初期症状がほとんどない子宮頸がん… 早期発見のためにできることや気になる治療法とは

健康・美容

2019/1/17

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

初期症状がほとんどない子宮頸がん… 早期発見のためにできることや気になる治療法

 今回は子宮頸がんについてです。子宮は骨盤内の一番下にある、7×4cmくらいの小さな臓器です。下半分の「子宮頸部」と上半分の「子宮体部」に分類されています。このどちらの場所にがんが発生するかで「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分類されています。

 子宮頸がんは20~30代の女性のがんの中でトップを占め、主にHPVというウイルスへの感染によって発生します。一方、子宮体がんは、40歳以降の閉経前後に発生しやすく、主な原因はホルモンのアンバランスといわれています。

 いずれも初期にはほとんど症状がなく、検診で偶然発見されることが多いため、年に1回の定期検診を受けることが、がんの早期発見には非常に重要になってきます。ある程度異常が進むと、不正出血や性交後出血、ピンク色や褐色のおりもの、水っぽいおりものが増えるなどの初期症状がみられることがあります。

 少なくとも、これらの症状があって、半年以内に検診を受けていない場合は、直ちに婦人科を受診する必要があるといえるでしょう。初期のがんでも、まだ局所の痛みや腹痛は出現しません。なので、痛くないから安心とは言えませんし、逆に腹痛があったからがんの心配をしなくてはいけないわけでもありません。

 子宮頸がんの主な原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染です。HPVは性行為によって感染するため、性交経験がない女性が子宮頸がんになる心配はありません。

 HPVへの感染を防ぐ方法は、ワクチンの接種とコンドームの使用です。ただ、HPVは肛門周囲などコンドームで覆い切れない部分にも存在しうるため、コンドームを確実に使っていても100%感染を防ぐことはできないこともあります。HPVワクチンは、副反応に対する懸念から一時期積極的接種を勧めない方向になっていましたが、「名古屋スタディ」と呼ばれる最新のデータでも副反応だと言われていた症状とワクチンの関連性はないことが発表されました。海外のデータでは、ワクチン接種により異形成になる人が明らかに減っているという結果も出ており、ワクチン接種による子宮頸がんや前がん病変である異形成を予防するメリットの方が大きいといえます。

 HPVに感染すると、細胞に変化が起きて子宮頸がんになっていくことがあります。ただし、感染していきなりがんが発生するわけではなく、正常な細胞が徐々に変化をして「異形成」というグレーゾーンの状態になります。途中の「異形成」の段階で異常に気付き、適切な治療を行えば「子宮頸がん」まで進行することは防ぐことが可能なのです。

 子宮頸がんに関する検査は、大きく分けて「スクリーニング(検診)」「精密検査」「病期(ステージ)診断のための検査」の段階に分けられます。スクリーニングとは、何も症状がない段階で定期検診として受ける検査のことです。いわゆる「婦人科検診」「子宮がん検診」と呼ばれているのは、このスクリーニング検査で、子宮頸部の細胞をこすり取って調べる「細胞診」を行います。検診の精度を上げるために、HPVへの感染を調べる「HPVハイリスクタイプ」の検査を同時に行うこともできます。

 スクリーニング検査で異常が出た場合に行うのが精密検査です。コルポスコピーという拡大鏡で子宮頸部を細かく観察し、異常があると思われる部分の組織を切り取って検査します。

 異形成は、細胞の変化の程度によって「軽度異形成」「中等度異形成」「高度異形成」の3段階に分かれており、組織診断で高度異形成またはそれ以上の結果が出た場合は、検査と治療を兼ねて「円錐切除」という手術を行います。子宮頸部の膣側の部分1~2cmを円錐状に切り取って、より広い範囲・深い範囲の細胞の状態を調べます。この段階で、高度異形成または上皮内がんと診断された場合は、円錐切除が「治療」も兼ねますので、通常はそれ以上の検査には進まず、再発していないかどうかを定期的な細胞診で見ていきます。上皮内がんは、ごく浅い部分にとどまっているがんで、がんのごく初期(0期)という扱いです。血管やリンパ管にがん細胞が拡がることのない段階のため、転移の心配はなく、がんのある部分を切り取り切れれば完治が見込めます。

 円錐切除で浸潤がんと診断された場合は、さらに詳しい検査を行って病期(ステージ)を見極めていきます。浸潤がんは、前述の上皮内がんより深い部分までがん細胞が拡がった段階です。血管やリンパ管にがん細胞が入りこんで、転移していく可能性もあります。CT・MRI・胃カメラや大腸カメラ・膀胱鏡・骨シンチグラフィなどの検査を必要に応じて行って、がんがどのくらいの範囲まで広がっているのかを確認します。子宮頸がんの病期(ステージ)は1期から4期にわかれています。どの段階までがんが進行しているかによって、適切な治療が異なってくるため、治療を開始する前に病期(ステージ)を確認していく必要があります。

 子宮頸がんの治療法は、がんの3大療法である手術・化学療法(抗がん剤による治療)・放射線療法です。高度異形成や上皮内がんの場合は、前述の円錐切除という手術だけで病変を取り切れますので、通常はそれ以上の治療は行いません。円錐切除では、子宮頸部だけを切り取りますので、子宮体部は残っています。つまり、手術後でも妊娠が可能です。子宮頸がんは20代から発生しうるため、発症後に「将来的に妊娠できる状態を保てるか」は大きなポイントになります。円錐切除で完治するためには、いかに早期発見をするかが重要なため、毎年子宮頸がん検診を受けることが大事になってきます。円錐切除で浸潤がんであると診断された場合は、通常は子宮や卵巣やリンパ節を切除する手術を行います。5年生存率は、1期92.4%・2期78.0%・3期58.6%・4期19.5%です。

 生存率という点からも、将来的に妊娠できる可能性を失わないためにも、ワクチンでHPVへの感染を防ぎ、万が一異常が出てもがんが進行する前に発見して適切な治療を行うことが重要です。年に1回の検診を受け、不正出血など少しでも気になる症状があれば婦人科を受診するようにしましょう。

※HPVワクチンについて、2019年1月現在、厚生労働省は市町村を通じて積極的な接種勧奨はしておりませんが、定期接種の対象であることは変わらない、としています