とあるマンガ家が海賊版サイトに職を奪われ飯が食えなくなった件。

社会

2018/5/3

©阿東里枝
(※このストーリーはフィクションです)

 人気マンガなどをマンガ家や出版社に無断でネット上に載せ、サイト来訪者に無料で読ませる「マンガ海賊版」の問題が深刻化。2018年4月に入り、政府が「ブロッキング」を認める方針を決定。これに対し、大手出版社は緊急声明を出し賛同しているが、一方で法的根拠がないなどと反対意見もあがっている。
 冒頭で紹介したストーリーはフィクションとはいえ、単行本が売れてこそのマンガ家にとって、「マンガ海賊版」の横行は、死活問題だ。このままでは、最終的に読者の私たちがマンガを読む機会を失ってしまうかもしれない。
 ダ・ヴィンチニュースは、「STOP! マンガ海賊版」をテーマに特集していく。

■「海賊版サイトのブロッキング」は何が問題? 揺れるマンガ海賊版サイト対策

 政府が4月13日に「短期的な緊急処置としてのサイトブロッキング」を認める方針を決定したことが、出版業界だけでなくIT業界や法曹界も巻き込んだ議論を巻き起こしている。

「海賊版サイトをブロック(アクセスできなく)する」ことの何が悪いのか? と読者は思うかもしれない。マンガ家はじめクリエイターの努力の結晶である作品を盗み、そこから違法な利益を得る海賊版サイトの存在はどんなことがあっても許せるものではない。

 しかし「今回のブロッキングの決定過程には大いに問題があり、役人の仕事としては失格だ」と厳しく指摘するのは、国際大学GLOCOM 客員研究員の楠正憲氏だ。なぜなのか? そして、クリエイターと読者が求める本当の「対策」とは?

■「最大の被害者は実は読者自身」海賊版サイトがマンガ誌に突きつける課題とは?

 海賊版サイトに関するニュースを目にし耳にする機会が増えた。その被害額は500億円ともいわれ著作権が侵害されていることは疑いようがないが、運営者が特定できず摘発が難しかったり、摘発後も同様のサイトが次々と生まれたり、いたちごっこが続いている。

 なぜこんな状況になってしまっているのか? これが続けばマンガはどうなってしまうのか? 出版業界はこの問題にどう対応すればいいのか? 既に映像や音楽の世界では横断的な定額サービスが普及しているが、はたして…? いくつかのポイントに分けて考えたい。

■アニメ業界は海賊版にどう対抗? 吉田尚記アナ、アニプレックス執行役員に聞く!

 数多くの日本のアニメ作品が世界的にファンを増やし、市場を発展させていくなかで大きな問題となっている海賊版ビジネス。日本アニメ産業はこの問題にどのように対抗していくべきなのか。ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏、マンガ・アニメ海賊版対策協議会事務局長・桶田大介弁護士が、アニメ製作大手・アニプレックスで海外事業展開・ライツ部門を手がける後藤秀樹氏に聞いた。

吉田:海賊版対策として正規の映像配信の利便性をもっとアピールするキャンペーンがあってもいいのではないでしょうか。日本でも海賊版サイトで視聴している人は子どもを含めていっぱいいますよね。

後藤:そこはきちんと各社が足並みを揃えて、マンガ・アニメ海賊版対策協議会でも情報共有や知見の交換をして対応していく必要がありますね。そして、もうひとつ大切なことは私たち作品の作り手とそれを楽しむファンとの距離をどう縮めていくかということです。

■違法サイトにどう対抗?『ドラゴンボール』鳥嶋さん、マンガ好き吉田尚記アナの答え

 違法にアップロードされたマンガをインターネット上に公開する海賊版サイトの横行が、出版業界に深刻な被害をもたらしている。海賊版サイトはどのような悪影響を与えるのか。そして、読者は何ができるのか。かつて『ドラゴンボール』などの担当編集だったことでも知られる鳥嶋和彦氏(現・白泉社代表取締役社長)、吉田尚記氏、桶田大介弁護士に語ってもらった。

鳥嶋:まず、マンガ家という仕事について知ってほしいですね。マンガ家は生活できるようになるまでに、とても時間と労力がかかる厳しい技術職なんです。鳥山明さんでも2年ぐらいかかりました。連載が始まって原稿料が出るまでは基本的にマンガでは無収入です。しかも、連載中の原稿料はほとんどアシスタント代で消えてしまうので、それだけでは食べていけません。マンガ家さんの生活はコミックスが売れることで、なんとか成り立っているんです。

 そもそも出版社として「どんどん新しくて面白いマンガを出していきます」ということが前提になっていないと「海賊版サイトで読まないで」といえません。

※マンガ家赤松健氏インタビューも近日掲載予定