芸術の秋に読みたい美しい絵本8選

文芸・カルチャー

公開日:2023/10/5

「芸術の秋」。さあ、どんな芸術を楽しみましょうか? 美術館に行って絵画鑑賞? コンサートのチケットを取って音楽鑑賞? 話題の映画を見に行っても良いし、舞台やミュージカルを観に行くのも楽しそう。……でも、どれも子どもが小さいと、ゆっくり「芸術の秋」を堪能するのは難しいですよね。

そんなパパママも諦めるのはちょっと待って。お家で簡単に絵本を使って「芸術の秋」を楽しむ方法があるんです。

それはいつも背の方を向けて本棚にしまっている絵本の表紙を、こちらに見えるように並べてみること。すると、まるで美術館に並んでいる絵画のように、美しい絵本の表紙を眺めることができます。プチ美術鑑賞にピッタリです。そして表紙が美しい絵本は、物語も美しく、発見があり、心が洗われるものも多いので、ぜひ手に取って物語を楽しんでください。普段お子さんに読み聞かせをしている絵本も、一人で絵を隅々まで見て、物語を読んでみると、読み聞かせの時は気づかなかった驚きや感動が生まれ、まるで映画1本を見たような充実感を味わえることでしょう。

お家でひとときの「芸術の秋」を堪能する、かざって美しい、読むとさらに楽しい絵本8作品をご紹介します。

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自分の名前を愛おしく感じる。我が子に名前を付けたあの瞬間がよみがえる『あなたのなまえを』は出産祝いにもおすすめの一冊です

あなたのなまえを

作:大塚健太 絵:ももろ

出版社からの内容紹介

わが子が生まれるまでの、名前に思いを巡らす毎日。それは子の幸せを願う、祈りの日々でした。優しいイラストと言葉で紡ぐ愛の絵本。

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クマの兵士の砦を壊した、ダムの決壊は『だれのせい?』 『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリが初めて翻訳を手掛けた大人に刺さる寓話絵本

だれのせい?

作:ダビデ・カリ レジーナ・ルック-トゥーンペレ 絵:レジーナ・ルック-トゥーンペレ 訳:ヤマザキマリ

出版社からの内容紹介

森に住むクマの兵士は誇り高い戦士。
自分の剣の切れ味を試したくて、なんでもかんでも手当たり次第、森中の木を切っていました。そんなある日、上流のダムから水があふれ、自分の砦が壊れてしまいました。
オレ様の砦を壊したのはだれだ?!

今の世界情勢を映し出しヨーロッパでも注目されているイタリアの人気絵本作家とエストニアの著名絵本画家が描く「自己中なクマの戦士の犯人探し」。思いがけない真実を発見し、驕りと剣を捨て勇気を持って平和を探る物語。漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリ の初のイタリア語翻訳絵本。

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アイスランドの子どもなら誰もが知っているロングセラーシリーズ。「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」が怖がる『まっくらやみのかいぶつ』は一体?

まっくらやみのかいぶつ

作:アウスロイグ・ヨウンスドッティル カッレ・ギュットレル ラーケル・ヘルムスダル 絵:アウスロイグ・ヨウンスドッティル 訳:朱位昌併

出版社からの内容紹介

アイスランド、スウェーデン、フェロー諸島の3人の原作者による、北欧諸国で定番の「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ(おおきいかいぶつとちいさいかいぶつシリーズ)」日本上陸・第2弾!

かいぶつにだって、こわいものがあるらしい?!「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」が勇気を出して、謎の「おばけ」を追いはらいます。でも、本当におばけだったのかな・・・?

【読んであげるなら2才から】【自分で読むなら小学生から】
【全国学校図書館協議会選定図書】

大好評の既刊絵本『おおきいかいぶつはなかないぞ!』(全国学校図書館協議会選定図書)の続刊。

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写真、スケッチ、初版本など、貴重資料から振り返る、ビアトリクス・ポターの生涯『ビアトリクス・ポター物語 ピーターラビットと自然を守った人』

ビアトリクス・ポター物語 ピーターラビットと自然を守った人

作:キャティ・ウーリー 河野芳英 絵:ジニー・スー 訳:中井はるの

出版社からの内容紹介

「ピーターラビット」の生みの親、ビアトリクス・ポターの生涯をまとめた一冊。絵に夢中になった幼少期や、自然に囲まれた田舎での暮らし、結婚や、仕事への思い…働く女性のパイオニアとも言われる彼女の一生を、小学生にもわかりやすく伝える。ピーターラビットのおはなしの誕生についても紹介。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が所蔵する写真、スケッチ、初版本など、貴重資料も多数掲載。
1、ピーターラビットの作者の人生をわかりやすく伝える
2、働く女性のパイオニア、ビアトリクスの生き方とは
3、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が所蔵する貴重資料を掲載
原著:イギリス

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段ボールやビスケットの箱など身近なものを使ったコラージュ作品を堪能できる、台湾発の絵本『HOME』。訳者はアーティストの一青窈さん

HOME

作:リン・リェンエン 訳:一青窈

出版社からの内容紹介

注目の台湾発の絵本。
2021年コロナ下でオンラインの開催となったボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞フィクション部門大賞受賞。
段ボールやチラシやビスケットの箱、新聞など、身近なものを使ってコラージュされたイラストレーションは、温かみのある画面を構成し、学校に行く、働く、挨拶を交わすなどの生活の一コマを丁寧に描き出す。
歌手であり役者の一青窈にとって初めて絵本翻訳。

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モノクロなのに美しい森の姿が見える。名作『はなをくんくん』を坂本美雨さんのやさしい英語と日本語で堪能しよう

英日CD付 英語絵本 はなをくんくん THE HAPPY DAY

著:ルース・クラウス 絵:マーク・シーモント 訳:きじまはじめ 朗読:坂本美雨

出版社からの内容紹介

ゆき深い森の中,ねむっている動物たち。
春の気配を感じて目をさまし,はなをくんくん,かけだします。
こどももおとなも春がまちどおしくなる絵本を,坂本美雨さんのやさしい英語と日本語で。
英語絵本1冊に,英語・日本語の朗読CD1枚と日本語対訳ガイド付属。

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嵐に遭い、流され、加工され、流木となり、姿を変え続ける木の、命とその先の循環の物語『一本の木がありました。』

一本の木がありました。

作:くすのきしげのり 企画・原案:くすのきしげのり、ふるやまたく 絵:ふるやまたく

みどころ

山の渓流沿いに立つ、桜の木。花盛りのときは鳥がまわりを飛び、人間に写生される美しい木。やがて嵐で折れ、川に落ちて、流されていきます。滝を下り、下流で老人に拾われた木は、小枝を折り取られ削られて、その夜の糧となる食料を焼く道具となり、加工されて木彫りのペンダントやおもちゃになります。小枝が取られた後の、年輪が見える大きな枝は、海まで流れてまた嵐に遭い……。

モノクロのドローイングでシンプルに描き綴られる「木」の物語。文章は限界まで削ぎ落とされ、「一本の木がありました。There was one tree.」が幾度か節目に登場するだけです。そのかわり、8B鉛筆で描かれたというスケッチのような豊かな黒い線を、読者は目でなぞり、勢いよく川に落ち、海まで流れていく木を追うようにイメージを広げていきます。

折れ、流れ、加工され、姿を変え、大海原を漂い、いつかは流木となっても……。木は、一本の木であることは変わらないこと。木が木であることを確かに描きながら、巡り、巡るものの存在感、普遍性を力強く優しく見せてくれる絵本です。

作家のくすのきしげのりさんと、画家のふるやまたくさんがタッグを組んで、人生への思いを込めた意欲作。大人にも、年配の方への贈り物にもいいかもしれません。もちろん、子どもと絵をじっくり眺めて、「木」と一緒に旅をするのもおすすめです。不器用で静かな情熱が伝わってくる作品です。

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日本の名前を持つアカウミガメ「ヨシ」が、南アフリカから故郷のオーストラリアを目指す実話を元にした物語『ヨシ 3万7千キロをおよいだウミガメのはなし』

ヨシ 3万7千キロをおよいだウミガメのはなし

作:リン・コックス 絵:リチャード・ジョーンズ 訳:いわじょうよしひと

みどころ

2年2か月の歳月、3万7千キロもの距離を泳いで海を渡ったアカウミガメ・ヨシ。その名は日本の名前です。なぜ日本の名がついたのか。果てしない距離をどう泳ぎ切ったのか。実在する一匹のウミガメの軌跡を追ったおはなしですーー。
オーストラリアの浜辺。たくさんのきょうだいとともに一匹の赤ちゃんガメが、外敵の狙いをくぐり抜け海に出ました。必死に身を守りながら潮の流れに乗ってひとりぼっちでインド洋へ。しかし5年後、たどり着いた南アフリカの先端で沖合の漁網に引っかかってしまいます。
「もう大丈夫」
衰弱したウミガメを救ったのは、日本漁船の漁師。深い傷を手当し、数ヶ月にわたる世話のおかげで元気になったウミガメは「ヨシ(良し)」と名付けられました。帰国する漁師にかわりヨシを預かることになったのは、南アフリカ・ケープタウンにある水族館。野生に戻れるのかを心配されたヨシは、その後20年間を水そうの中で過ごすのです……。

生まれてから親ガメになるのは、1,000匹のうちたったの数匹。ヨシとの出会いは、漁師や水族館の人たちにとって奇跡のようなできごとでした。そしてもう一度野生に戻り、故郷の海へ。たくさんの支えと応援に応えるかのように、ヨシは人知を超えた生命の神秘を見せてくれます。

作者のリン・コックスは、アフリカ喜望峰周辺の荒海を泳ぐなど常人の限界を超えた記録の数々を打ちたてた長距離スイマー。ウミガメの保護区で赤ちゃんガメが浜辺から海へと向かう姿を見守った時、その決意と力強さに心打たれたといいます。一匹のウミガメの壮大な物語には、想像を超える困難と孤独に立ち向かい動物史上最長記録を泳いだヨシへの、理解者のようなまなざしも込められています。

100年を生きるといわれるウミガメ、ヨシは今も、広大な海をのびのびと泳いでいるでしょうか。その姿に心を重ねながら、ウミガメが生きる環境保護へも思いをつないでいきたい一冊です。

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