初期症状がほとんどない子宮頸がん… 早期発見のためにできることや気になる治療法とは

健康・美容

更新日:2020/5/11

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

初期症状がほとんどない子宮頸がん… 早期発見のためにできることや気になる治療法

 今回は子宮頸がんについてです。子宮は骨盤内の一番下にある、7×4cmくらいの小さな臓器です。下半分の「子宮頸部」と上半分の「子宮体部」に分類されています。このどちらの場所にがんが発生するかで「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分類されています。

 子宮頸がんは20~30代の女性のがんの中でトップを占め、主にHPVというウイルスへの感染によって発生します。一方、子宮体がんは、40歳以降の閉経前後に発生しやすく、主な原因はホルモンのアンバランスといわれています。

 いずれも初期にはほとんど症状がなく、検診で偶然発見されることが多いため、年に1回の定期検診を受けることが、がんの早期発見には非常に重要になってきます。ある程度異常が進むと、不正出血や性交後出血、ピンク色や褐色のおりもの、水っぽいおりものが増えるなどの初期症状がみられることがあります。

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 少なくとも、これらの症状があって、半年以内に検診を受けていない場合は、直ちに婦人科を受診する必要があるといえるでしょう。初期のがんでも、まだ局所の痛みや腹痛は出現しません。なので、痛くないから安心とは言えませんし、逆に腹痛があったからがんの心配をしなくてはいけないわけでもありません。

 子宮頸がんの主な原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染です。HPVは性行為によって感染するため、性交経験がない女性が子宮頸がんになる心配はありません。

 HPVへの感染を防ぐ方法は、ワクチンの接種とコンドームの使用です。ただ、HPVは肛門周囲などコンドームで覆い切れない部分にも存在しうるため、コンドームを確実に使っていても100%感染を防ぐことはできないこともあります。HPVワクチンは、副反応に対する懸念から一時期積極的接種を勧めない方向になっていましたが、「名古屋スタディ」と呼ばれる最新のデータでも副反応だと言われていた症状とワクチンの関連性はないことが発表されました。海外のデータでは、ワクチン接種により異形成になる人が明らかに減っているという結果も出ており、ワクチン接種による子宮頸がんや前がん病変である異形成を予防するメリットの方が大きいといえます。

 HPVに感染すると、細胞に変化が起きて子宮頸がんになっていくことがあります。ただし、感染していきなりがんが発生するわけではなく、正常な細胞が徐々に変化をして「異形成」というグレーゾーンの状態になります。途中の「異形成」の段階で異常に気付き、適切な治療を行えば「子宮頸がん」まで進行することは防ぐことが可能なのです。