片岡愛之助が楳図かずおを演じる! 「怪我などなく無事に撮影を終えられるのか、本当に不安でした(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/9/5

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。歌舞伎界きっての二枚目役者・片岡愛之助が新作ホラー映画『MOTHER』で演じたのは、なんとマンガ家・楳図かずお! 御年78歳となる楳図さんが自ら初監督を務めたことでも話題のこの作品、撮影前に何やら不穏な出来事があったようで。

「制作が決まってしばらくしてからのことでした。楳図先生が入院されたとの知らせが入ったんです」

 聞けば、頭を怪我したという。

「タイミングがタイミングだっただけに、撮影は来年に延びるかなあと思ったのですが、順調に快復されたので、ほっと胸を撫で下ろしたものでした」

 しばらくして、楳図さんから食事の誘いがあった。

「僕も昔から『まことちゃん』や『漂流教室』を愛読させていただきましたので、喜んで馳せ参じました。初めてお会いした楳図先生の印象は、とても優しかった。けれど同時に、人間の奥底まで見通すような目をされているとも感じました」

 和やかに進む会食。だが、楳図さんの口からは思わずぞっとするような話が飛び出す。

「台本に書かれているエピソードのほとんどが、実際にあったことだとおっしゃるんです。たとえば、マンガを描いている最中に誤って手のひらにペンを貫き刺してしまうシーン、それも本当にあった、と。確かに、先生の手にはその怪我の痕がはっきり残っていました」

 さらに、愛之助さんを恐怖のどん底に叩き込む驚愕の事実が。

「入院された時、手術のために髪を一部剃らなければいけなかったそうなのですね。それはよくある話です。ただ、その剃った部分というのが……」

 ある登場人物が、怨霊と化した母・イチエの手で髪を引き抜かれる箇所と全く同じだったのだ。

「僕もすでに台本を読んでいましたから、もう怖いのなんの。先生は『こういう偶然があるホラー映画は必ずヒットするんですよ』なんてのんきに笑っておられましたが、撮影前からそんな調子で、僕は怪我などなく無事に撮影を終えられるのかと本気で心配しました(笑)」

 結局、何事も無く終わったものの、クランクアップまで気が気でなかったそう。愛之助さんを震え上がらせたそのシーン、ぜひ劇場で確認してみてほしい。

(取材・文=門賀美央子 写真=川口宗道)

片岡愛之助

かたおか・あいのすけ●1972年、大阪府生まれ。歌舞伎役者。81年、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、92年に六代目片岡愛之助を襲名。以来、上方歌舞伎のホープとしてキャリアを重ねる。2013年、ドラマ『半沢直樹』でのオネエ口調の金融庁検査官役がブレイク。10月は大阪松竹座にて新作歌舞伎『GOEMON』で今井翼と共演予定。
ヘアメイク=山崎潤子(アルブル) スタイリング=手塚陽介

 

『まことちゃん』書影

紙『まことちゃん』(全12巻)

楳図かずお 小学館文庫 各629円(税別)

1976年に『週刊少年サンデー』での定期連載が始まるやいなや、子供から一部の大人まで巻き込み、社会現象にもなったギャグマンガ。幼稚園のまことちゃんが繰り出すシモネタ、エロネタの数々は、良識ある大人の大顰蹙を買いつつも、映画化されるほどの人気を博した。「グワシ!」「サバラ!」は不朽の決め文句である。

片岡愛之助さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ10月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『MOTHER』

監督/楳図かずお 出演/片岡愛之助、舞羽美海、中川翔子(友情出演)、真行寺君枝 配給/松竹メディア事業部 9月27日(土)全国ロードショー
●最愛の母の死に打ち沈む楳図かずおのもとに、大ファンだという女性編集者が訪れた。若くひたむきな彼女の姿に楳図の心がときめいたその時、窓辺の赤い皿が突然割れる。その皿は楳図が母の遺影代わりに飾っているものだった。以来、奇怪な出来事が起こり始めて……恐怖マンガの巨匠が初監督を務めた半自伝的ホラー映画。
(c)2014「マザー」製作委員会