圧倒的な画力で描く、満月の夜のふしぎな物語『つきのこうえん』竹下文子さん&島野雫さんインタビュー (パイ インターナショナル)

文芸・カルチャー

公開日:2023/5/23

みなさんは「つきのこうえん」と聞くと、どんな景色を思い浮かべますか?
5月の新刊絵本『つきのこうえん』で、満月の夜に起こるふしぎな物語を手がけられた竹下文子さんと、竹下さんの物語を圧倒的な画力で表現された島野雫さんに本作についてお話を伺いました。

お母さんの手のような質感と温度

ー 物語が生まれた背景について教えてください。

竹下:出版社の方から、島野さんの絵で「優しい親子の愛情」をテーマにした絵本を作りたいということで、お声をかけていただきました。私はふつうテーマ先行で書くことはしないので、できるかなあ?と思いましたが、島野さんの描かれた絵を見ているうちに、この話が浮かびました。

ー 島野さんは、竹下さんからの物語を読んでどのように感じましたか? すぐに絵のイメージが湧いたのでしょうか?

島野:優しくて柔らかい、お母さんの手のような質感と温度を感じました
公園にいるシーンの構成や構図などが、ラフの段階では違ったのですが、ラフを見た竹下先生から「文字が語っている内容を、そのまま絵に置き換えるのではなく、もっと自由な、心象的なものになってもいいのではないでしょうか。」と言っていただいたので、ページ数も増えて、自由で楽しい公園のシーンを描くことができました。
絵が完成してデザインに落とし込む段階になっても、竹下先生がテキストに手を加え、よりぴったりな表現に変わっていくのを目の当たりにして、とても感激しました。

ー 竹下さんは、島野さんの絵をご覧になられたとき、どのように感じましたか? また一番お気に入りの場面について教えてください。

竹下:最初にカラーで見せていただいたのが、冒頭のるなちゃんが猫を抱いている場面と、さくらんぼの木の上にいる場面で、ああこれはすごい!と思いました。ほんとは3日間くらいここにいて、広い公園のすみずみまで見てまわりたいです。
個人的には、猫が好きなので、ついつい黒猫ミモに注目してしまいます。

『つきのこうえん』より

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水彩と日本画の混合技法で描く

ー 『つきのこうえん』はどんな画材を使って描かれているのでしょうか?

島野:水彩と日本画の混合技法です。墨、胡粉、透明水彩絵の具などを使っています。着彩を進めていくと線がボケてくるので、水彩色鉛筆やパステルなども使って、線を起こしています。

実際に使用されている画材

つきのこうえん

作:竹下 文子絵:島野 雫

出版社からの内容紹介

つきの こうえんに あそびに こない? 圧倒的な画力で描く、満月の夜のふしぎな物語
るなちゃんは寝る前におかあさんに本を読んでもらうのが大好き。でも、今夜はおかあさんがなかなか来てくれません。すると、窓の外に男の子が現れて、つきのこうえんに遊びに行かない? と誘います。るなちゃんは、ふわんと空に浮かびます。そこは、パジャマ姿の子どもたちが集まるふしぎなこうえんでした。

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