漫才手数論的に観る『てーきゅう』の魅力 【俺の覇権アニメ】

アニメ部

2013/9/16

 そろそろ夏アニメも終わりそうなこの季節。ひと夏の想い出として皆さんの心にしっかり刻まれていることと思います。

当編集部のライターが自分の一押しアニメを好き勝手に紹介する「俺の覇権アニメ」。残念ながら残すところ、あと3回となりました。

第5回は超ハイテンション高速ギャグアニメ『てーきゅう』のご紹介です。

それでは、さっそく語っていただきましょう。

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 突然ですが、漫才において手数論という見方があるのをご存知ですか? 大雑把に言うと漫才をボケの数から分析するという手法で、在野ではずっと以前から使われていたそうですが、漫才コンテスト「M-1グランプリ」の後期あたりでネットのお笑いファン界隈でも話題になりました。

 その観点から言うと、たとえばナイツは淡々と、しかし高密度にボケを重ねていくタイプで、2008年のNON STYLEはボケに対してツッコミをし、さらにボケるというのを繰り返すという手数の多さで優勝(なんと4分強でボケの数が51個!)。逆にスリムクラブは“手数は多いほうが有利”という風潮を逆手に取り、ゆっくりしたスピードの漫才で、ボケの回数を極端に少なくして圧倒的な存在感を放っています。
※筆者、漫才については本当にド素人なので解釈が間違っていたら申し訳ありません。ツッコミを待っています。

 で、ようやく筆者が今回推すアニメ『てーきゅう』の話になります。みなさん『てーきゅう』は観ていますか? ツイアニ読者なら観ていなくても「なんか早口のヤツ」「テニスアニメ」「『有頂天家族』と『八犬伝』の間」くらいの知識はあるかもしれませんが、念のためここで概要を説明。『てーきゅう』はコミック アース・スター(アース・スターエンターテイメント社刊)に連載されているマンガを原作とした作品で、テニスをほとんどしないテニスアニメです。


▲ほとんどテニスをしないテニス部のメンバー。中央がツッコミ役の押本ユリ(CV:渡部優衣)、残りはとにかくアホな新庄かなえ(右下、CV:三森すずこ)、お金持ちで天然の高宮なすの(右上、CV:鳴海杏子)、変態の板東まりも(左上、CV:花澤香菜)で、全員ボケ。

 それだけだと「はいはい、よくある日常系コメディね」、「なんだ『そふてにっ』か」と思われる方もいるかもしれませんが(いえ筆者、『そふてにっ』も大好きですよ!)、最大の特徴は放送時間が2分(OPが30秒あるので、実質1.5分)と非常に短いこと。それでも連載1回(12ページ)をちゃんとこなすため、登場人物はとにかく早口で、場面も次々に移り変わります。『てーきゅう』のジャンルは“スーパーハイテンションギャグコメディ”と銘打たれていますが、この異常なスピード感と破滅的なギャグがその源となっているのですね。

 ただ現在、放映している第2期について実は筆者の周囲では少し不満の声も。彼らによると「なんか1期と違う」、「聞き取れない」そうで、自分なんかは「1期よりすごくなってる!」と感じていたので意外でした。そこで冒頭で紹介した手数論を思い出し、『てーきゅう』1期と2期でボケの数を比較してみました。「どれをボケと感じるか」は人によって少し違いがあるでしょうから、あくまで参考程度に。

※左から作品、ボケ回数、1ボケ辺りの秒数
『てーきゅう』1期全話平均:11.8回/7.6秒
『てーきゅう』2期10話まで平均:16.1回/5.6秒

 このように2期になってボケの数は明らかに増えており、1ボケ辺りにかかる秒数はついに2008年M-1グランプリ王者に迫ろうという勢い。特にスピード感がわかりやすいのが2期3~5話(合宿に行って卓球ばかりする話)で、第1期主題歌CD『没落貴族のためのてーきゅう』に収録された同じ原作の話をしているオーディオドラマではそれぞれ2分49秒、3分57秒、5分23秒使われているのに、アニメではすべて1分30秒! そりゃ早口過ぎて「聞き取れない」という人が出るのも仕方ないのかもしれません。


▲CD『没落貴族のためのてーきゅう』ジャケット。コミケ限定販売でしたが、『没落貴族のためのてーきゅう』5種類、オーディオドラマ4話、キャスト陣のフリーコメントなど内容満載で、ファンなら色んな手段を使ってでも買っておきたいところ。

 ちなみに参考として、今期のミニアニメから2作品と『日常』から筆者の大好きなエピソード(ゆっこが澪を追いかける「ちゃんみお!」の話)のデータも掲載します。

『にゅるにゅる!!KAKUSENくん』ランダムで選んだ3回平均:7.3回/16.4秒
『マジでオタクなイングリッシュ! りぼんちゃん~英語で戦う魔法少女~』最終話:7回/34.3秒
『日常』日常の107:20回/16.5秒

 ほかの短時間アニメと比べると、さらに『てーきゅう』の濃度の異常さがわかります。もちろんボケの数が多いほうがいいとは一概には言えませんが、このスピード感は『てーきゅう』でしか味わえないもの。これを観て早口に慣れておけば「溜まったアニメの消化がダリィ」って時に早送りで観ても、理解が捗るかもしれません(アニメはできるだけ普通の再生で観ましょう)。

 そんな『てーきゅう』ですが、10月からは第3期も始まります。今のようなハイスピードコメディが続くのか、それともさらにスピードアップするのか……まるでテニスのラリーのように繰り広げられるボケとツッコミのジェットスターを楽しみに待ちましょう(うまくまとまった!)。

 最後にアニメ『てーきゅう』をより楽しむための副読本を紹介。まずはWEBアニメスタイルで連載されている「板垣伸のいきあたりバッタリ!」。
『てーきゅう』の監督兼脚本兼演出兼キャラクターデザイン兼音響監督である板垣伸氏による連載で、『てーきゅう』制作の裏話もよく掲載されています。
もうひとつは原作版『てーきゅう』。なんと言ってもアニメ本編中に「聞き取れないあのセリフがわかる!」と紹介されていますからね……。


▲原作版『てーきゅう』は5巻まで発売中。画像は最新5巻。アニメ化で削られたボケの確認やおまけマンガも楽しいですよ!

(文=はるのおと)

てーきゅう 情報

・TVアニメ『てーきゅう』公式サイト
http://te-kyu.com/

・TVアニメ『てーきゅう Twitter
https://twitter.com/te_kyu