塩の専門家が教える「おうちテラピー」 「塩」を使えば、おうちでカンタンに美しく健康になれる?《インタビュー》

食・料理

公開日:2021/10/30

 秋から冬へと移り変わる頃は、空気が乾燥して肌がカサカサしてきたり、手足が冷えたり、代謝が悪くなったりと、なにかと身体や心に不調が表れやすくなるものです。

 さらに、年末に向かって忙しくなるためにイライラしたり、朝起きてもしばらくの間ぼーっとしてしまったりといった症状に悩まされることもあるのではないでしょうか。

 こうした症状は、「塩を適切な量、体内に摂り入れることで改善できる」と、塩の専門家である青山志穂さんはいいます。

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 そこで、このたび青山さんが上梓した『免疫力を高める 塩レシピ』(あさ出版)より前回の「おすすめの塩レシピ』に引き続き、今回は「塩」を使った美容・健康法こと、おうちテラピーについてお話しいただきました。

――「塩の専門家」として様々な「塩」の活用法をアドバイスされていますが、私たちは日々の生活の中で、どのように「塩」を活用すればよいのでしょうか。

青山志穂さん(以下:青山):「塩」は様々なシーンで活用できます。まずは食事です。私たちは、食べたものから様々な栄養を吸収し、パワーを得て、生命活動を行います。地球上に初めて生命が誕生したのは海の中です。進化の過程でその海を体内に閉じ込めることで、私たち人間は陸上で生活できるようになりました。つまり、人間の身体にとって、塩は欠かせない存在です。だからこそ、自分にとって必要な塩分量を把握し、意識して摂り入れる必要があります。

 自分にとって必要な塩分量は、塩分濃度0.9%の塩水を飲むことで推し測ることができます。

「おいしい」「味を感じない」という時は塩分が不足している状態なので、意識して塩分を多く摂り入れましょう。「しょっぱい」「塩辛い」という時は塩分が十分足りている状態なので、意識して塩分は控えめにして、生野菜や果物を多く含む食材を多く摂り入れたメニューにしましょう。

――塩分を意識して食事で摂り入れるのはなかなか手がかかるように思うのですが、何かコツなどありますでしょうか。

青山:オススメは、ご飯を炊くときに「にがり」を入れることです。

「にがり」は、塩の結晶の中に入りきらなかったマグネシウムとカリウムを主体としたミネラルの濃縮液なので、多くのマグネシウムが含まれています。液状なので、日々、ご飯を炊くときにちょこっと足すだけでOKなので、簡単にミネラル補強ができます。

特別公開レシピ
にがりを足すだけでふっくらつやつやごはん
※食塩相当量0.02g

材料3人分  
米…3合/水…650mℓ/にがり…小さじ1

作り方
1 米をとぎ、水に30分漬け浸水させる。
2 水を切った米、水、にがりを炊飯器に入れて炊く。

――『免疫力を高める 塩レシピ』では、塩を活用した健康・美容法も多く紹介されていますよね。これからの季節にオススメのものをご紹介いただけますでしょうか。

青山:空気が乾燥してお肌がカサカサになりがちの秋冬はとくに、塩マッサージがオススメです。既製品を活用いただくのもいいですが、自分で作るのもオススメです。塩に含まれる、硫黄、マグネシウム、鉄といったミネラルには、肌の汚れや皮膚を取り除いたり、においをケアしたり、といった効果があります。

 マグネシウムを多く含むできるだけ結晶の細かい塩を選び、水を混ぜてヨーグルトくらいのかたさのペースト状にしたら、あとはやさしく円を描くようにマッサージしていきます。

「強くもめば、脂肪が溶け出してやせる」といった都市伝説もあるようですが、残念ながらそうした効果は塩にはありません。肌を傷めないように、やさしくやさしくマッサージをしてください。あとはしっかり洗い流してボディクリームでスキンケアを行えば保湿もできてカサカサしらずで過ごせますよ。

――『免疫力を高める 塩レシピ』では、たくさんの塩、そして、塩グッズを紹介されていましたね。

青山:はい、151種類の塩や、塩でできたグッズを紹介させていただきました。日本では、今、2000種類もの塩を手に入れることができます。それぞれ味も違いますし、色や形状も違います。形状が違うと食感が変わるので、料理の楽しみ方の幅が広がります。

 よく、「どんな塩を持っておくといいのでしょうか?」とご質問をいただくので、これから塩を買う場合の参考になればと、日常のごはんに使用するうえでオススメの塩をかなり厳選して紹介させていただきました。

 まずは「『基本の5種類*』をそろえていただき、それから個性の強い塩など、持っていないタイプの塩にチャレンジしていただくといいでしょう。また、ぜひ、フレークタイプの塩にチャレンジいただきたいです。ピラミッド型をしている塩で、シャクシャクとした食感があり、粒状の塩を使用する時とはまた違った楽しみ方ができます。

 また、これから年末に向けて、クリスマスプレゼントやお歳暮などといったギフトで何を贈るか悩まれる人もいらっしゃるのではないでしょうか。おしゃれな塩を贈ると、結構喜ばれます。ギフトにオススメの塩などもご紹介しているので、参考にしてみてください。

*「基本の5種類」とは、魚、肉、野菜、米といった普段の食事に使用する食材に合うもの&オールマイティなものを指す。詳細は『免疫力を高める 塩レシピ』にて紹介しています。

フレークタイプの塩

――最後に読者の方へのメッセージをお願いします。

青山:良質な塩はミネラルの塊です。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、人が生きていくには欠かせない「必須ミネラル」が多く含まれています。ミネラルは体内に溜めておくことができないため、毎日必ず摂取する必要があります。

 適度な塩があってはじめて、私たちは健康を保ちながら生きていくことができます。

 楽しくおいしく健康的に「適塩生活」を実践していただきたいですし、周りにもひろめていただけたらうれしいです。

――貴重なお話をありがとうございました!

青山志穂(あおやま しほ)
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会 代表理事

 東京都出身。慶應義塾大学卒業後に総合食品メーカーに勤務。商品開発部門に従事していたが、激務で体調を崩したため退職。療養のために移住した沖縄で塩の専門店「塩屋」を営む(株)パラダイスプランに出会い、転職。日々の業務の傍ら、産地の訪問や塩の研究を進めていく中で、世間に広がる塩に対する誤解や不理解を改善したいという気持ちが強くなる。

 2012年、想いが講じて、塩の正しい知識の啓蒙を目的とした(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げ、独立。国内外での講座やセミナーのほか、塩に関する商品開発や販売店の商品セレクト等のアドバイザーとしても活躍。塩を基軸とした地域活性化も手がける。訪れた製塩所は国内外合わせて延べ400カ所以上。自宅には1800 種類以上の塩コレクションが並ぶ。著書に『日本と世界の塩の図鑑』(あさ出版)他がある。

『免疫力を高める 塩レシピ』(あさ出版)
「塩」を上手に使って、健康的な体をつくろう!
塩が足りないと、身体のさまざまなところにダメージが出てしまい、免疫力が低下する。だからこそ、適正な質の、適正な量の塩を摂る「適塩生活」が大事。いま、注目の「塩」の働きをきちんと理解し、生活に取り入れることで免疫力を高めるレシピ&健康・美容に役立つ知識を紹介した1冊!

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