虚血性大腸炎レポ、血便や吐き気の描写がリアルだと話題！漫画家の西餅さん「救急車を呼ぶかどうか迷った」《インタビュー》

かなり強い腹痛と出そうで出ない便、しばらくすると血便が…。ある日突然「虚血性大腸炎」の症状に見舞われた漫画家の西餅（にしもち）さん。その様子を描いたエッセイ漫画がツイッターでバズった。

夫に見守られながら#7119（救急の相談窓口）に連絡したことや、食事制限中に食べたものを公開するなど、病気にまつわる一部始終が描かれたレポートはかなりリアル。それでいて、合間にはさまれる小ネタが秀逸。この状況でギャグ!? と、笑っちゃいけないけど吹き出しながら読んだ人は少なくないはず。

実際の様子はどのような感じだったのか。そして、なぜこんなに笑えるのか。この作品のおもしろさに迫るべく、西餅さん本人に直撃した。

●インパクトのある病状を漫画に

——大変興味深く読ませていただきました。虚血性大腸炎のことをレポ漫画にしようと思った理由とは？

西餅：救急車を呼ぶかどうか迷うほど病状にインパクトがあるので、「漫画でシェアしても良いかもしれない」と思ったのが理由です。

——ツイッターでバズったことを知って、どのように感じましたか？

西餅：病気の体験談はある意味、未知の体験でもあるので、みなさんも興味があるのかなと思いました。

——虚血性大腸炎になって、漫画業への影響はどれほどありましたか？

西餅：絶食期間中は空腹で頭が働かず、連載作のネームができませんでした。その期間を利用して、この体験談を描きました。

●夫がなぜかプロテインシェーカーを…

——非常時にかかわらず、「救急車を呼ぶかどうかの基準は元気良く『イェ〜イ』と言えるかどうか」などの謎ルールを語る西餅さん、そこにスパッと優しく突っ込む旦那さんのコンビが最高でした。実際の旦那さんはどんな感じでしたか？

西餅：やっぱり少し動揺していたと思います。コップじゃない入れ物に水を持ってきてくれました。プロテインシェーカーでした。なぜ…。

——こんなに冷静な旦那さんがそこまで動揺するとは…事の大きさが伝わってきます。ちなみに、西餅さんはトイレが近いほうで、趣味のスポーツ観戦では“スタイリッシュオムツ”を身につけることもあるとか。大腸カメラの日は、旦那さんまでオムツをつけておしゃれな街を闊歩したそうですね。そこにあるのは旦那さんの優しさ（？）でしょうか。

西餅：履き心地を試してみたい、という気持ちがあったようです。ところで、下着タイプのオムツは着け心地はいいのですが、大量の尿を受け止めきれない可能性があるので要注意らしいです。

——#7119への電話では、虚勢を張ってハキハキと喋ってしまい、相手から楽しそうな雑談を持ちかけられてしまう…というまさかの事態が。具合が悪いのに、電話口で虚勢を張ってしまうのは、なぜなのでしょう…。

西餅：全く知らない人に、急に助けを求められない心理が働いているんでしょうか。

——西餅さんが推しているラグビーチーム・ブラックラムズについて、病院の先生と盛り上がるエピソードでは、絶妙なオチに反響が！ 豪雨の負け試合でも楽しめるほど、このチームにハマっているそうですね。

西餅：負けた時にも心がへこまないようにナイスゲームな箇所を探すようにしています。ポジティブな見方をすると、より観戦が楽しくなりいっそうチームを応援したくなります。そのおかげなのか、負けたとしてもナイスゲームな箇所を探しているうちに、「じつは今日は負けてなかったのでは？」「これはもう勝ちにカウントしてもいいのでは？」と行き過ぎたポジティブシンキングができるようになりました。そんな毎日が楽しいです。

●次に描きたい案があり、ネタを集めています

——西餅さんが漫画を描き始めたきっかけとは？

西餅：前職を辞めてから再就職先を探していましたが、驚きの全滅で。お金に困ってきたところ、「週刊モーニング」の新人賞を目にして、漫画を描いてみようかなと思ったのがきっかけです。

——西餅さんといえば、女子大生×電子工作、野球×ロジカルなどをテーマにした唯一無二の作品を描き続けていらっしゃいます。これから漫画で挑戦したいことは？

西餅：次はこれを描こうかな…と思う案があり、ネタを集めているところです。ユニークなものを目指したいと思います。

——ツイッターでは新しいエッセイ漫画も公開され、次回作にも期待が高まっています。これからも描いていく予定はありますか？

西餅：はい。以前から日記的な漫画を描きたいと思っていましたので。

——実際に虚血性大腸炎になった人からの反響も大きかったですね。この漫画を読んだ人に伝えたいことを教えてください。

西餅：血行不良や便秘が原因で、わりと大きな病状が出るのって怖いですよね。座り仕事の方は、1時間に1回はストレッチをして、血便が出た方は一度検査してもらうことをおすすめします。

文＝吉田あき