怒涛の9カ月連続放送! 今の『転スラ』を見逃すな!①――『転生したらスライムだった件』リムル役・岡咲美保インタビュー

アニメ

公開日:2021/3/22

転生したらスライムだった件 第2期
TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』 TOKYO MXほかにて毎週火曜23:00~放送中 (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

 スライムに転生してしまったサラリーマンが始める新しい異世界ライフ! 主人公・リムルは、彼を慕い集った数多の魔物たちと<ジュラ・テンペスト連邦国>を建国し、「人間と魔物が共に歩ける国」というやさしい理想を形にしつつあった。だが、この世界には、魔物に対して敵意を向ける存在がいた――。

『転生したらスライムだった件』は、著者の伏瀬が小説投稿サイト「小説家になろう」に連載し、人気を集めた作品。川上泰樹によるマンガ版が執筆され、そのマンガ版をベースにアニメ化が行われた。アニメの第1期は2018年10月からスタート、第2期は2021年1月から放送を開始している。さらに、4月からはスピンオフ作品『転生したらスライムだった件 転スラ日記』のアニメ版を放送がスタートする予定で、7月には第2期第2部の放送を予定している。つまり『転スラ』のアニメーションは9カ月連続放送するわけで、ますます見逃せない展開になっている。

 ということで、ダ・ヴィンチニュースでは、『転スラ』をさまざまな側面から支えるキャスト&スタッフに連続インタビューを敢行! 週替わりで、特集記事をお届けしていきたい。

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 本シリーズで主人公・リムル役を演じているのが、声優の岡咲美保。彼女にとって本作は初の主演作だが、リムルの一代記ともいうべき成り上がりのストーリーを、どのように演じているのか。リムルにとって大きな転機を迎える第2期と、スピンオフ作品『転生したらスライムだった件 転スラ日記』の収録について、話を聞かせてもらった。

『転スラ』と出会ってから今までずっと、リムルを演じています

――『転生したらスライムだった件』の第2期第1クールも、いよいよクライマックスです。ここまで作品に関わってきて、岡咲さんが感じている手応えをお聞かせください。

岡咲:第1期と第2期で、違う色が見せられる作品だと思っています。第1期は、まだリムルがこの世界に転生してまもなくて、どうやってこの世界で生きていくか模索する中で、事件を通じて仲間を増やしていくというかたちになっていて。第1期の前半でシズさん(召喚者の井沢静江)と出会うことで、自分がこの異世界で生きていく意思を見つけていく話だったと思います。第2期からは、リムルが仲間を引っ張っていって、自ら戦いに行くような一面も描かれていく。ほのぼのした癒しの展開が多いのが第1期であるなら、第2期はシリアスな場面や、人間ドラマが増えたと思いますし、アニメで心揺さぶられるいろんな要素が、『転スラ』という作品に詰まっています。私はほとんどの話数にアフレコで参加させてもらっているんですが、「こんな要素もあるんだ」と、収録のたびに驚かされています。

――『転生したらスライムだった件』のコミックス、小説は多くのファンが支持している人気作品です。岡咲さんが原作をお読みになった感想をお聞かせください。

岡咲:Audibleといって、小説版のオーディオブックの朗読をひとりで担当させてもらっていまして。全キャラクターをひとりで演じさせていただいているんです。

――Audibleは書籍の朗読をアプリで聴くことのできるオーディオブックですね。小説のみならず、ビジネス書が配信されています。『転スラ』のAudibleも、現在第8巻まで出ています(2021年3月現在第8巻まで配信中、以下3カ月ごとに配信予定)。

岡咲:Audibleの収録をしていると、原作小説の隅々まで読むことになるのですが、あらためて読んでみると、どのキャラクターもめちゃめちゃ個性が強いんですよね。そこが一番、読者を惹きつけているところだと感じます。リムルをはじめとするメインキャラクターが人気なのはわかるんですけど、オークたちやクレイマンや魔王たちといった敵キャラクターにも、彼ら彼女らなりの思惑があって、理解できたり、同情の余地があるところに、深みを感じます。小説版では、敵サイドのやり取りも詳細に書かれているので、作品を楽しんでいる方たちは、そういうところも楽しんでいるのだと思います。

――Audibleではほかのキャラクターのセリフも地の文もお読みになっているわけですよね。とくに前半はリムルの視点で物語が描かれているので、彼の心情も深く理解できたのではないかと思います。Audibleを収録したことで、アニメのお芝居にも影響は出ていますか?

岡咲:Audibleをやったことで、より作品への理解が深まりましたね。声に出して演じて読むのと、活字を目で追って読むのでは、理解度が違うと思います。小説には、アニメ版では描ききれないところもたくさん書かれていますし、まだアニメ化されていない先のエピソードまで配信しているので、アニメ版第2期でアフレコをするときも、「Audibleで一度やったシーンだな」と思って、二度目の本番のような気持ちで演じさせていただいています。たとえば「ここで人間の軍隊を滅ぼしてやるぞ」とか「シオンを生き返らせるんだ」とか、そういう事件が起きたときのリムルの心構えは、よりガッチリとできたような気がします。

――Audibleで収録することで、ほかのキャラクターたちの心情もよく理解できるのではないでしょうか。

岡咲:そうですね。Audibleでは、私がほかのキャラクターを演じているので、どうしても、ほかのキャラクターは私が演じられる幅の中でしかないんです。でも、アニメの収録では、それぞれキャラクターに担当の声優さんがいらっしゃって、その掛け合いがやっぱり本当に素晴らしい。Audibleの収録のときは、その掛け合いの雰囲気をなんとかひとりで再現しようと、頭の中でイメージして演じてはいるんですけど、アニメの放送を見るたびに「ああ、やっぱり、みなさんは本当にすばらしいな」と思います。声優さん同士の掛け合いだと、こんなにも雰囲気が変わるのかと痛感しますね。先輩方の偉大さをあらためて感じています。

――Audibleは1巻10時間くらいあります。これまで8巻が出ているとなると……80時間くらい収録されているわけですね。

岡咲:収録時間だけでいうと、もっともっとあります(笑)。リテイクするところもあるので、たぶん8巻までで、100時間以上かけて収録していると思います。アニメの第1期放送を終えたあと(第1期は2018年10月~2019年3月)に、第2期の放送まで(2021年1月~)ちょっと時間があったんですけど、そのあいだにAudibleの収録やイベントやゲームの収録があって、ずっと『転スラ』という作品に関わっていたんですね。中でもAudibleの存在は、アニメ版第2期に向けて心構えをすることができたので、とてもありがたかったです。

――そうなんですね。リムル役になってからは間が空くことなく……。

岡咲:そうなんです! ずっとリムル!! ずっとリムルを演じさせていただいてもらっています。『転スラ』はいろいろな展開があって、本当に楽しいです。

――サラリーマンの三上悟が転生したリムルというキャラクターの、どんなところに魅力を感じていますか。

岡咲:私は、リムルが変化していくところが、好きなんです。最初は「スライムが主人公なんだ!」って驚きがあって。ぷにぷにしているし、「透明だなんてかわいいなあ!」と思って、彼の見た目が好きだったんですけど、いざ物語を読み解いてみると、見かけの変化だけでなく、内面の変化が素敵だなと思いました。彼は、自分と同じ世界から召喚された女性のシズさんに出会ったとき、シズさんのこの世界に取り込まれたくないという想いを受け入れる。この世界に転生してきたリムルにとって、シズさんの気持ちを受け入れることは、すごくつらいことだと思うんですよ。そこに彼の変化と覚悟を感じました。異世界は壮絶なことが起きている場所ですし、自分から行動を起こさないと、誰も助けてくれない。リムルは自分から行動を起こして、仲間を導いて、力を身につけている。そんなリムルはすごいなと。なんで前世の三上悟さんでいるときは、彼女ができなかったんだろう、と思いますね。

――前世の三上悟さんは37歳のゼネコン勤務のサラリーマン。残念ながら彼女がいないという人物でした。

岡咲:そうなんですよね。彼はすごく心が大きくて、敵として出会ったオークに対しても、オークが飢えに苦しんでいて利用されていた立場だったということを知って仲間にしてあげる。そういう心の広さが、カッコいいなと思っています。主(あるじ)になるべくしてなった人なんだなと思うし、リムルはそこを自覚していないところが好きです。

――自分の器の大きさを自覚していないところが良いんですね。

岡咲:自分がちっぽけで弱いことを自覚していて、迷わない潔さがあるところもメチャメチャかっこいいと思います。どんなことが起きても一旦受け止めて、すぐに「こうしよう!」とみんなを導いていく。その思い切りの良さが、この魔物の国ではリーダーの資質として適しているのかなと思っています。

――そのリーダーの資質ゆえに、第1期でリムルはテンペストという国家を作るところまでたどり着きましたね。

岡咲:「国の主として、ちゃんとしゃべらなきゃ!」というシーンでは、スベッたりするんです。そういうところもかわいい、彼の魅力なのかなと思います。

――リーダーの器を持っていることを自覚していない愛すべきリムルが、第2期で敵に敗れ、仲間の死を迎えます。この彼の変化をどのように演じていきましたか。

岡咲:仲間の死を受け入れるシーンの収録は、ものすごく難しかったです。第1期のアニメの打ち上げのときに、原作者の伏瀬さんやスタッフのみなさんから「第2期は大変だよ、岡咲さん!」と言われていたんです。大変かもしれないけど、リムル役をアニメで演じられるのは自分しかいない。「これはやり遂げなければ!」と、原作を知っている立場としても「リムルの見せ場だな」と思っていました。とくに第30話と第31話で、仲間の死を目の当たりにしたシーンはすごく悩んで。普段はアフレコの前に映像と台本をいただいて、お家で練習してからアフレコに臨むんですが、このシーンの収録をするときは、結局正解がわからないままスタジオへ行きました。お芝居に正解はないものですが、自分の最善の答えがわからなくなってしまって……。

――やっぱり、難しいシーンだったんですね。収録のときは音響監督(明田川仁)さんとやり取りしながら芝居を組み立てていったのでしょうか。

岡咲:明田川さんは収録現場でキャラクターの表情やまわりのキャストさんの演技、音楽とのバランスを総合的に考えて指示を出してくださるんですよね。最初、私は「シオンが死んでしまったということへの怒りと焦り」を感情的にすごく表に出したんです。だけど、現実で本当に仲間を失ってしまったときに、すぐに感情のスイッチが入るかというと、そうじゃないのかもしれない。むしろ感情の動きが止まってしまって、彼は冷静に淡々と考えていくんです。そういう芝居をしたのは、声優人生で初めてでした。明田川さんのご指示に必死に食らいついていって、アフレコが終わった後に「こういうことか!」と。新しいリムルを出会ったような気持ちになりました。第30話、第31話の収録を通して役者として勉強をさせていただけたと思っています。

――あのシーンでリムルはモノローグとして「涙一滴すら流れない。ああ、俺は心から魔物になったんだ」とつぶやきますよね。

岡咲:明田川さんから「淡々とした方向でやってもらえますか?」と言われたときに、私の中の気持ちを切り替えて演じたら、不思議とハマっている感じがあったんです。第1期のときだったら、そういうシフトチェンジはすぐにできなかったかもしれない。第1期からリムルをずっと演じてきて、なおかつ原作コミックス、小説を読み込んできたからこそできたのかな、と思います。リムルへの理解が深まっていたことで、彼の心境に合わせて、どんな声色・どんな声量・どんな距離感・どんな色づきの感情になるかをイメージして、瞬時に切り替えることができたのかもしれないです。そうやって瞬時に対応できたことが嬉しかったです。

――リムルはヒナタ・サカグチに負け、シオンの死を知る。それでもリムルは凹んでいない。そのリムルの強さが、岡咲さんの明るい声と強いお芝居によって表現されていましたね。おかげで「リムルだったらこの状況をなんとかしてくれる」という希望が感じられました。

岡咲:自分はずっとリムルを自らの身体に宿して、収録に臨んできたので、ごく自然なことだと思っていたんですが、そうやって感想を聴かせていただくと、たしかにそうだな、とあらためて思いますね。リムルって、根拠はないけれど、すごくポジティブなんですよね。そこが彼のリーダーシップにつながっていると思いますし、同時に圧倒的な主人公感が出ている部分でもあると思います。私もリムルを頼もしく思っています。

転生したらスライムだった件 第2期

転生したらスライムだった件 第2期

転生したらスライムだった件 第2期

転生したらスライムだった件 第2期

「リムルの明るさ」を多くの方に受け入れていただけたのかなと思います

――『転スラ』は原作コミックス、小説、アニメともに大人気の作品です。その反響の大きさをどのように受け止めていますか。

岡咲:『転スラ』は大人だけでなくて、小学生、中学生の方々も楽しんで読んでくださっているそうなんです。アニメ化することになったときに、小説で読むとけっこう複雑なお話なので、大人が楽しむアニメ作品になるのかな、と最初は思っていました。ところができあがった第1話を観たら、すごく見やすい。スライムのかわいらしさや、絵のタッチ、アクションのカッコよさ、いろいろな要素があったと思うんですけど、やっぱり「リムルの明るさ」を多くの方に受け入れていただけたのかなと思います。そういう若い方々にも支持されているのは、とても嬉しいですね。

――岡咲さんご自身が、この『転スラ』の異世界に転生したら、どんな人生を送ってみたいですか?

岡咲:リムルみたいに「大賢者」と「捕食者」のスキルを持って転生する人はものすごく珍しいケースだと思うので……。いやー、あの世界は過酷だからなあ……あんなにポジティブに生きていけないだろうなあ。もしリムルがいたら、すぐにリムルの仲間に入れてもらって、いちゴブリンくらいの生活を送りたいです(笑)。それで「リムルさま~わーいわーい!」と、愉快な仲間になれたら良いなと思います。あと、転生するならドライアドになりたいですね。魔物としての力もすごく高いですし、森のみんなが尊重していて、ドライアドを攻撃しようとする勢力もいない。見た目もすごくかわいいですし、乙女心をくすぐられますね。

――転生したあとにも、この人と一緒にいたいと思える、欠かせない仲間は誰ですか?

岡咲:うーん……すごく考えて、どうしてもふたりいるんですけど、まずは「大賢者」です。リムルも「大賢者」がいなかったら、たぶんとっくにダメになっていたと思うんですよ。「大賢者」はこの世界を熟知している存在ですから、彼女の存在はマストで。あとはランガ(牙狼族)ですね。あの忠誠心とモフみがたまらないです。寒い時もつらい時も、きっと温かく包んでくれるので、寂しくないと思います。強烈な愛がありますから。

――「大賢者」とランガは、リムルにとっても大事なふたりですよね。

岡咲:そうですね。「大賢者」役の豊口(めぐみ)さんとランガ役の小林(親弘)さんは、第1期、第2期でたくさん一緒にアフレコをさせていただきました。常に私のそばにいてくださって、収録の合間も一緒にお話をさせていただきました。だから、やっぱり、いつもそばにいてほしい存在です。役者としてもお二方とも大先輩なので、私が悩んでいるときは「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスもしてくれました。「ここは良かったよ」と励ましてくれて、私のテンションをあげてくださって、お二方とも私のメンタルサポートまでしてくださっていたんです。

――豊口さんの「大賢者」役は感情を抑えた機械的なセリフが印象的です。きっと、豊口さんも収録ではご苦労されていたのでは?

岡咲:いやあ、難しい役どころですよね。でも「大賢者」も劇中で少しずつ変化をしているんです。これから雰囲気が変わりそうな展開があるので、すごく楽しみです。

――小林さんは、まさかの動物役ですよね……。

岡咲:ランガは吐息の芝居がたくさんあるんですけど、最初から、すごく丁寧に演じていらっしゃいました。最近はこんな声が出るの?くらいの熱量で、リムルを愛してくれています。第2期でもヒナタと戦ったあと、勝てなかったリムルに「状況は分かりませんが主の勝ちと言っても過言ではないと思います」と言ってくれて「なんていいワンちゃんだ!」って思いました。

転スラ日記
TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』 4月6日より、TOKYO MXほかにて毎週火曜23:00~放送開始 (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

リムルの「男としての顔を見せる」が、私の目標

――『転生したらスライムだった件』第2期の第1部が終わったあと、スピンオフコミック『転スラ日記』のアニメがオンエアされます。『転スラ日記』の様子はいかがですか?

岡咲:『転生したらスライムだった件』の本編とは、ぜんっぜん雰囲気が違うんです! 同じ作品で同じ場所、同じキャラクターが出てくるんですけど、こんなにも印象が違う描き方ができるんだな、と感心してしまうくらい、ほんわかまったりとした時間が流れています。時系列としては、テンペストが建国されて戦いが始まる前の日常で、絵のタッチもゆるーくなった感じがあって、かわいらしいんです。『転スラ日記』では、前世のことを思い出すシーンがたくさんあるんですよ。(三上)悟さんは転生してこの姿(スライム)になって、この世界を楽しんでいるんだけど、やっぱり前世を思い出すことがあって。ゆるくはあるけれど、本編とは違ったドラマが楽しめると思います。

――『転スラ日記』のアフレコはいかがですか?

岡咲:『転スラ日記』のアフレコは肩の力を抜いて、遊ぶところはとことん遊びながら収録していました。本編からの振り幅はすごく大きかったので、私のテンションは昂ったり、ふんわりしたり、すごく大変でした。『日記』の収録が始まったときは、すごく肩の荷が下りたんですけど、『日記』の収録が終わったあとには……本編の第2期後半のアフレコに入ったので、またテンションをあげて頑張っています。

――『転スラ日記』のあと7月からは、本編第2期の第2部が始まります。

岡咲:第2期のスタートから約9カ月、みなさんを惹きつけて離さないシリーズになると思います。スタッフのみなさんの覚悟を感じますよね。リムルはもともと人間が好きだったから、テンペストの仲間たちに「人間を襲ってはいけない」と言ってしまったんですよね。テンペストの仲間たちは、それを守って人間たちに反撃しなかった。リムルはそれを悔いて「仲間を守るためには、自分の考えを曲げることも、切り捨てて犠牲を出すことも必要なんだ」と気づいた。まさにターニングポイントだったと思いますし、彼は1万人以上を殺すという選択肢を選んでしまったので、ここからは魔王として、リムルが突き進んでいく姿を見ていただきたいです。

――第2期第2部では、リムルもテンペストも大きな変化を迎えることになりそうですね。

岡咲:第2期は一貫して、リムルの「男としての顔を見せる」が、私の目標なんです。リムルは無性別なキャラクターですが、第1期ではかわいくて面白かったリムルが、第2期ではみんなを守るために凛々しくカッコよくなっていく。作画においても、まなざしの力強さを描いてくださっているので、そこに食らいついていけるような声のお芝居を目指したいと思っています。魔王になったリムルの圧力、迫力みたいなものを出していきたいです。

――岡咲さんにとって初主演作となる『転スラ』がこうして長期のシリーズになることには、どんな想いがありますか。

岡咲:本当にありがたいです。リムルが成長するのにあわせて、私も一緒に『転スラ』で成長させていただいています。役者としても成長させてもらっていますし、イベントに出させていただいたり、雑誌の取材撮影、グッズの紹介、ゲームのコラボ、声優さんがやっていらっしゃるお仕事を、ほぼ『転スラ』を通じてデビューさせていただきました。海外にも行かせていただきましたし、人間としても育てていただいています。私が声優になってやってみたいキャラクターが、男の子と人外だったんですよ。

――夢が叶いましたね。リムルはスライム(人外)ですし、男の子みたいなキャラクターでもあるし。

岡咲:そうですね。リムルは性別がないとはいえ、ボーイッシュなキャラクターなので、夢が叶いました。あと、もうひとつの夢は、子どもに夢を与えられるアニメに出たい、です。私も毎日、学校に通う元気をアニメからもらっていて、中学生のころから声優を夢見てきたんです。その夢も『転スラ』で叶いました。自分が声優としてあこがれていたこと、やってみたかったことをたくさん叶えてくれた作品なので、本当にこの作品に巡り合えて嬉しいです。これからも、リムルに全力を注いでいきたいと思います。

TVアニメ『転生したらスライムだった件』公式サイト

取材・文=志田英邦