日常と非日常が入り混じる愉快なファンタジー!『おふろそうじ きんぎょたい』【NEXTプラチナブック】

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/21

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年8月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

おばあちゃんの家のお風呂そうじをすることになったキミちゃん。ところが、そこにあらわれたのは!? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『おふろそうじ きんぎょたい』。活躍するのは、きんぎょたち!奇想天外なお風呂そうじ絵本、どんな内容なのでしょう。

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

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日常と非日常が入り混じる愉快なファンタジー!『おふろそうじ きんぎょたい』

おふろそうじ きんぎょたい

作:とみながまい 絵:山村浩二

みどころ

おばあちゃんのおうちにお泊りにきたキミちゃん。ところが、おばあちゃんは横になっています。腰をいためてしまったのです。お風呂であたたまれば、すぐに良くなると言うけれど。

「わたし、おふろ あらってあげようか?」

あらあら、キミちゃん。大丈夫? なにしろ、お風呂そうじなんて初めてです。それに、おばあちゃんの家のお風呂は、ちょっぴりこわい。その時、ポチャン。水の中にきんぎょが、いっぴき、にひき、さんびき、よんひき……最後に黒いデメキン、全部で5匹が泳いできたではありませんか。驚くキミちゃんに、きんぎょは言います。

「さがって! おふろそうじは きけんな しごとです」

お風呂のおもちゃに水を入れて頭にかぶり、陸にあがってお風呂そうじを始めます。みんなで栓を抜き、水を抜くと、今度は洗剤をまいてゴシゴシ。キミちゃんもまねをして……。

テーマは「おふろそうじ」。とても身近な日常のお話です。ところが、どのページを開いても、驚きがとまりません。なにしろ、そうじをしているのはきんぎょ。「おふろ」と「きんぎょ」の組み合わせなんて、ありえません。ありえないのに、この絵本の中では実現してしまっているのです。

左から順番に「マツリ」、「リンゴ」、「ギンタ」、「キンタ」、そして「クロ」。カバー袖には、その性格までわかるャラクター紹介も!

この奇抜なアイデアを生みだしたのは、絵本だけでなく、アニメーションや映画の監督としても活躍されているとみながまいさん。そして絵を手がけているのは、世界的アニメーション作家でもある山村浩二さん。日常と非日常が入り混じる愉快なファンタジーは、想像以上に刺激とスリルに満ちています。きんぎょたちの見たことのない動き、リアルな描写なのにあふれ出てくるキャラクター性、ちょっぴりレトロで懐かしい世界観。みどころはたっぷり! 親子で、あるいはおばあちゃんやおじいちゃんと一緒に楽しむ絵本としてもぴったりな一冊です。

さてさて、キミちゃんは無事におばあちゃんとお風呂に入ることはできたのかな?

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編集長のおすすめポイントは……

いつもとちょっと違う体験が…

いつもと同じようで、いつもとちょっと違う日常。たとえば、おばあちゃんの家に泊まりにいった時には、そんな感覚を味わえるのかもしれませんよね。知っているはずのお風呂だけど、自分の家とはなんか違う。いつも元気なはずのおばあちゃんが、困っている。自分ひとりで助けてあげたいけど、ちょっと自信がない……。そんな時に応援してくれるのは、思いもよらない存在だったりして。ふとした出来事が大冒険になる、そんな絵本の面白さがぎゅっと詰まった一冊ですよね。

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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