小芝風花さんが選んだ1冊は?「周りがどう言おうと、『私は私』って思えるように強くありたいです」

あの人と本の話 and more

公開日:2023/7/14

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年8月号からの転載になります。

小芝風花さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、小芝風花さん。

(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)

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「気持ちが楽になりました。頑張らなくていいんだなと」

『いい人にだけいい人でいればいい』――このタイトルに小芝さんは心をつかまれ、年末年始のお休みの間、本書を読んでいたのだと言う。一番響いたのは、まさにタイトルと同じ題の付いたメッセージ。

〈ある人はあなたを丸だと言い、またある人は四角だと言っても、気にしないこと。〉

「このお仕事をしていると、SNSでいろんなご意見が届くんです。明るくて元気とか、逆に笑顔が嘘っぽいとか、勝手なイメージを押し付けられることも(笑)。今までそのすべてが気になって、皆さんのイメージを壊さないように、と頑張った時期もありました」

 でも、等身大でいい、と本書は思わせてくれた。

「仕事と日常に埋もれていると、『私ってどんな人間だっけ?』とまた自分を見失いそうになります。そういうときにも、周りがどう言おうと、『私は私』って思えるように強くありたいです」

 今でも本書を開くことがある。

「いつでもポンと優しく球を投げてくれて、心にストンと落ちる感じ。とてもほっとします」

 小芝さんがヒロインを務める7月スタートのドラマ『転職の魔王様』も、本書と重なるテーマでは?

「そうなんです。ちょうどこの本と同じときにドラマの原作小説も読んでいて。同じように自分を見つめ直すきっかけになりました」

 小芝さんが演じる千晴は、大手広告代理店を退職。ハードな労働環境で「気持ち悪い社畜」となった結果、働く自信と希望を失っている。

「千晴は必要とされるのが嬉しくて、それに全力で応えようと頑張りすぎてしまう。先ほども言ったように、私も周りを気にするタイプなので、千晴には共感します。だから成田凌さん演じる来栖の、厳しいけど本気の言葉は、心に刺さりました」

 小芝さん自身は、“転職”を考えたことはあるのだろうか?

「実は一度もないんです。俳優のお仕事が大好きですし、他に何もできないと思います。パソコンも使えないし、絶対ポンコツ(笑)」

 仕事と人生に向き合う人々を描く『転職の魔王様』。では、小芝さんの人生にとって俳優業とは?

「二度と同じ作品はなくて、毎回新しいものに挑戦できる。それを観て受け止めてくださる方がいるのは、本当に幸せだと思います」

ヘアメイク:反町雄一 スタイリング:森宗大輔

こしば・ふうか●1997年、大阪府生まれ。2012年、俳優デビュー。初主演映画『魔女の宅急便』(14年)で第57回ブルーリボン賞・新人賞、第24回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞。近年の出演作は『貞子DX』、ドラマ『霊媒探偵 城塚翡翠』『波よ聞いてくれ』など。24年2月9日に主演映画『レディ加賀』が公開予定。

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『転職の魔王様』

『転職の魔王様』

原作:『転職の魔王様』『転職の魔王様2.0』額賀 澪(PHP研究所) 出演:成田 凌、小芝風花、石田ゆり子、山口紗弥加、藤原大佑、おいでやす小田、前田公輝 7月17日(月)スタート 毎週月曜夜10時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
●“転職の魔王様”の異名を持つ、毒舌敏腕キャリアアドバイザー・来栖嵐。大手広告代理店を退職した千晴は彼と出会い、自身の“本音”と向き合うことに。