本による完全オリジナルストーリーで、井上真央、佐藤健、松山ケンイチといった実力派俳優らが共演。愛する人との突然の別れから、数奇な運命に立ち向かっていく人々の姿を、ファンタジーでありながらもリアルな描写で視聴者をくぎ付けにしている「100万回 言えばよかった」。

悠依と直木のお互いに対する真っ直ぐな想いや、2人を見守る譲の複雑な心情、そして直木の死の真相をめぐる考察など…毎週、熱い反響を呼び、放送スタートから回を重ねるごとに、注目度が上がり続けている本作の魅力を余すとこなく1冊におさめた、まさに「100万回 言えばよかった」の“思い出アルバム”と言える公式メモリアルブックとなっている。

井上真央、佐藤健、松山ケンイチ、シム・ウンギョン、香里奈のここでしか見られない撮り下ろしグラビア&インタビューをはじめ、制作秘話&裏話満載のスタッフインタビューや悠依と直木の思い出が詰まった“料理レシピ”を紹介する特別企画も。

ほか、第1話から最終話までのストーリー&名セリフプレーバック、セットのこだわりを紹介する美術セット特集、さらには貴重なメイキング&オフショットの数々を収録。

すべての「100万回 言えばよかった」ファン、そして今を精一杯に生きるすべての人へ、永久保存版の1冊をお届けします。

CONTENTS
■「100万回 言えばよかった」名シーン集(第1話~最終話) 
■井上真央、佐藤健、松山ケンイチ、シム・ウンギョン、香里奈 グラビア&インタビュー
■特別企画・悠依と直木の“思い出”料理レシピ
■脚本・安達奈緒子×プロデューサー・磯山晶 特別対談
■演出・金子文紀 インタビュー
■ストーリー&名セリフ 全10話プレーバック
■密着! ドラマメイキング&オフショット
■ハチドリ・直木の部屋・広田家 美術セット特集

(内容は変更になる可能性があります。)

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構成・文/ナカムラミナコ

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