地震発生の瞬間、赤ちゃんを守るには? 避難所で泣いてしまったら… 妊婦や赤ちゃんがいる家庭の防災Q&A

暮らし

公開日:2021/2/16

 赤ちゃんの命を災害から守るには? いざというときに冷静に対処するために、「平常時にしておきたい心がけ」から「災害時の避難方法」まで、妊婦さんや赤ちゃんがいる家庭で取るべき防災行動について、国際災害レスキューナースの辻直美さんにお話を聞きました。

Q.地震発生の瞬間、赤ちゃん(お腹)と自分を守るには?
A.「ダンゴムシのポーズ」で赤ちゃんを包むように丸くなりましょう。

レスキューナースが教える プチプラ防災
窒息やケガをさせないよう太ももの間はゆったり開け、子供の肩や腕もしまい込む。
レスキューナースが教える プチプラ防災
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レスキューナースが教える プチプラ防災

「地震が発生したとき、とっさにこの“ダンゴムシのポーズ”を取れるように日ごろから練習しておきましょう。ポイントは、片方の手のひらで首の後ろを覆い、もう片方の手のひらを重ねてクロスさせて丸くなり、頭頂部を床につけること。

 この体勢になると、お母さん・お父さんの最も大切な延髄(頭)と、太い血管が流れる首や手首を守ることができます。このとき、赤ちゃんは頭が大人のお腹側になるようにして太ももに挟み込み、上から覆いかぶさるようにして守ります。窒息しないように太ももはゆったりと広げること、物が落ちてきたときに怪我を防ぐために赤ちゃんの肩や腕を太ももの内側にしまいこむようにしてください。

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 お腹が大きい妊婦さんはポーズが取りにくいかもしれません。少し丸くなって延髄を守る意識が大切。首の後ろで手をクロスするのが難しい場合は、雑誌やバッグ、クッションなどを首の後ろに当てて代用してもOKです」

Q.赤ちゃんが大泣きして暴れてしまって避難どころじゃない…。落ち着かせる方法は?
A.赤ちゃんを服の中に入れ、肌と肌をくっつけて、深呼吸をしましょう。

「災害時の異変を敏感にキャッチし、泣き叫んでしまう赤ちゃん。お母さん・お父さんの呼吸が浅かったり、声がきつかったりすると、心の焦りが赤ちゃんに伝わってしまって赤ちゃんがますます泣き叫んでしまう原因に。大人でも『すぐに避難しなきゃ!』と慌ててしまう災害時だからこそ、一旦『深呼吸』を。

 まずは肺の中の空気を全部出すことを意識して息を吐ききり、ゆっくりと吸います。それを2~3回繰り返し、だんだんと落ち着いてきたら、赤ちゃんと自分の肌をくっつけるようにして抱っこしましょう。頬を首元にぴったりと寄せたり、服の中に赤ちゃんを入れたりしてもいいです。肌が触れる面積が広いほど、効果があります。

 肌をくっつけた状態で深い呼吸を続け、『ママ・パパがついているから大丈夫だよ』と優しく声掛けを。声掛けするときは、『大丈夫?』と聞かずに『大丈夫だよ』と言い切って。『大丈夫?』と聞くのは子どもに『大丈夫』と答えてほしい、自分が安心したいという心理からの発言なので逆効果です。安心感を与えるためには『大丈夫だよ』と断定してあげる言い方がベターです」

Q.避難にベビーカーは持って行ってもいいでしょうか?
A.ベービーカーでの避難はやめましょう。抱っこ紐で抱えるか、リュックまたはトートバッグに入れて運ぶのがおすすめです。

「ベビーカーは家に置いて行きましょう。災害時は、がれきや洪水で道が塞がってしまうので、スムーズにベビーカーを押して進めるとも限りません。過去に救助に行った被災地でも、『避難所でベビーベッドの代わりにしようと思って』と持って来られる方がいました。もし仮に避難所まで押していけたとしても、今はコロナ対策でベビーカーの車輪などにウイルスが付着し汚染されている可能性があると判断され、避難所に入れることすらできません。

 赤ちゃんを連れて安全に避難するには、『スリング』という布タイプの抱っこ紐で赤ちゃんを前に抱えるのがおすすめです。『スリング』は、赤ちゃんの手足が剥き出しにならず、体全体をすっぽりと包み込んで守ってくれるのがいいところ。とはいえ、使い慣れていない人には扱いが難しいので、使い慣れている抱っこ紐がある人はそれでもOK。赤ちゃんを前に抱えて顔が見られる状態で避難すると、急な落下物や余震などにも対応できて安心です。

レスキューナースが教える プチプラ防災
レスキューナースが教える プチプラ防災

 抱っこ紐がすぐに見つからない場合、1歳半くらいまでなら、リュックの中に赤ちゃんを座らせるようにして入れ、前に抱えて運ぶ方法もおすすめ。赤ちゃんが敏感になって暴れてしまうようなら、おくるみに包んで入れましょう。他にも、トートバッグにタオルを敷き、おくるみに包んだ赤ちゃんを寝かせて運ぶ方法も。これは避難先でベビーベッド代わりにできますし、服などの荷物を入れられるなどのメリットもあります。ただ、慣れない方法を使うとお母さん・お父さんも慌ててしまいますし、赤ちゃんがよけいに暴れてしまう可能性があるので、日ごろから“ごっこ遊び”などを通して慣れさせておくといいでしょう」

Q.避難所で赤ちゃんが泣いたら迷惑なのでは…と心配です。
A.むしろ積極的に助けを求めて甘えた方が周りも安心できるんです。

「『迷惑に違いない』『怒られる』と思い込まずに、少し勇気を出して『すごく泣いちゃって…どうしたらいいですか?』と周りに頼ってみてください。避難所では誰もがお母さん・お父さんと同じように不安で、心細く感じていますから、赤ちゃんの面倒を一緒にみたり、あやしたり、役に立つ経験ができると、それが自信に繋がり、周りの雰囲気も明るくなるんです。今はコロナ対策で距離を保つ必要はありますが、パーテーション越しに会話をして甘えてみるだけでも、お互いの気持ちが軽くなりますので、萎縮せずに話しかけてみてくださいね。また、非常用持ち出し袋から外してしまいがちですが、赤ちゃんが大好きなおもちゃは必ず持って行きましょう。慣れない避難所で赤ちゃんの心の拠り所になってくれます」

取材・文=箕浦 梢 写真提供=『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)



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レスキューナースが教えるプチプラ防災

著:
出版社:
扶桑社
発売日:
ISBN:
9784594083359