人気声優がハマったおすすめ本「阿久津加菜、五十嵐裕美、森谷 里美」

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更新日:2014/4/11


【声優と本と私】声優・阿久津加菜、五十嵐裕美、森谷里美が語るお薦め本&グラビア

 声優の演技力や表現力の向上にかかせないと言われる本。収録によってはト書き(脚本でセリフの間に、俳優の演技、照明・音楽・効果などの演出を聞き入れた文章)のない台本や映像がない時もあり、セリフからイメージを膨らませて、担当するキャラクターを演じなければならない場面がある。

また、ある声優事務所の経営者いわく、声優にもっとも必要なものは「声質」であり、身につけるべきスキルは「想像力」であると伺ったことがある。声質はもって生まれた才能によるところがあるが、後者の想像力は現実、空想問わず、いかに多くの【物語】やストーリーに触れているかで磨かれるのではないだろうか?

そんな【物語】を身近にもっとも簡単に手に入れられる本は、声優にとって非常に重要なアイテムかもしれない。

そこで、当連載では「声優と本と私」と題し、幅広いジャンルで活躍する人気声優におススメ本を1冊、さらに本や読書にまつわる話をインタビューしてみようと思う。

第一回目となる今回は、同じ事務所に所属する仲良し三人組である阿久津加菜、五十嵐裕美、森谷里美(敬称略)から話を聞いた。それではさっそく紹介しよう。

■阿久津加菜

――おすすめの本を教えてください
私がおすすめしたいのは、豊田巧さんの「RAIL WARS 日本國有鉄道公安隊」です。
現在6巻まで発売されているのですが、全部読んでいます。

――なぜその本を?
ラノベではあるのですが、とても一般小説っぽいんです。

「RAIL WARS」の現実にない設定は「電車がまだ国営化されていたら」という部分だけです。
大宮駅だったり、高崎線だったり、現実にある駅や電車が登場します。
でも、マンガのようなキャッチーさもあるんですよ。

小説とマンガの中間くらいの存在で、とても面白いです。
2.5次元の話みたいで、親近感を抱きます。

――どんな部分がおすすめ?
主人公が将来の安定の為に超巨大優良企業・國鉄に入りたい!
と、なんだかリアルなところです(笑)

他にもいろんなキャラクターが登場するのですが、全員魅力的ですね。

――印象に残っているエピソードは?
事件も「駅構内のひったくり」とか、現実世界で起こるようなことしか起こりません。
それを必死に解決していく姿がいいんですよね。
魔法で解決!みたいなことにはならないです(笑)

――どんな人に読んで欲しいですか?
ベタな展開が多いので、奇抜なものが苦手な方におすすめですね。
あと、鉄オタの人には馴染み深いかと。


――話は変わりまして、いつくらいから読書をされていますか?
私の本好きは母の賜物なんです!
お腹にいるときから、本を読み聞かせてくれていました。
生まれてからも童話をいつも読んでくれていて……。

その甲斐があって、気づいた時には読書好きになっていましたね。
おかげ様で国語の成績もよかったです。

後から聞いた話ですが、母は本が苦手だったそうです。
それでも私の為に読んでくれていたみたいで。
母には感謝しています。

――好きな本のジャンルは?
おすすめされたものは片っ端から読んでます。
一般的な小説も読みますし、ベタな少女マンガも読みます。

その中でも好きなのは、ノンフィクションものや手記ですね。
読み終わったあとには、その本が書かれた背景をインターネットで調べています。

――どれくらいの頻度で本を読んでいますか?
月に2冊くらいは読んでいます。
今、神永学さんの「心霊探偵八雲シリーズ」を読んでる最中です。


――声優の仕事をしていて「本を読んでおいてよかった!」と感じたことはありますか?
たくさんあります!
一番感じるのは、漢字が読めるようになりましたね。
当て字のような難解な漢字にも詳しくなりました。

あとは、先読みが上手くなっているなと感じます。
キャラクターの心情が読み取れるんですよね。
このセリフを受けて、次のセリフはこうなるのでは!?みたいな予測がつくようになりました。

セリフに込められた細かなニュアンスも掴めることが多いです。

本当、読書好きにさせてくれたお母さんに感謝です(笑)


五十嵐裕美

――おすすめの本を教えてください
私がおすすめしたいのは、綾辻行人先生の「Another」です。

――なぜその本を?
Anotherがアニメ化するにあたり、オーディション用に読んだのが最初です。
読み始めてすぐに虜になりました。
電車に乗っている時間が5分であっても、その時間を使って読んでました。
この本と出会ったのは運命です!
なんでもっと早く出会えなかったのだろうかと悔しいです……!

――見どころは?
ミステリーよりもホラーに近いですね。
正直、「怖い!キモい!」っていう描写も多いのですが、どんどん謎が深まっていき、読むのを止められないんです。
そして最後のどんでん返し!
とにかく結末が衝撃的ですよ。

――印象に残っているエピソードは?
主人公とお姉さんのエピソードですね。
それ以外にも、家族との会話は伏線になっていて、すごいんです。
注意して読んで行くと面白いです。

――どんな人に読んで欲しいですか?
そろそろ夏ですし、時期的にも「ホラー」はいかがですか?

――綾辻行人先生の大ファンだとか?
綾辻先生の作品、もう大好きです!
私は運よく、アニメ「Another」のOVAで、藤岡未咲役を演じさせていただきました。
その打ち上げで、綾辻先生にお会い出来たんですよ!
うれしくて原作本にサインをいただいてしまいました。
今日もそのサイン入り本を持参しています!

もしこれから綾辻先生の作品を読まれる方がいらっしゃれば「館シリーズ」をおすすめします。
他にも「殺人鬼シリーズ」もおもしろいですよ。


――話は変わりまして、いつくらいから読書をされていますか?
私、実は活字が苦手なんです。
今でも読むの遅いですよ。

ただ、苦手ながらも本は読んでいましたね。
母がミステリー好きなので、ダ・ヴィンチ・コードやアガサ・クリスティを読んでいました。

――どれくらいの頻度で本を読んでいますか?
今月はラノベを2冊くらいは読んでいます。
ラノベをあまり読んだことがなかったのですが、おもしろいんですね!

たくさん本を読みたいなとは思っているのですが……
私、本によって読むスピードが変わるんです。
第三者語りはとても遅くなってしまいます。

あと、外国の話はちょっと苦手です。
カタカナの名前が覚えられなくて(笑)
いちばん苦戦したのはロシアの方の名前です……。


――声優の仕事をしていて「本を読んでおいてよかった!」と感じたことはありますか?
小説はそこに至るまでの心情や、周囲の風景が細かく書かれていますよね。
それを色々と想像しながら読んでいます。
想像力が養われるので、とても役立っています。


■森谷里美

――おすすめの本を教えてください
私がおすすめしたいのは、中条比紗也さんの「花ざかりの君たちへ」です。

――なぜその本を?
高校の頃、友達からすすめられて読み始めました。
それですっかりハマってしまって……。
借りるよりも早く読みたい!と思い、集めました。
早く続きが読みたくて、5冊などまとまった数を買ってました。
当時にしては大人買いでしたね。

それまで、私は姉のマンガを借りて読むことが多かったんです。
なかなか自分では買いませんでした。
この本だけは自分の意志で全て集めた!という思い入れがあります。

――おすすめする理由は?
マンガならではの展開ですね。
女の子が男の子のふりをして男子校に入学する話なのですが、普通に考えたらバレるじゃないですか(笑)
現実離れした設定なのに、学園ものなので話に入りやすいです。

あと、キャラクターがすごくいいです!
主人公もその周囲の人物もみんな性格がいいんですよ。
悪い人がいないっていうのがいいですね。

――印象に残っているエピソードは?
ヒロインは、周囲に女の子だということがバレてはいけないんです。
でも、ヒロインと実は両想いの男の子は、女の子だって知っています。

ヒロインが落ち込んでいるときに、男の子はヒロインを慰めるんですよね。

そのシーンで本当は相手が好きな女の子だから、好きな女の子に向けた慰め方をしたいんです。
でも、ヒロインに実は女だと分っていることを悟られてはいけないので、男の子も男向けの慰め方をするんですよね。
その言葉や心情は、切なくてキュンとします。

――どんな人に読んで欲しいですか?
今の現役の女子学生さんですね。
大人の女子にも、学園生活の懐かしさを思い出させてくれるものだと思うのでおすすめです。


――話は変わりまして、いつくらいから読書をされていますか?
小さな頃から母親が読み聞かせをしてくれていました。
家に童話全集があったので、それを読んでもらっていましたね。

――どれくらいの頻度で本を読んでいますか?
今は月に2~3冊くらい読んでいます。
ほとんどが仕事関係の本ですね。
個人的に今一番読みたいのは、最近発売された大泉洋さんのエッセイです。

――好きな本のジャンルは?
ファンタジーです。
不思議な力が働くような話が好きですね。
色々と想像できるので、読んでいて楽しいです。


――声優の仕事をしていて「本を読んでおいてよかった!」と感じたことはありますか?
キャラクターが掴みやすくなりました。
台本を頂いて読んでみると「この役はあの本のヒロインに雰囲気が似てる!」と思ったり、時には現実の人物に置き換えて考えることもあります。
色々な本を読み、たくさんのキャラクターに出会うということは、声優の仕事でも力になると思いまし、これからもっと幅広いジャンルの本を読まなくては!と思っています。

――みなさんありがとうございました。

お薦めする本は十人十色でも、読書をすることで声優としてのスキルアップに繋がっていると語ってくれた3人。活字離れが叫ばれて久しい中、声優を目指す若者は反比例するかのように年々増えている。まさに「声優になりたければ本を読もう!」かもしれない。

(インタビュー:shioko、文=橋本商店、撮影=山本哲也)

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(ダ・ヴィンチ電子ナビ アニメ部)