フミコフミオ氏初インタビュー「強く見える人は戦い方を知っているだけ。」生きづらさに負けない考え方

小説・エッセイ

公開日:2019/10/24

2年前にフミコさんへ送られた伊藤さんのメール

フミコフミオさま
突然のメール失礼いたします。
はじめまして。出版社の株式会社KADOKAWAで、編集を担当しております伊藤直樹と申します。

ブログ:Everything you’ve ever Dreamedを拝読し、大変感銘を受け、是非ともフミコフミオさまの出版企画案を会社に提案したく、不躾承知ではございますが、おもいきってご連絡さし上げた次第です。

フミコフミオさまのブログで書かれている、嘘、偽りのない世界といいますか、普通の人たちが目をつむって自分たちが都合のいいように見ないようにしている社会の真実。それを自らの経験と体験を通して、えぐり出しながら言葉を紡ぐそのスタンス、生き様に大変共感し、共鳴致しました。また、その真実を時に残酷に、時に叙情的、ユーモラスに、時に哲学的に伝える文才の虜になりました。

会社員時代は、社畜としての自分、一人の人間としてどうあるべきのかの葛藤、また20年にわたる会社員生活を辞めるときのロックな理由、そこからの転職活動ののリアル、以前より繰り広げられている奥様との切実かつユーモラスを交えたやりとりなど、その現代の様々な問題に直面しながら、もがき続け、迷いながら自分なりの答えをその都度見いだしていくリアルな生き様は、多くの人たちの共感を得られると個人的には考えております。

自分も含めた世の中に存在する多くの社会に対して違和感を感じているが、実際に何をすればいいのかわからず悩んでいる人たちに向けて、フミコフミオさまのその希有な体験を通じて得た真実とメッセージは、そっと背中を押してあげるような、一瞬でもつらいことを忘れさせてくれるような1冊になり得ると考えております。

お忙しいとは思いますが、一度ご執筆に際して、ご相談させていただければ幸いです。
もし可能であれば、フミコフミオさまに、一度お目にかかってお話させていただければ幸いです。ご多忙の折恐縮ですがどうぞよろしくお願いいたします。

落とす気満々の伊藤さん(右)

西浦:めちゃくちゃエモいっすね。さすがエモい編集者!

伊藤落とす気で書きましたからね~。

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フミコ・フミオさんの書き手としての魅力

センスあふれる表現力の原点

フミコフミオボード」越しに真面目に話す3人

—編集者である伊藤さんから見たフミコフミオさんの魅力を教えて頂けますか?

伊藤:目の前で起きていることとシンクロして書いてくれている感じで、バカな文章を書いたあと、僕の心を揺さぶってくるんですよ。プっと笑えると思ったら、急に自分事になって、また僕から離れていくみたいな。

西浦:わかります。「感動×笑える」とか「笑える×泣ける」などの感情の組み合わせは、振れ幅が大きくて難しいっていいますよね。両方できているフミコさんはすごい!笑って終わりじゃなくて、深くて納得感もある。この時代に時間割いて読んで損しない文章ですよね。

伊藤:色々な原稿を見てきた出版のプロ、西浦さんにそう言わしめる文章なわけですね!

西浦:恐縮です。物事を見る視点も面白いですよね。読みやすい文章は技術があれば書けると思うけど、面白い文章はなかなか書けない。どうしたらこんなに面白い文章が書けるのでしょうか?

フミコ:悪文だと思いますよ。国語とか苦手で文章書き始めたのも社会人になってブログ書いてからです。

伊藤:大学の時のサークルがきっかけじゃないですか?

フミコ:あー!某大学の児童文化研究会に所属していたんです。子供向けの絵本とか作っていたんですが、その頃本をけっこう読みましたね。ブコウスキーや村上龍など、大学の図書館でずっと読んでました。でも、体系立てて文章の書き方を学んだことはないんです。

西浦:「正義がいかに危険か」を語っていた人が別の章で「コロンブスの卵がたまごっちになるような衝撃であった。」とか急に言い出すので「本当に同じ人間の言葉か?」ってくらい驚きます(笑)

フミコ:たまごっちは児童文学かもしれませんね(笑)。飽きさせないコツは、児童文化研究会で学んだことかもしれません。童話を作るにあたって、子どもを飽きさせないようにするにはどうしたら良いかを考えてました。起承転結だと飽きるから、序・破・急。それよりも序・破!くらいにしないといけなくて、それはすごく勉強になりました。

フミコさん前が見えないから次回は目に穴開けましょうかという話に…

伊藤フミコさんの文章って中毒性があるって僕は表現しています。僕の周りみんな信者化してて、ブログを一気読み。中毒性のある文章が書ける方は、なかなかいない。稀有な存在だなと感じたので、僕はずっと小説を書いて頂きたいとオファーしてたんです(笑)

西浦:えー、小説ですか!?

伊藤:最初から小説を書くと物議をかもすかもしれないので、『夢をかなえるゾウ』みたいに主人公が成長していく内容にして、その次は本格的な小説をと計画しています。

フミコ:さすがに最初はお断りしたんですが、今回の本を書いているうち書くのが楽しくなってきまして。

伊藤:編集者として文章いっぱい見てきましたけど、フミコさんの原稿はいじるところないんです。

フミコ:伊藤さんから初稿出したあとに感想リスト送られてきたんですけど「感動しました!」とか短くてほとんど直しなかったですよね。

西浦:編集者としてはラクでしたか?

伊藤:ラクっすね(笑)。編集者って何が仕事かって、こういう天才の人を世に出すことだと思うんです。そもそもいじっちゃいけないので。これからも、ラクしていいもの出したいっす(笑)。

西浦:ははは、素直(笑)

伊藤:もう一つ、フミコさんのすごいところが、文章の面白さが生活の高低とリンクしているんです。いきなり退職、職場が大変な時はブログのアクセスが伸び、生活に余裕がある時は文章に勢いがなくなるからかアクセスも落ちる。

フミコ無職の時に駐車場で切符切りのバイトしてたんですが、あれは厳しかった~でも一番はてなブログのエントリーは多かった(笑)

伊藤:生活が荒れればあれるほどブログのアクセスが伸びていくという(笑)

フミコ:消費税増税に伴ってこづかいが15%カットされることが決まっていて、10月からまたすさむんです(笑)

伊藤:ブログがまた爆発しますね(笑)