紙からあふれるシズル感…! 思わずよだれが出てくる”絶品”グルメ漫画【作ってみた】

食・料理

2017/9/20

『真夜中ごはん』(イシヤマアズサ/宙出版)

 いまや一大ジャンルとなったグルメ漫画。さまざまな切り口の作品が数多く存在していて、レシピの参考にしたり、作中に登場したお店を実際に訪れたりと、楽しみ方もいろいろだ。しかしだからこそあえて言いたい。グルメ漫画の真髄はとにかく「料理がおいしく見えるかどうか」というシンプルなものである、と。

 その真髄をあますことなく体現しているのが、イシヤマアズサさんが上梓した『真夜中ごはん』(イシヤマアズサ/宙出版)。2015年の初版から、多くのグルメ漫画ファンの間でじわじわと人気を集め、この度「料理レシピ本大賞2017」コミック賞を受賞した作品だ。同賞は、書店員や料理専門家からなる選考委員によって「作りやすくておいしいレシピが掲載されている」と評価されたレシピ本に送られるもの。つまり『真夜中ごはん』のレシピを再現したときのおいしさはお墨付きということだ。

 しかし何度も言うようだが、本書の一番の魅力はそのすばらしいレシピの数々ではない。著者のイシヤマさんが描くシズル感たっぷりのイラストなのだ。

(c)イシヤマアズサ/宙出版

 ごはんから立ち上る湯気、サクッという音が聞こえてきそうなコロッケの衣、とろっとしたたまごの黄身、つるんとしたわらび餅……。もしかしたら本物よりおいしく見えるかも、というほどの料理イラストが満載で、ページをめくっているだけで、ついついよだれが「じゅわっ」と。自分は漫画を読んでるんだっけ? それとも料理を食べてるんだっけ? と、一瞬混乱してしまうような、めくるめく食の世界。

(c)イシヤマアズサ/宙出版

 それから「夜食」というテーマもなんともにくらしい! 思い立ったらぱっと作れるレシピばかりだし、取り上げられているうどんや雑炊といったメニューは、夜中に食べるとおいしさが倍増する気がする。『真夜中ごはん』はもちろん、どんな時間帯に読んでも楽しめる作品だが、深夜に読みだしたらとにかく“ヤバい”。筆者も気付いたら自宅の冷蔵庫をあさっていたし、足りない食材を買いにコンビニまで足を運んでいた。ここで、実際に筆者が作った「真夜中ごはん」を紹介しよう。

■たまごかけうどん

 本書で紹介されているように、冷凍うどんを電子レンジで解凍して作った。あとはめんつゆ、ごま、ねぎ、たまごをかけるだけ。たった5分でこんなにおいしい料理が作れるなんて……! これから毎日夜食がはかどりそうだ。しかも電子レンジで解凍したからこそ、うどんのもちもち感が倍増している気が。夜食はもちろん、忙しい朝にももってこいのメニューだと感じた。

■クリームコロッケサンド

 魅力的なメニューが並ぶ本書のなかで、正直一番心惹かれたのがこの「クリームコロッケサンド」だった。深夜に食べるにはものすごい背徳感があるが、だからこそよりおいしく感じるもの。本書ではレタスを使っていたがコンビニでは手に入らなかったので、千切りキャベツで代用した。シャキッ、サクッ、トロッ、フワッというおいしさの四重奏。……絶品だった。

 紙からあふれ出るようなシズル感と、すぐにでも試したくなる手軽なレシピ。本書を読みはじめてから、たぶん2、3kgは太った気がするが、口のなかが幸せだからまあよしとしよう。本書を手に取るときは、多少の増量は覚悟しておくことをおすすめする。

文=近藤世菜