地元の電車から最新の運行システムまで! 好奇心と多角的な視点から生まれた、無敵の鉄道図鑑 (Gakken)

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/20

Gakkenが生み出す、数々の個性的で魅力的な商品・サービス。その背景にあるのはクリエイターたちの情熱です。(株)Gakken公式ブログでは、ヒットメーカーたちのモノづくりに挑む姿を「インサイド・ストーリー」として紹介しています。今回は、『学研の図鑑LIVE』シリーズの中でも根強いファン層を持つ『学研の図鑑LIVE 鉄道 新版』の編集を手掛けた、梅崎洋です。

学研の図鑑LIVE 鉄道 新版

総監修:近藤 圭一郎

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出版社からの内容紹介

▼▼▼3歳から大人までずっと使える本格図鑑 学研の図鑑LIVE▼▼▼

シリーズ累計230万部!「学研の図鑑LIVE 鉄道 DVDつき」がパワーアップした新版として発売します。
「西九州新幹線かもめ」や2024年運行予定の「E8系」も掲載!類書中NO.1の掲載車両数で、気になる車両がきっと見つかります。
鉄道のしくみや、運転士や車掌などのお仕事紹介など、読むと鉄道に乗るのが楽しくなる特集が盛りだくさんです。
3大特典の1つ、完全オリジナルのDVDはたくさんの車両の走行シーンやオリジナル新幹線ソングなど、鉄道好きのお子さんも満足の内容です。
新しくなった「学研の図鑑LIVE 鉄道 新版」で、お気に入りの鉄道が見つけて、旅に出かけましょう!

【本誌 進化した10のポイント】
■日本全国の最新車両を徹底リサーチ!新幹線や人気の特急列車はカッコイイ切り抜き写真で掲載しています。
■収録車両数は850で類書中NO.1!「西九州新幹線かもめ」や2024年運行予定の「E8系」まで紹介しています。
■地域・鉄道会社別に分類!自分の住んでいる街や旅行先で出会った鉄道が見つけやすい掲載順にしています。
■車両ページのコラムは約100個!名所紹介やご当地スタンプを読めば、小学校の地理や歴史の知識も身につきます。
■JR東海協力!子どもたちが憧れる東海道新幹線の運転士をはじめ、安全な運行を支える6つの仕事を紹介します。
■全国の駅弁、ICカード、おもしろ駅などの紹介や、運転・検査・製造などの鉄道の裏側がわかる特集もあります。
□軽くなった紙と本誌の角を丸くカットする加工で、小さなお子さまでも安全にお使い頂けます。
□あらゆる人に見やすく読みやすいユニバーサルデザインフォントを採用しています。
★おうちのどこでも貼れる!B3サイズの鉄道日本地図ポスターがもれなくついてきます。
★「はやぶさ」「かもめ」といった人気の新幹線などがARの3DCGで出現!ほかにも警笛の音も収録しています。

【動画 進化した5のポイント】
●大人気の新幹線、東西の在来線、ちょっと変わった車両まで、全国のさまざまな車両の走行映像がたっぷり!
●「西九州新幹線かもめ」長崎駅に初潜入!大井川鐵道のSL「トーマス号」や珍しい高山機関車紹介など、独自取材の映像が満載です。
●口ずさむうちに新幹線の特徴を覚えちゃう!オリジナルソング「いろいろ!しんかんせん」を収録しています。
●学習図鑑史上初!DVDに加えて、スマホやタブレット等でも視聴可能で、いつでもどこでも動画が楽しめます。
●数多くの子ども向け人気番組を手掛ける映像制作会社DIRECTIONS制作の完全オリジナルの動画です。
動画の目次
1.大特集!いろいろな新幹線
2.新幹線ができるまで
3.大特集!西九州新幹線
4.在来線特集~東日本編~
5.在来線特集~西日本編~
6.歌「いろいろ!しんかんせん」
7.観光列車おすすめガイド
8.ちょっぴり変わった鉄道たち
9.探検!大井川鐵道
10.クイズ・トレイントレイン

収録AR一覧(3DCG、音声)
3DCG:はやぶさ/かもめ/桃太郎/江ノ島電鉄500形
音声:警笛の音10種類

日本は、鉄道大国だ。毎日多くの人が利用し、公共交通機関として人々の暮らしに根付いている。それだけに、子どもたちや鉄道が好きな多くの人たちにとって、鉄道は単なる交通機関以上の価値をもつ、特別な存在といえるだろう。

 新たな新幹線の開通や、最新の運行システムなど、日々進化している鉄道。この鉄道図鑑を、かつて「科学と学習」の編集、科学実験イベントの企画運営など多様な経験を重ねたベテラン編集者の梅崎が手掛ける。7年ぶりの改訂で、世に送り出されるのだ。

ひと目見るだけで知的好奇心を刺激する、丁寧な仕掛け

『学研の図鑑LIVE 鉄道 新版』の収録車両数は約850種類。2024年春から運行予定の山形新幹線E8系から、各地の路線を走る新型車両、最新情報を網羅している。だが梅崎は、「最新情報の網羅ならば、新版では当たり前のこと」だという。

 むしろ腕の見せどころは、日々進化し続ける鉄道の世界を、子どもたちの興味をそそる “新しい切り口”や、“面白い仕掛け”をどのように仕込んでいくかなのだ。

 「いくつかのアイデアは、最初の段階ですでに持っていました」

 まず、車両の見せ方を刷新した。これまでのLIVEでは車両本体とその背景が写っている四角い写真=“角版”がほとんどだったが、梅崎は、車両本体のみの輪郭を切り抜く、“切り抜き”のスタイルに切り替えた。

「新型車両や、あまりお目にかかれない観光列車の場合、読者は細かいディテールまで見たいと思うのが自然かなと。 “切り抜き”だと、紙面のレイアウト上、より大きく車両を見せやすいので、細部まで確認できるというメリットがあります」

 デザイン処理の作業量が数倍になり、さらに新しい車両情報も入ってくると締切とのたたかいにはなるが、車両にフォーカスできる良さを優先した。

 「もちろん角版写真にも魅力があります。架線や線路、風景が入ってこそ鉄道が引き立つとも考えられます。今回、車両に特徴のある特急車両と観光列車以外は、一部を除き角版にする“いいとこどり”の構成にしました。地域性のある風景や周囲の情報も加わり、写真の情報量でも満足感を得られると思います」

紙面を最大限に活かして、迫力満点の“本物”を

大きさや特徴などを比較する、“くらべるページ”にも工夫を施した。学研の図鑑のなかでも、科学的視点を養うために生物系の分野でよく使われている企画だが、鉄道にも応用できると考えた。

「単にくらべるだけではおもしろさにかけてしまうので、アレンジを加えました」

新版では観音開きの見開き4ページに新幹線を7種類載せて比べている。運転席から先頭までのノーズだけでなく、続く2両目以降の車両の長さや形、模様の違いが一目瞭然となった。車両の全編成も載せてシンプルな長さ比べもできる。小さな子どもでも楽しめる仕掛けだ。

 さらに、「本物の大きさ」ページでもよりおもしろいものを厳選した。吟味を重ねた結果採用したのは“レールの断面図”と“踏切の警報灯”であった。実物写真は紙面いっぱいに広がり、迫力のあるページに仕上がっている。

▲踏切の警報灯。全国に普及しつつある全方向から視認可能なものを掲載している。

「ページを見た方はきっと『意外と大きいんだな』などと思われるのではないでしょうか。普段は近くで見ることができない踏切の警報灯ですが、図鑑で思う存分楽しんでほしいです」

好きな世界の知識を深めるというのも、図鑑の役割

梅崎の考える図鑑とは、子どもたちにとって、“はじめの一歩を探す身近な一冊”なのだという。

 「最初はそんなに興味がなくても、見ているうちに夢中になる。図鑑はいろんな分野への入り口になる存在だと思ってます」

 そして、梅崎が考える図鑑のもうひとつの役割が、“好きな世界をとことんまで追求するキッカケ”というものだ。たとえば新幹線が高速で走るところが好きになったならば、どうやって動いているのか、そのメカニズムを知りたくなる。

 梅崎は「鉄道への興味を、この図鑑でさらに深めてほしい」と考え、早稲田大学先進理工学部の近藤圭一郎教授に監修を依頼した。

 「近藤教授は、“子どもの頃は学研の鉄道図鑑が愛読書だった”という鉄道ファンです。現在のご専門も、鉄道を電気で動かす研究開発や、電気で動く乗り物全般のエネルギー消費の低減に関する研究などです。鉄道にとどまらず、乗り物全般の技術分野においてすぐれた知見をお持ちでした」

 近藤教授からは、最新の設備の解説や、鉄道の技術的な見解など、監修の作業でいくつもの鋭い指摘が入った。

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