武器は、腕が抜けるほどの全力パフォーマンス。ルーチェの5人は何を目指し、進むのか――Luce Twinkle Wink☆インタビュー

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公開日:2018/10/24

 2015年11月、1stシングル『恋色♡思考回路』でメジャーデビューした5人組アイドルグループ、Luce Twinkle Wink☆(ルーチェ・トゥインクル・ウィンク)。彼女たちが持っている他の誰にも負けない武器、それはステージ上で繰り広げるライブパフォーマンスの強度である。「パフォーマンスの強度って?」と、少しでも気になった方は、上のライブダイジェスト映像をぜひとも観てほしい。アイドルのライブを評して「全力のパフォーマンス」と評することはさほど珍しいことではないけど、ルーチェの5人は「腕が抜けちゃうんじゃないか?」と思うほどの振り切れたステージを見せてくれる。10月24日発売の5thシングル『Symphony』のリリースを前に、ルーチェの現在について話を聞いた。

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Luce Twinkle Wink☆を生活の一部にして賭けてきた気持ちを、曲に残したいと思った(錦織)

――ニューシングル『Symphony』をレコーディングする上で、どんなことをポイントにしましたか。

宇佐美幸乃:声のかわいさです。最初に聴いたときに、『なんて耳に残るメロディなんだろう』と思ったので、キャッチーで耳に残りやすいかわいい曲だったので、歌声でも負けないくらいかわいさを出したくて、自分ができる最大限のかわいい表現を練習して歌いました。曲が持ってるキラキラ度がすごいので、歌声やわたしたちのパフォーマンスもそれに負けちゃダメだなって。

桧垣果穂:幸乃ちゃんの言う通り、普通に歌ったら歌詞に負けちゃうというか、サーっと流れていっちゃうと思うので、かわいい声を作ったり、一言一言の滑舌をしっかり言うようにして。《大事に思えるわたしが好き》っていう歌詞があるんですけど、そこはほんとに自分のこと大好き、みたいな気持ちで歌ったり、自分の中で聴いている人に伝わるように歌うことは意識しました。

板山紗織:わたしは、お話してるように歌うことを意識しました。表情をつけながら歌ったり、楽しい曲なので、自分で思うように動いてみたり、楽しいレコーディングでした。

深沢紗希:完成した曲を聴いて、ライブで盛り上がりそうだなって思いました。

板山:完成した曲は、よりキラキラ感が増していたので、『すごくかわいい曲になったな』って思って、嬉しかったです。

宇佐美:これはファンの人が好きになってくれるなあって思いました、もう、絶対好きなんです!

錦織めぐみ:きっとファンの人は、『ネコぱら』の世界観も好きになってくれると思います。『ネコぱら』のPVとともに楽曲がYouTubeにあがっていて、それを聴いて自分たちで『えっ、ルーチェ、いいじゃん!』って思っちゃいました(笑)。めちゃくちゃマッチしてるなあと思って、それが感動的でしたね。

――カップリング曲ではメンバーが作詞を担当してますけど、他の4人が歌詞からどんなことを感じたのか、聞いてみたいと思います。まずは、“Strawberry feels”(作詞:宇佐美幸乃)から。

深沢:前に幸乃ちゃんが作詞した“Password”っていう曲があって、それはすごくカッコいい曲で――なんて言うんだろうな、戦場、みたいな(笑)。今回は正反対のかわいくて甘々な曲を幸乃ちゃんが書いてきたので、ビックリしました。幸乃ちゃんも『少女漫画の主人公の気持ちになって書いてみた』って言ってたので、歌うときはわたしも少女漫画の主人公になりきった気持ちで歌っています。

桧垣:今までにもかわいい曲を何曲か歌わせていただいていたんですけど、そういう曲って等身大というか、ちょうどわたしたちくらいの年齢の女の子の目線で書かれている曲が多くて。でも、この曲はほんとにうぶな感じというか……うぶですけど(笑)。

一同:(笑)。

桧垣:ちょっと年齢が下がった女の子目線の曲だし、自分が想像していたかわいい曲以上にもっと追求しないといけないというか、研究してこの曲をかわいく歌いたいな、と思ったので、女子高生の間で流行ってる映画を観たりしました。

錦織:憧れの人に近づきたくって頑張る女の子の気持ちがぎゅぎゅっと詰まってる歌詞だと思うんですけど、わたしにはちょっと甘すぎて、『かわいく歌えるのかな』って最初は心配だったんです。でも、幸乃ちゃんが『すごく甘々な、もうキュンってしちゃう曲を作詞してみたい』って言ってたことがあって、『これはもう幸乃ちゃんの夢を叶えるしかない』って思って。歌詞に出てくる《ストロベリーレッスン》っていう造語は、好きな人のためにかわいくなるおしゃれや努力のことを言うのかなって思っていて。そう思ったら切ないくらいに感情移入しちゃって、今ではすごく好きな曲です。

宇佐美:ほんとに、わたしが考えていた世界観をみんなが自分なりに汲み取って表現してくれて。もちろん、上手く歌うのも大事ですけど、ファンの人が気づいたら聴きながらニヤけちゃってるような感じにしたかったので、みんなが世界観を作ってくれたのがすごく嬉しいです。

――“夢のその先”(作詞:錦織めぐみ)については、どう感じましたか。

板山:強気な歌詞が多いんですけど、仲間感を大事にするような歌詞もあって。《仲間が起こす奇跡/みんなに届いて/響き合うこの場所が好きだよ》とか。ルーチェに出会う前のわたしたち5人と、ルーチェに出会って、ファンの人に出会って、変わっていくわたしたちが表されていて、すごく好きです。

桧垣:歌うときに違う自分を演じられる感じがあって、それが楽しいです。《誰かが押しつけた仮初めを壊して》っていう歌詞があるんですけど、ルーチェにとっては形にとらわれずにやりたい、みたいな気持ちが表れてる部分かな、と思ったので、歌っていて気持ちが入ります。

宇佐美:《見なよ何度も現実を”もっと”って/どれだけ言われても辿り着きたい場所がある》っていう歌詞がすごく好きです。ここ、ルーチェを凝縮した二行だなって思っていて。まわりに「ちょっと現実見なよ」「ルーチェはまだまだだな」って言われたり、実際に努力も実力も足りてなかったところはあると思うんですけど、それでもあきらめずに夢を持って、たどり着きたい場所を5人で一致させながら進んできた歴史があるので、この二行の歌詞に説得力があるというか。「わたしたちはこういう気持ちでステージに立ってるんだ」って表現できるので、わたしはこの歌詞がすごく好きです。

錦織:答えはひとつではないっていう曲を作りたくて。最初から最後まで読んで、その人が思ったこと、感じたことが正解っていう。幸乃ちゃんも言ってくれたように、まわりが大学に行ったり、お仕事をし始めるときに、わたしたちはライブを続けていて――やっぱり、人とは違う職業じゃないですか。メンバーと過ごした時間は家族よりも長いし、このLuce Twinkle Wink☆を生活の一部にして賭けてきた気持ちを、曲に残したいなって思って。自分の信じる道を行けばそれが一番幸せなんだよっていうことを、歌詞の中で言いたかったです。なので、もし「自分も頑張ろう」って思ってもらえたらそれがその人の正解ですし、「もっと頑張らなくちゃいけなかったのかも」って少し後悔したとしても、それも正解で。いろんな場所に当てはまる世界観になっているので、そこも楽しんでいただければと思います。

桧垣:ほんとザ・めめたんっていう感じだけど、最初『なんかあったのかな』って思った(笑)。

錦織:(笑)。

桧垣:ルーチェってグループで動いてるので、「個」があまりないというか。なので、歌詞を読んだときに「自分の気持ちをもっと大切にしよう」と思いましたし、めめたん(錦織)の気持ちも汲み取ったりしていきたいなって思いました。

宇佐美:歌うたびに、これから先に出てくるであろう夢にも貪欲に進まないといけないなって感じる曲だなって思います。歌詞だけを見ると、過去のことを思い出すことも多いんですけど、実際にステージに立って歌っているときは、今の自分を思いながら歌っています。

板山:ほんとに、信念があってこの活動をやっているので、たとえば「現実を見なよ」って言われても、「この夢を絶対あきらめないぞ」っていう気持ちがあって。だけど、夢への距離もまだまだ遠いなって感じさせられる部分でもあるし、だからこそもっと頑張らなきゃって、すごく自分自身を奮い立たせられる曲だなって思います。

深沢:わたしも、自分の中で理解するまで時間がかかった曲でした。「どうやって表現したらいいんだろう」「どうやって歌えばいいんだろう」って思ってたんですけど、何回か披露するにつれて、「これからもいろんな壁にぶつかるだろうし、それを乗り越えて夢にどんどん近づいていくんだな」って自分なりに解釈しながら歌っています。

ルーチェを信じてファンになってくれる方をもっと幸せにしたい、もっと素敵な景色を見せたい(板山)

――この1年で1stアルバムを出して、初めてのツアーもあって、グループとして大きな経験をしてきたじゃないですか。まずはアルバムを振り返ってみたいんですけども。

宇佐美:わたしはルーチェの集大成という気持ちで臨んで、実際に等身大だけど最大限のルーチェを出せたんじゃないかなって思います。

錦織:わたしは、ルーチェの名刺になるような1枚だなって思っていて。ルーチェの曲で『どれを聴けばいいの?』ってよく言われるんですけど、『アルバムを持っていれば全部わかるから』って言える1枚になったなって思います。

板山:ルーチェのいろんな面が見えるのはもちろん、『この曲はこの子が作詞してるんだ』っていう発見もあったりして、他にはどんなことをやってるのかなって気になる1枚になったと思っていて。紗希ちゃんがカメラマンをやったり、わたしも振り付けを担当したりしてるので、『他にも何かやってるんじゃないか』って思ってもらえるような1枚です。

桧垣:このアルバムを聴いた上で、「実際にライブに生で見てみたらどんな感じなんだろう」って思ってもらいたいです。皆さんが聴いたときに気になってくれた気持ちをそのままライブに持ってきてもらったら、新しい発見もどんどん出てくると思うので、ライブに来る架け橋的な1枚になったと思います。

深沢:シングル曲は明るい曲、元気な曲が多かったので、『こんな曲もあるんだ』とか思ってもらえるアルバムになったと思います。メンバーが作詞してる曲もけっこうあって、自分たちの中でも挑戦ができたアルバムです。

宇佐美:わたしたちにとっても、すごく大きかったよね。自分たちが聴いても、集大成にして初心に帰れるアルバムになっていて、曲を聴くと自分たちの歴史を再確認できるし、悔しいことや悲しいことがあっても、1stアルバムを聴けば、『もっと夢に向かって頑張ろう』っていう気持ちになれるので、わたしたちにとっても大切な1枚になりました。

――今、ライブの話が出ましたけど、ルーチェの特徴はやっぱりライブで。「振り切ったパフォーマンス」というのはある意味よく聞くことだけど、初めてルーチェのライブを観たときに「腕抜けるんじゃないか」って思ってしまうくらい、思い切りがいいというか。

深沢:抜けてもいいです(笑)。

宇佐美:たぶん、もう何本か抜けてるよね(笑)。

桧垣:腕は抜けました(笑)。アルバムの後のツアーも、そのときは全力を尽くして頑張ったんですけど、映像を見てみると、もっともっとできたなって思ったりします。

深沢:クラブチッタ川崎でライブが決まって、みんなで「絶対埋めようね」っていう目標があったんですけど、実際に満員にはできなくて。今までちょっとずつルーチェを広めてきて、できる限りのことをしたけど、まだまだ足りてなかったんだなっていうことを、すごく実感しました。

錦織:わたしは、ツアーで「緊張したら何もいいことがない」ということを発見しました(笑)。その中でも、メンバーとファンの皆さんが一体になれる瞬間を見られた気がしていて。「わたしたちの力で、こんなに一緒に楽しく笑い合えるんだ」って発見できたし、楽しさがあれば緊張も打開できるんだって思ったので、それがツアーの発見でした。

板山:クラブチッタのライブ映像を観て、「ルーチェっていいなあ」ってすごく思って……。

宇佐美:気づくの遅いな!(笑)。

板山:改めて!(笑)。ほんとに、すごくいいグループだなって思って。メンバー全員がライブを全力で楽しんでることが映像でもすごく伝わってきて、それってやっぱり一番大切なことだなって思います。わたし、今回のツアーで足の感覚がなくなったことがあって。もう楽しくなりすぎちゃって、自分の感情のままにライブをしたら、その結果足の感覚がなくなるっていう(笑)。

――(笑)振り切るマインドは、健在どころかさらにその先へ向かってる感じですね。

桧垣:その先にいってると思います。実際に定期公演で足を攣ったりすることもあるんですけど……曲の間に堂々とはけたりします(笑)。

深沢:それを堂々とカバーします(笑)。

宇佐美:その流れを止めるわけでもなく、4人でやって。1番を4人でやり切ったところで、2番からちょうどいーちゃん(板山)が登場して。

深沢:また、いいところで登場するんですよ。いーちゃんコールが始まる前に、ちゃんと戻ってきて。

錦織:足が攣ってはけたのに、いいところ持っていくから(笑)

板山:(笑)取り乱してない感は、すごくありましたね。「ヤバい!」ってなっても、このメンバーがいれば大丈夫っていう安心感もありますし――それに甘えているわけではないんですけど。

深沢:いざとなったときに助け合える、みたいな感じはあります。

宇佐美:おいしいーちゃんだった(笑)。

板山:ごめんなさーい!(笑)。

――今、密かに「一回自分もはけてみようかな」って思った人は?

全員:(笑)(宇佐美が挙手)

錦織:こらこら!(笑)。

深沢:「何があってもはけないようにしよう」っていう意地があります。

錦織:あ、わたしもあります。

宇佐美:大丈夫だよ!

深沢:ん?

宇佐美:うちらがいるから。

深沢:じゃあ、今度はけるね(笑)。

全員:(笑)。

錦織:意地もろいな(笑)。

――(笑)メジャーデビューからもうすぐ3年になりますけど、これからのルーチェはどういう存在でいたいと思ってますか。

桧垣:これまで作詞やツアーのセットリストだったり、自分たちのやりたいことを詰め込んでやらせてもらって、やりたいこと一通りやってきたけど、「まだ全然伸びしろあるじゃん」って思ってもらいたいな、と思っていて。メンバーからどんどん発信していって、ファンの人の心をもっと動かせるグループにもっとなっていきたいと思うので、どうしたらそう感じてもらえるのか、今は探しています。

宇佐美:わたしは、小さな積み重ねを見失わないようにしたいなって思っていて。嬉しいことに、メジャーデビューをさせていただいてから大きな舞台とかアニソンイベントに出させていただけることが増えたけど、日々のレッスンや定期公演、ラジオやTwitterを積み重ねることでルーチェはメジャーデビューできたと思っているし、毎日の積み重ねで手を抜いたらルーチェはそれで終わりだと思いながら活動しているので、どんなに小さいことでも、毎日全力で積み重ねていきたいなって思います。

板山:「もっと頑張ろう」って思わせてくれるものって、「期待」が大きいのかなって思っていて。ルーチェを信じてファンになってくれる方をもっと幸せにしたい、もっと素敵な景色を見せたいという気持ちがあるので、「まだまだ立ち止まってられない」って思うし、同じ気持ちで進んでくれるメンバーがいることも、すごく心強いなって思います。

取材・文=清水大輔