【泣けるマンガのシーン4選】『BLUE GIANT』『死役所』など、とにかく涙活したい時におすすめなのはこれ!

マンガ

公開日:2023/6/4

 皆さんは映画『BLUE GIANT』をもうご覧になったでしょうか。言わずとしれた人気ジャズ漫画のアニメ映画版です。今年の2月に公開され、なんと現在興行収入10億円を突破。主人公の宮本大とその仲間たちが織りなす熱い友情に、筆者の周囲では「めちゃくちゃ泣いた」という声が溢れています。もちろん映画だけでなく、原作もめちゃくちゃ泣けます。読み返しては何度熱い涙を流したことか。そんなふうに泣ける漫画って、なかなか出会えるものではないですよね。

 そこで今回は、漫画の泣けるシーンだけを独断でピックアップ。「ピンポイントで泣きたい」というときに活用してみてください。

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●偉大な指導者との感動の出会い『BLUE GIANT』

BLUE GIANT EXPLORER
BLUE GIANT EXPLORER』(石塚真一/小学館)

 まずはやっぱりこの作品から。泣けるシーンは山ほどあるのですが、ここではアメリカを舞台にした第3部『BLUE GIANT EXPLORER』(ブルージャイアント エクスプローラー)5巻から、スティーブ先生の代行レッスン回をご紹介します。

 ニューメキシコ州アルバカーキまでやってきたものの、絶望的な金欠でいきなりピンチの大。そこで病気で入院中だというスティーブ先生の代わりに、レッスンの仕事を引き受けることに。クセ者揃いの生徒たちに悪戦苦闘する大でしたが、やがて彼らの共通点に気が付きます。それは彼らが皆、スティーブ先生をとても尊敬しているということ。

「ジャズは今を燃やす音楽だ」
「失敗なんて一つも恐れちゃダメ」
「音楽をやるってのは世界に愛を与えることだ」

 生徒たちを通じて大もまた、スティーブ先生のレッスンを受けていたのです。そしてついに初対面の日。スティーブ先生は大の手を強く握り「ずっと前から君を知っているよ」「とんでもないプレーヤーが私の生徒達を教えてくれていたね」と声をかけます。「こちらこそ、お会いできて光栄です…」「はじめて会った気がしません……」と感極まる大。このシーン、なぜかわからないけどすごく泣けます。思わず大につられて涙してしまうはず。優れた指導者はこうも偉大なのかと思わせてくれるエピソードです。

●自分のお母さんの声で脳内再生される『アオアシ』

アオアシ
アオアシ』(小林有吾/小学館)

 Jユースを舞台にした大人気サッカー漫画『アオアシ』。主人公の青井葦人(アシト)が、現役高校生でのプロ入りを目指し奮闘する物語です。

 愛媛県にある弱小サッカー部でFWをしていたアシトは、元日本代表選手・福田達也に誘われてJユースに入団します。“天才FW”を自称し、得点を決めることに命を懸けるアシトでしたが、6巻ですべてがひっくり返るのです。

 ある試合後、福田に呼び出されたアシトはそこで、「DFに転向しろ」という非情な通告を受けます。世界一のFWになることが夢だったアシトにとって、DFになることはすべてを否定されるのと同じでした。

 友人の花がアシトを連れ出しますが、あまりのことにショックを隠せないアシト。見かねた花は、ある人物に電話をかけ、無理やり声を聞かせます。電話の相手はアシトの母・紀子でした。驚きで声の出ないアシト。しんどいときに聞くお母さんの声ほど泣かせるものはありません。恐らく全読者が号泣した名シーンです。

●死ぬ前にされてた1つのこと『死役所』

死役所
死役所』(あずみきし/新潮社)

 此岸と彼岸の境界に存在する“死役所”。さまざまな理由で命を終わらせた死者たちが集まり、「自分の人生とはなんだったのか」を振り返っていく物語です。1話から数話完結のエピソードで構成されており、14巻の第64条「死んでからしたい10のこと」では、17歳の女の子・爽朝(そあ)が主人公です。

 生きていた頃は寝たきりだった爽朝ですが、死役所では歩けるように。そこで爽朝は“死んでからしたい10のこと”を紙に書き出します。階段の上り下りや縄跳び、キャッチボールなど、生きていた頃の夢を1つずつ叶えていく爽朝。しかしふとした拍子に家族のことを思い出し、寂しさから泣き出してしまうのです。

 そんな爽朝に成仏課のハヤシは声をかけかます。「爽朝ちゃん お父さんみたいにだっこしてあげようか?」「最後は死ぬ前にされてた1のこと とか言って」。

 生きていた頃の夢をどれだけ叶えたとしても、最後に望むのは家族との思い出。家族の愛情を一身に受けていた爽朝の人生を振り返るシーンは、あっさりしているのになぜか泣けて仕方ない。読んだあとは家族に電話したくなります。

●中年男の言葉にならない涙『俺はまだ本気出してないだけ』

俺はまだ本気出してないだけ
俺はまだ本気出してないだけ』(青野春秋/小学館)

 漫画家を目指す大黒シズオ・40歳。周囲に呆れられながらも必死に夢を追い続けるシズオを描いた作品です。基本はコメディなのですが、5巻は違いました。

 シズオの幼なじみ・宮田修(おさむ)は、離婚した元妻と暮らしている息子に、美味しいパンを食べさせるのが夢。そのために脱サラしてパン屋をオープンさせました。

 ところが宮田の元妻が再婚し、息子を連れてアメリカに引っ越すことに。「息子のためにももう会わないでほしい」と元妻から告げられてしまいます。絶望した宮田は遺書を残して失踪。山で命を絶とうとしますが、失敗してシズオのもとへと帰ってきます。

「死ねなかった」と言う宮田。シズオは宮田に声をかけようとするのですが、その瞬間、号泣。普段は腹が立つほど図々しいシズオが、言葉にならないくらい泣きます。宮田の切なさも相まって、涙が止まらないシーンです。

 この記事を書くにあたり、一つ一つ読み返しましたが、全作品でやっぱり泣いてしまいました。とにかく漫画を読んで泣きたいんだという方、どうぞ一緒に泣きましょう。

文=中村未来

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