父親からの性的虐待、母親は見て見ぬふり… 毒親が登場する漫画まとめ

アニメ・マンガ

2018/10/21

 最近、すっかり名称が浸透してきた「毒親」。親は一般的に子どもと接する時間が長いため、その存在は、子どもの人格形成や人生に大きな影響を及ぼし得るだろう。

 本稿では、そんな毒親が出てくる漫画を5つ選んだ。それぞれに違ったタイプの毒親だが、みなさんがイメージするのはどの毒親に近いだろうか。

■異常に自己評価の低いネガティブ女子を救うのは…?

 はじめにご紹介するのは、『きみが心に棲みついたS』(天堂きりん/祥伝社)。主人公の小川今日子は、異常に自己評価の低いネガティブ女子。挙動不審ですぐにパニックになるため、ついたあだ名は「キョドコ」。下着メーカーで働く今日子は大学時代からの想い人・星名に職場で再会する。かつて星名は今日子に「そのままでいい」と言ってくれたが、彼は今日子を支配し、ひどく傷つける男でもあった。

 今日子の母親は、妹とは仲良く話すなど、普通の母親として接しているが、姉の今日子に対しては態度が一変。「あんたのその嘘くさい笑顔ほんと嫌」「イライラするわ」と言い放つ。これでは今日子の自己評価が低いのも納得してしまうが、恋愛にもがく中で、今日子がどう変わっていくのか、見ものだ。

■『惡の華』の押見修造氏の最新作は究極の毒母!

 まさに毒母がテーマそのものとして描かれている作品が、『血の轍』(押見修造/小学館)。『惡の華』『ハピネス』『ぼくは麻理のなか』など、傑作を次々と世に送り出してきた鬼才・押見修造氏の最新作だ。

 中学2年生の主人公・長部静一は、母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、一見平穏な日常を送っていた。しかし、ある夏の日に静子が起こした事件をきっかけに、穏やかな日常は激変していく。独特の静けさに包まれている母子の関係には深い闇が見え隠れし、なぜか読んでいてゾワゾワしたり、ゾッとさせられたりする。その世界観に引きずり込まれることだろう。

■父親からの性的虐待、知らんぷりの暴力的な母親…救いはどこにある?

『愛と呪い』(ふみふみこ/新潮社)は「毒親」の領域を超えるほどの両親や歪んだ家族・社会の中で生きる主人公・愛子の、途方もなく救いのない物語だ。舞台は90年代の日本。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件…時代は終末の予感に満ちていた。

 物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待。知らんぷりの暴力的な母親。宗教にのめり込む家族やクラスメイトたち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺してほしかった…。暴力的な生きにくさとたったひとりで向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びていくのか。

■女の子の友情が毒親を軽々と飛び越える!

 次にご紹介するのは、2014年にWEB上で公開され始められるや、各界著名人の称賛を浴びるなど瞬く間に話題を呼んだ『岡崎に捧ぐ』(山本さほ/小学館)。作者と、実際の幼馴染み・岡崎さんとの一風変わった友情を描いた“超プライベート”な歴史が丹念に描かれている。

 岡崎さんの家は少し特殊な家庭で、小学生の頃に作者が遊びに行くと、まずパンツ1枚のお父さんが出てくる。その後ワインを片手にお母さんが登場するが、出された晩ご飯はマカロニを茹でただけのもののみ。「大人になってよく考えてみると、岡崎さんは育児放棄(ネグレクト)されていたと思う」と作者は語るが、ふたりは子ども特有のテンションで格差を軽々と飛び越え、友情を育んでいく。その姿はとても清々しく、美しい。

■ひたすら空気を読んでいた自分と決別し、人生をリセットできるのか!?

 最後にご紹介するのは、『凪のお暇』(コナリミサト/秋田書店)。28歳の主人公・大島凪はキラキラOLの中でひたすらに空気を読みながら、人の仕事まで引き受けて働いていたが、他人に合わせてばかりで無理した結果、過呼吸で倒れてしまった。仕事をやめて、都心の2LDKのマンションから郊外の6畳1間に引っ越し、1時間もかけてクセ毛をサラサラストレートに伸ばすのもやめた。元手100万円の、人生リセットコメディだ。

 凪は見ているこちらが辛くなってきてしまうぐらいに受け身で、他人に合わせてしまうところがあるが、それは母親との関係が影響しているからだろう。

 さらに、凪だけではなく完璧に見えた元カレの家も仮面家族として描かれ、両親の接し方が子どもの性格に大きな影響を与えるということがよく分かる作品だ。

 いかがだっただろうか。タイプは違えど、本稿で挙げた5つの作品はどれも、毒親や家庭環境が子どもの人格や生き方に大きく影響し得るということが分かる作品だ。そしてどの人物も、その過去を背負い、闘いながら生きている。

 登場人物たちと自分の過去を比較して思いを馳せてみるのも良いし、これからの未来、自分が毒親にならないようにするためにも間違いなく参考になるはずだ。とは言っても、どの作品もとてもおもしろくスラスラと読めるので、まずは気軽に手に取ってみてはいかがだろうか。

文=山田麻也