読書感想文におすすめ児童書・低学年 中学年(2023年6月新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/21

ーー夏休みの宿題で最後まで残りがちな宿題は?

アプリ開発を手がける会社が2022年「夏休みの宿題について」小学生の子どもを持つ利用者約650人にアンケートをしたところ……一番多かったのは「読書感想文」。約43%の人が選んだのだそうです。思い返せば自分が子どもの頃も、夏休み宿題の大トリといえば自由研究と読書感想文の2トップ。いつの時代も読書感想文を書くことは、子どもにとってなかなかなハードルのようですね。

読書感想文は難しそう、でも本を読むこと自体への抵抗はないのでは?……小学校低学年・中学年の子どもたちを見ているとそう感じることがあります。大きめの文字や魅力的な挿絵、学校で学んだなじみのある話題や子ども自身が夢中になっていることがテーマの本。読むきっかけさえつかめたら、彼らは本の中に思いきり飛び込めそう。たとえば『先生、感想文、書けません!』なんて本に出会ったら……開かずにいられない!

本を通して心をゆすぶられる体験さえあれば、きっと読書感想文への扉は開かれるはず。今回おすすめする本、ぜひ子どもたちに手渡してみてください。

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夜遅くなっても帰ってこないお父さん、一体何をしてるんだろう? 父と子の4篇のオムニバス集『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……』

きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……

作:市川 宣子絵:はた こうしろう

出版社からの内容紹介

お父さんが大活躍する現代のおとぎばなし。
あっくんのお父さんは夜遅くなってもなかなか帰ってこない日があります。そんな日はどこで何をしているのでしょう…?
大なまずに子守歌を歌ってあげようとするお話や、迷子の雷の子を空まで送り届けるお話など4篇からなる
オムニバスおはなし集。その語り口には、子どもへの優しいまなざしと愛情がぎゅっとつまっています。
小学館児童出版文化賞受賞作家、市川宣子の最新作です。

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みんなと一緒に歌えないほど歌が苦手な人魚。そのひどい歌声が、ピンチを救う?!『歌がにがてな人魚』

歌がにがてな人魚

作:ルイス・スロボドキン訳:小宮 由

出版社からの内容紹介

人魚と言ったら髪が金色で、甘くすんだ声で歌をうたうと思うでしょう? 勿論そうなのですが、中に一人だけ髪が赤くて、歌が苦手な人魚がいました。あまりにひどい歌声なので、いつもは皆と一緒に歌うことができません。ところが、ある日、大事件がおきそうになったのです。そして、歌のにがてな人魚のそのひどい歌声が、みんなを助けることになりました。苦手なことも素敵なことに変わります。

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リトルリーグで一番小さく試合はいつも補欠のハロルド。シーズン最終戦、彼に代打が回ってきた……!『ちびっこ大せんしゅ』

ちびっこ大せんしゅ

作・絵:シド・ホフ訳:光吉 夏弥

出版社からの内容紹介

リトルリーグでいちばんチビのハロルドは、いつもベンチをあたためているだけ。
でも、シーズン最終戦で、ピンチヒッターとしてバッターボックスに立つと…!

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没後90年。誰もが口ずさんだことのある宮沢賢治の詩に、柚木沙弥郎さんの絵が調和した一冊『宮沢賢治の絵本 雨ニモマケズ』

宮沢賢治の絵本 雨ニモマケズ

作:宮沢 賢治絵:柚木 沙弥郎

出版社からの内容紹介

賢治がのこした一冊の手帖。
そのなかにあった言葉が、
多くの人々の心をゆさぶりつづけている。
闘病生活のさなかに賢治が書きとめられたその言葉は、
作品として書かれたものではなく、
賢治の「祈り」そのものだった・・・・・・。

※巻末に賢治の弟、清六の孫、宮沢和樹氏のエッセイ、
「雨ニモマケズ」手帖の画像を掲載。

「宮沢賢治の絵本」シリーズ

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本はおもしろい、でも読書感想文を書くのは無理!みずかが考えた作戦は……? 子どもたちの共感、まちがいなし『先生、感想文、書けません!』

先生、感想文、書けません!

作:山本 悦子絵:佐藤 真紀子

みどころ

「だって、書けないんだもん。」
「わたしには、感想文、むり!」

夏休みの登校日に、どうどうと訴えているのは、三年生のみずか。
みずかは本が決して嫌いなわけではないのです。夏休みに入ってから、友だちのあかねちゃんと三回も市民図書館に行きました。でもみずかにとって感想文を書ける本がなかったのです。面白くなかったわけではありません。

「おもしろい本を読むと、むねがいっぱいになるの。
ああ、よかったなあ、おもしろかったなあって」

「先生、なんで感想文って書かなくちゃいけないの? わたし、本は読んでるし、ちゃんとおもしろかったよ。ああ、よかったぁだけじゃだめなの?」

ここまで読んで、ああ、わたしと同じ、ぼくと同じ、と共感する小学生がどれほどいることでしょう。みずかちゃんの言葉にそうそう、と強くうなずく子どもたちの顔が目に浮かぶようです。

そんな多くの子どもたちを代表するかのようなみずかの問いかけに、担任のえりか先生はどう答えるのでしょう? さらに、書きたい本が見つからないという悩みに対して、ある作戦を思いついたみずか。友だちのあかねちゃんと協力して遂行していきます。感想文を書く意義だけでなく、お話を想像して作っていく楽しさが伝わってくるところも本書の大きなみどころです。

お話を書かれたのは、児童文学作家の山本悦子さん。学校生活の中で起きる等身大の小学生の悩みや奮闘を描いたお話が特に素敵なのですが、『先生、しゅくだいわすれました』も読書感想文の時期にとても人気があります。こちらはその姉妹編とのことで、楽しい共通点が隠されています。ぜひ2冊を読み比べて探してみて下さいね。また、佐藤真紀子さんによる挿絵は、子どもたちひとりひとりの表情が豊かで元気いっぱい。今にも本から飛び出してきそうなほど生き生きとした子どもたちの姿が、お話をより盛り上げています。

感想文という苦手なものに対して、どう立ち向かい、どう納得していくのか。みずかちゃんの奮闘を通して、読む子どもたちもきっと感じることがさまざまあることでしょう。今年の感想文は、この本を題材にして、感想文についてあらたに知ったことや考えたことなどを書いてみる、というのもいかがでしょうか。

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ピエロが売るのは悩みを解決するという「AIマスク」。使った小学生4人の運命は……?『AIマスクはいかがですか?』

AIマスクはいかがですか?

著:赤羽 じゅんこ絵:たんじあきこ

出版社からの内容紹介

あなたのなやみを解決する、高性能のマスクはいかが? ふしぎなピエロが売る「AIマスク」を手に入れた4人の小学生の運命は…? 4つのオムニバス・ストーリー。

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暑さを乗り切るために便利な道具に頼ったシロクマたちは……環境問題を考えるきっかけにも『ピンクマ ピンクになったシロクマのはなし』

ピンクマ ピンクになったシロクマのはなし

作:柏原 佳世子

出版社からの内容紹介

『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』、『おうさまのまえでみぎむけーみぎ!』の柏原佳世子氏による環境問題をテーマにした絵本です。

だんだん世の中が暑くなることで、それに耐えられなくなってきたシロクマたち。シロクマたちが「どんなねがいもかなえてくれるどうぶつ」に助けを求めてやってくると、いろいろ便利な道具をおすすめされる。しかし道具にたよりすぎたことで、世界は冬になっても暑く、シロクマたちの体は工場の煙と日焼けでピンクになっていく。
わがままだけどにくめないユーモラスなシロクマと、クラシカルで美しい作画は、小学校低学年から大人まで楽しめます。
読書感想文にもぴったり。「環境問題」を考える第一歩としておすすめの絵本です。

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世界450万人に愛されるロングセラー。子ブタのウィルパーとクモのシャーロットの友情の奇跡を描く『シャーロットのおくりもの』

シャーロットのおくりもの

作:E.B.ホワイト絵:ガース・ウィリアムズ訳:さくま ゆみこ

出版社からの内容紹介

子ブタとシャーロットのかけがえのない友情を描いた児童文学の最高傑作!23ヵ国4500万読者に愛され続けるロングセラー。

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人はなんのために生きてるんだろう……? ヨシタケシンスケさんが描く、シンプルで深い3つの物語『メメンとモリ』

メメンとモリ

著:ヨシタケシンスケ

出版社からの内容紹介

身も蓋もない言葉の中にだけ、
希望を見出せるときもある。
ヨシタケシンスケが描く
「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。

『メメンとモリとちいさいおさら』
メメンが作ったお皿を割ってしまったモリ。
「世界にひとつしかないお皿なのに…」といつまでもクヨクヨしているモリに、
メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まします。

『メメンとモリときたないゆきだるま』
夜のうちに降った雪。メメンとモリは次の日の晴れた朝、張り切ってゆきだるまをつくりました。
でも雪は足りず、晴れて溶けかかり、できあがってゆきだるまは想像していたものと違いました。
複雑な顔をしてゆきだるまを見つめるメメンとモリ。
でもゆきだるまは、そんなふたりの顔を冷静に見ていたのです。

『メメンとモリとつまんないえいが』
つまらない映画を見てしまったメメンとモリ。「時間を損しちゃったね」と話しているうちに、
モリは「みんなは楽しいことをしているのに、ぼくだけ損をしているみたい」と思いはじめます。
そんなモリにメメンは「いきものはべつに楽しむために生きているわけじゃないからね」と言うのですが…。

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水たまりを求めて都会をさまよう2匹のカエルのたどりつく先は……。地球環境の危機を問いかける『おいたてられた2匹のカエル』

おいたてられた2匹のカエル

作・絵:とだ こうしろう

出版社からの内容紹介

カエルの視点から地球の環境を考えた、戸田幸四郎の創作絵本です。

池を追われ都会に逃げた2匹のカエル。高速道路やゴルフ場。
水たまりを求め、あらゆる場所に行ってみますが、安心できる居場所はありません。
2匹の運命はどうなるのでしょうか…。

“にんげんのわがままを、うちゅうのかみさまは、どうみているだろうか”
この本の最後に残されている言葉です。
自分たちだけの利便性を追求してきた人間への疑問と、これから考え行動すべきことを強く訴えます。

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【動画公開中】見つけた!わたしのさがしもの 22選

文:竹原雅子 編集:木村春子

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