半田健人が選んだ1冊は?「高度成長期の日本人が精一杯作った、その健気さが愛おしくなります」

あの人と本の話 and more

公開日:2024/2/14

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年3月号からの転載になります。

半田健人さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、半田健人さん。

(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)

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「僕の人生を変えた一冊です」

 音楽、とくに昭和歌謡に造詣が深い半田さんは、『60年代ビザール・ギターズ』についてこう語る。

「ビザール・ギターという名前を生んだのが、このムックです。僕もこれを読んで、こんなにデザイン性の高い様々なバリエーションの日本製ギターが存在したんだと知りました。絶対欲しい!と思いましたね」

 ネットオークションなどで集め、一時は100本以上も所有していた。

「メイドイン・ジャパンの魅力に惹かれました。当時の日本のメーカーは、エレキギターがどう作られているか知らなかった。だから常識からすると、間違った構造になっていたりします。でも、それが逆にアメリカなどの一流メーカーにはない、オリジナルなサウンドを生んでいます」

 工芸品のようにも感じるという。

「高度成長期の日本人が精一杯作った、その健気さが愛おしくなります。ギターだけじゃない。僕は何でも国産が好きです。音楽も映画も車も」

 ムックを作った『ギターマガジン』の元編集長・野口広之さんとも現在は親しい。

「ビザール・ギターの新たな歴史も加えて第2弾を出してほしいとお願いしています」

 一方、半田さんの俳優人生を大きく動かしたのは、『仮面ライダー555』だ。今、新作『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』が期間限定上映されている。

「日本の文化である仮面ライダーだからこそ、今も多くのファンの方たちに愛されているのだと思います。そういう作品に参加できたことを、ずっと光栄に感じています」

『仮面ライダー555』のテーマの一つは人間と人間の進化形・オルフェノクとの関わりにある。半田さん演じる主人公・乾巧も、仮面ライダーでありながらオルフェノクだ。

「巧は、仮面ライダー1号の本郷猛が背負っていたバックボーンを継承していると思います。同時に、マイノリティーとメジャーといった非常に現代的な要素も多く含んでいます。単純な善悪二元論ではない、人と社会の本質を描いた物語です」

 本作には芳賀優里亜さん、村上幸平さん、唐橋充さんなどオリジナルキャストが再集結している。

「20年前とまったく変わらない。昨日まで皆で撮影していたような不思議な感覚でした。セリフにもシーンにも一切無駄のない、「555」ファンなら必ずご満足いただける、凝縮された作品になっています」

はんだ・けんと●1984年、兵庫県生まれ。2002年、『ごくせん』でドラマデビュー。03年、『仮面ライダー555』で初主演。23年、アルバム『昨日とちがう今日だから』をリリース。主な出演作は、ドラマ『約束のステージ 〜時を駆けるふたりの歌〜』、映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』など。

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原作:石ノ森章太郎 監督:田﨑竜太 出演:半田健人、芳賀優里亜、村上幸平、唐橋 充、福田ルミカ、浅川大治、柳川るい、土師野隆之介、松澤可苑、進藤あまね、高岩成二 配給:東映ビデオ 期間限定上映
●「平成仮面ライダー」シリーズ第4作『仮面ライダー555(ファイズ)』。テレビ放送から20年、人類の進化形・オルフェノクと人類を巡る物語の「その後」が描かれる。
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