千原ジュニアの“便所でふと思ったすべらない話”――7年間の連載をまとめた『これにて、便所は宇宙である』発売!【インタビュー】

エンタメ

2017/11/17

千原ジュニアの最新刊『これにて、便所は宇宙である』が11月20日に発売される。『週刊SPA!』誌上で7年間の連載、今作で6冊目の書籍化でついに大団円を迎えるわけとなったが、この最終巻はまさに純度100%の千原ジュニアが詰まっているといえよう。世の中への些末な疑問、怒り、周辺で起こったハプニングを軸に話がAからB、BからCへとどんどん展開していく100本ものネタは、まさに『すべらない話』。話芸の天才と称される彼の芸を紙の上でも堪能できる1冊だ。今回は発売を記念して、本人にインタビューを敢行した!

――『SPA!』誌上で連載が始まった、そもそもの経緯は?

千原ジュニア氏(以下、ジュニア) 自宅のトイレに黒いノートを置いてるんですが、そこに思いついたこととか降りてきた言葉をメモする習慣があって。それを皆さんにも見ていただくということで、連載が始まりました。もっといえば僕の父親は設計士で、事務所のトイレにメモ帳がぶら下げられてて。そこに父親が書いた計算式を、僕は幼いころに見ていたんです。ですからDNAというか、名残りがあるんでしょうね。

――『SPA!』誌上で7年間、書籍として6冊。ついに『便所は宇宙』シリーズが終わるわけですが、率直な感想は?

ジュニア 7年もあれば、いろんなことが変わりますからね。連載が始まったのは36歳。僕でいえば43歳になったり、甥っ子が1人増えたり、妻帯者になったり。

――SPA!の連載では、ネタを2本掲載されるパターンがほとんどでした。それを毎週7年間続けるのは大変でした?

ジュニア 読んでいる方には関係ない話ですが、時事ネタはほぼないんですよ。ほとんどは自分の内側から出てきた言葉だったり、話であったり。ゼロから作っているわけで、便秘というか、苦労した週もありましたね。

――5冊目までは〝便所本〟ということからか、「漏らした」エピソードが各巻に載っていました。

ジュニア 20枚新しいパンツを買って、それを正月からおろしていくんですよ。でも年末に数えたら、それが14枚くらいになってますからね(笑)。

――それが最新刊では「漏らし」エピソードがないんですよ。もっというと、ご結婚されてからないんです。

ジュニア えーっ不思議! 何か締まったんですかね? 気ぃと括約筋が(笑)。それでいうと結婚してすぐ、僕はストレスが原因の突発性難聴になって左耳が聞こえなくなったんですよ。同じ病気になったミュージシャンがこぞって訪れるという漢方薬屋が近所にあったので、調合してもらって。それを煎じたものを飲むために、一時期水筒を持ち歩いてたんです。朝、奥さんが用意してくれてたのですが、そもそものストレスの根源が僕に煎じて渡してくれるという。これ、何かのことわざになるんちゃうか? って思いましたけどね(笑)。

――最近、便所でふと思ったことがあればお伺いしたいのですが。

ジュニア こないだある正月特番の収録で、棋士の羽生善治さんと初めてお会いしたんです。将棋界のトップということは、世界でも最高峰の頭脳の持ち主ともいえる方。ですが、何のオーラも感じない。あそこまでいききると威圧感も、存在感すら感じない、ただただそこにいるというか。ほんま、世田谷税務署のオッサンと変わらない佇まいなんです。逆にオーラすら見せてくれないんだって思いました。これは凄いことですよ。僕は思わず、マネージャーに「サイン色紙買ってきてくれ」って言いましたもん。自分からサインをもらいに行ったのは人生で初めてでした。

――番組ではどんなことを?

ジュニア 羽生さんがある方と将棋を指すのですが、これがちょっと変わってて。将棋では「参りました」と投了したときの駒の配置を投了図といいます。その投了図から戦いが始まるんです。もちろん投了した側に羽生さんが座るのですが、しかもその投了図自体が過去に羽生さんが倒した相手の投了図なんです。そこから盤がぐるっとまわり、羽生さんは自分が投了した状態から打ち始める。果たして羽生さんは自分に勝てるか? という。そこから羽生さんは攻めていくのですが、僕は「あれ、待てよ?」と。じゃあ羽生さんは「まだここから戦法はいくらでもあるのに、もう投了するの?」と感じてはったということです。「何手先を読む」といいますが、そんなもんじゃない。戦法は何もパターンもあって、それぞれの戦法の何手先も読み合う。ですから僕らには盤上の駒しか見えませんが、棋士同士には何百という駒がブワ~動いて見えているんですよ。

――我々にはまったく見えない世界を見ているんですね。

ジュニア ほんまに、そう。もっといえば「読み合う」ということは、対戦相手にもなりきっているわけで。ですから、僕らには盤を囲んだ2人しか見えませんが実際には4人でやっているんです。いや、「この流れだと、以前こう攻められた」と他の人のことも頭をよぎるでしょうから、盤には何人もの姿があるわけですよ。だから座布団の上には何人座っとんねん、という話です。

――なるほど。

ジュニア 座布団の上に座って商売するのは棋士と落語家くらいです。その落語も座布団の上で何人もの人間を演じていきます。だから小さな座布団の上には、何十人も座れるんです。……みたいなことをね、便座に座りながら思いましたよ。ひとりしか座れない便座の上で(笑)。

このような〝便所でふと思ったこから広がる思索の宇宙〟が108本も詰まった『これにて、便所は宇宙である』には、特別企画としてジュニアが心の師匠と仰ぐ板尾創路との師弟対談も収録。25年来の付き合いとなるふたりの濃密な芸談も必見である。この一冊を手に取り、千原ジュニアの頭ン中を堪能してみてはいかがだろうか。

取材・文=村橋ゴロー 写真=山本哲也

なお、最新刊『これにて、便所は宇宙である』の先行販売記念企画として、11月19日(日)に紀伊國屋書店新宿本店にてサイン会が行われる。詳しくは公式サイトをチェックしてみよう。
○日  時:2017年11月19日(日) 16:30~ 
○場  所:紀伊國屋書店新宿本店 8階イベントスペース
○参加方法:参加には整理券(先着200名)が必要です。
※整理券はお1人様1枚までとさせていただきます。
※整理券の数には限りがございます。なくなり次第、配布を終了させていただきます。
詳細はこちら:https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20171030100024.html