“ていねいな暮らし”じゃなくても、一人暮らしは素晴らしい! カマタミワ×おづまりこ おひとりさま対談<前編>

マンガ

更新日:2019/6/24

 一人暮らしは不安? 寂しい? いいえ、一人暮らしは、超素晴らしい! なぜなら、誰にも気兼ねなく自分の個性を発揮できるから。

 そうやって、一人暮らしを謳歌している人のなかでも、ある意味プロの領域に達しているといえるのがカマタミワさんとおづまりこさん。二人とも、自身の生活をブログで発信し、それが多くの人の共感を呼んだ結果、単行本として出版されています。

 このたび、それぞれ最新刊『ひとりぐらしこそ我が人生』、『おひとりさまのゆたかな年収200万生活②』を上梓されたということで、この機会にお互いの一人暮らしの楽しさを語ってもらうことに。

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 Twitter上での会話はあったものの、実際に対面するのは初めてだという2人ですが、初対面とは思えないほど対談は大盛り上がり! お互いの印象を描いたコラボ漫画も特別に掲載!

“ていねいな暮らし”はぜんぜんできない!

── お互い最新作を読まれたということなので、まずは感想を言い合っていただければと思います!

おづまりこ(以下、おづ) 相変わらずおもしろいですよね。笑いどころがたくさんあって、クスクスしながら読みました。とくに、急にアナログ絵になるところ! パソコンが壊れたとかかな? って思ったら「ただアナログで書きたくなったから」(笑)。そういうことが許されるんだ! って衝撃を受けました。

「最近の私の不審な動き」より

カマタミワ(以下、カマタ) そうなんですよ(笑)。自由にやらせていただいてます! 久しぶりにアナログで書きたいなって思ったんですけど、大変だったんで1ページでやめました。

── カマタさんはおづさんの最新作、どうでした?

カマタ これは以前から思ってたんですけど、役立つ情報が満載ですよね。コミックエッセイって、読んで真似できることが醍醐味のひとつだから、それがすごくいいなって。それから、私も今まで何度か節約しようとしてきたんですけど、いつもカツカツになっちゃうんですよね。おづさんは決まった予算のなかで、いろいろ工夫して豊かに暮らしてるのがすごい! レシピも簡単なのにすごくおいしそうだし。インスタントラーメンをアレンジして酸辣(スーラー)湯(タン)麺(メン)を作るのとか。絶対に真似しよう! って思いました。

「冷凍トマトちょい足しで お手軽辛酸っぱラーメン」より

── おづさんは、カマタさんの生活で見習いたいところはありますか?

おづ 行動力がすごいですよね。高尾山に行ったりとか。私すごい出不精だからいいなって。料理でも、手間がかかるものに挑戦してたりするし。

「大人のひとり遠足 実行編 いざ出発!」より

カマタ たまーにですけどね。

おづ あと、出会った人とのエピソードがたくさんあるから、社交的な感じがします。しかも全部おもしろい!

カマタ なんかユニークな人と出会っちゃうんですよね(笑)。引き寄せてるのかな?

「様子がおかしいエステの話」より

── 2人とも、自分の生活をテーマにコミックエッセイを書かれてますが、その切り口がけっこう違いますよね。だからこそ、お互いに聞いてみたいことがあればこの機会にぜひ!

カマタ 私も、おづさんみたいにていねいに暮らしてみたいんですよ。まずは常備菜を作るところから始めたいんですけど、ぜんぜんこまめに作れなくて。どうしたら習慣づけられるんですか?

おづ 私、ぜんぜんていねいに暮らしてないですよ! 常備菜ってはじめて聞いたときびっくりしましたもん。私はめちゃくちゃズボラなので、いつもちょっと多めに作っちゃうだけなんです。料理は好きなんですけど、台所に立つまでがめんどくさくて。「そろそろごはん作らないとなー」って考える時間を減らしたいから、何食分も一気に作ってるって感じ。

「IH1口コンロで段取りよく献立作り」より

カマタ なるほどー! 常備菜って言葉にしちゃうからハードルが高いのかも。でもおづさんは、ちゃんとおいしいものを作ろうとしてるのがすごい。私も自炊はしますけど、とにかく簡単に栄養がとれればいいってだけなので……。

おづ たぶん、食いしん坊なんですよね。いつも「これが食べたい!」って思うものがあって。でもそれを食べるためにわざわざお店を探したりするのは面倒くさい。だったら自分で作っちゃったほうが楽だなって感覚で自炊してます。

カマタ 私、お腹が減ってても自分が何を食べたいかよくわからないんですよ。「こういうものが食べたい」ってイメージがないから、料理を楽しめてないのかも。

「一人家飲みしよう!」より

おづ まずは、自分の好物をひとつ作れるようになったらいいと思いますよ。私は“ひき肉を炒めたもの”がめちゃくちゃ好きで、一時期そればっかり作ってたことがあるんですが、それで本にもよく登場する「肉味噌」が生まれたんです。最近はちょっと味付けを変えてみたりしていて。この間、チリコンカンを作ったんですけど、1人トルティーヤパーティ最高でした! 「めっちゃおいしい!」って声に出しちゃいましたもん。1人なのに(笑)。

カマタ トルティーヤパーティ楽しそう! ビジュアル的にもテンション上がりますよね。私も何か楽しめるものを作れるようになろうかな。

「おひとりさまのトルティーヤパーティー」より

── ちなみに、カマタさんの好物ってなんですか?

カマタ えっと、筋子(すじこ)です。

おづ それは、作るの難しすぎますね(笑)。あ、でも筋子丼とか!

カマタ 乗せるだけじゃないですか(笑)

おづ いやいや、立派な料理ですよ!

カマタ シソとか乗せてみようかな。

おづ それはもう完全に料理ですね。

── (笑)。おづさんからカマタさんに聞きたいことはないですか?

おづ 私、関西人なんですけど、小学生のころから「狙ってボケるとつまんない」って言われ続けていて。どうしたらカマタさんみたいに、おもしろいことをおもしろく書けるようになりますか?

カマタ けっこう年季の入った悩みですね(笑)。実は私、もともとギャグ漫画家志望だったんです。ブログも「人を笑かすものを書きたい!」と思って始めたので、私の本ってコミックエッセイでもありギャグ漫画でもあるんです。

おづ 自分の日常をネタにしたギャグ漫画ってことですね。でもちゃんとオチをつけられるのがさすがだなって。

カマタ 引かれるかもしれないんですけど……。私、お笑い芸人さんのコントの書き起こしをしたり、科学的に笑いの研究をしている人の本を読んだりしてて。人って、ボケよりもツッコミで笑うらしいんですよ。だから大したことが起きなくても、何がおもしろいのかをうまく説明してあげられれば、笑ってもらえる。たとえば、この間道端で米袋を抱えて寝てるおじさんを見かけたんですね。「なんで米袋持ってるんだよ!」だけだと、笑いにはつながらないけど「途中で力尽きたの!?」「炊飯行為に巻き込まれたくないので通り過ぎました」って付け加えると、クスッときちゃいませんか?

おづ たしかに。すごい本格的ですね!

カマタ 私、とにかく人を笑わせたいんです。人前に出るのが苦手じゃなかったら、お笑い芸人になってたと思います(笑)。

おづ すごい勉強になりました。私も、もう一度ちゃんと笑いを勉強したい! 諦めかけてたんですけど、光が見えた気がします。

「以前住んでたマンションの住人」より

もし10万円使えたら? 「セクシー資金」と「豪遊ごっこ」

── 話が盛り上がってきたところで、ちょっと個人的に聞いてみたいことを。“もし今、自由に使っていいお金が10万円あったら何に使いますか?”

おづ 私は旅に出たいです! 旅がぜんぜん好きじゃないので。

カマタ え? 逆に?

おづ 旅が本当に苦手なので、克服したいんですよね。

カマタ 私はけっこう旅好きなんですけど、どういうところが苦手ですか?

おづ 準備が面倒なのと、何かよくないことが起きるんじゃないかっていう心配があって(笑)。あと、観光とかアクティビティとかにぜんぜん興味がない!

── それなのに克服したいのはどうしてですか?

おづ もったいないなって思い始めたんです。苦手意識があることも、やってみると意外と楽しかったりするじゃないですか。だから、もしかしたら旅も楽しいのかもって。10万円あったら、台湾とか行ってみたいですね。

カマタ 台湾は安くておいしいものがいっぱいあるから、おづさんハマりそうですね!

「大阪新世界のゲストハウスで食い倒れ旅」より

── カマタさんはどうですか?

カマタ 真面目な使い道だったら、自己投資ですかね。背景を書くのが苦手だから講座に通ったり、1人で海外を旅できるように英会話を習ったりしたい。不真面目な使いみちだったら“セクシー資金”にします!

おづ “セクシー資金”!? おもしろい!

カマタ アラフォーなので、そろそろセクシーな大人の女になりたいなって。ていうか、そろそろなれるんじゃない? と思ってて。でも大人のセクシーって難しいんですよね。だから10万円の使い道もポールダンス習うとかくらいしか思いつかないんですけど(笑)

おづ それなら私もより不真面目に、豪遊とかしてみたいですね。ホテルの高層階から、ワインを片手に下界を見下ろしたい(笑)。

カマタ イメージが偏ってる(笑)。それ絶対、膝の上に毛の長い猫がいますよね!

おづ そうそう! それでマンガみたいなセリフを吐きたい!

カマタ 「人がゴミのようだ」?

おづ (笑)。それから、エキストラを雇って、秘書とかSP的なこともしてもらいたい!

カマタ それ、10万円じゃ足りなさそう(笑)

おづ たしかに(笑)

 得意分野は「料理」と「お笑い」。作風もぜんぜん違う2人なのに、どこか通じ合うところもあるようで、終始笑いが絶えません。後編では、2人の一人暮らしを楽しむ極意について聞いてみます!

漫画/おづまりこ

(取材・文/近藤世菜)