水木しげるが足繁く通う「青い店」の正体とは

マンガ

公開日:2013/5/10

 NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』が大ヒットし、作品だけでなくその人柄にも注目されるようになったマンガ家・水木しげる。『ダ・ヴィンチ』6月号では、今年91歳を迎えて作品全集の刊行を開始する水木しげるを大特集。一番身近で“お父ちゃん”を見守ってきた、ゲゲゲの女房こと布枝夫人と次女の悦子さんに、ありのままの水木しげるの姿をインタビューしている。

――夫婦喧嘩はあるのでしょうか。

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【悦子】 見ていると最近は喧嘩にならない感じです。喧嘩がはじまりそうになって、お母ちゃんが「ジイカマ」と言うと、お父ちゃんが「ババクタ」なんて、お互い一言だけ悪口を言い合って終わるみたいな。地元の言葉を使った冗談半分の喧嘩ですね。

【布枝】 出雲弁でジイさんやバアさんを卑下した言葉ですよ。

――なるほど(笑)。奥様から見た水木先生は、どのような人物になるのでしょうか。

【布枝】 あくまでも自然体なんですよ。とくに気張ることもないし、まあ飄々という言葉が似合う、本当に自然体の人間です。

――では、水木先生の一日のスケジュールを教えてください。

【悦子】 だいたい10時前には動きはじめます。起こすまで寝ているから。

【布枝】 早く目覚めたときには、本を読んだり、雑誌やチラシを見たりしています。朝の10時頃に食事をとって、それからここ(水木プロ)に向かって出るんです。

【悦子】 自宅から歩くんですけど、会社に来る前に本屋へ寄って、戦艦とか歴史の雑誌を手にすることが多いです。あとは自分の本が売れているかのチェック。本屋を出ると、目の前にあるマクドナルドが気になるらしくて「お父ちゃん、ここに入ろうかな」とか、ポスターを見て「お父ちゃん、これがいいな」なんて、言うだけ言って入らないんです(笑)。母とは何度か入ったことはあるみたいですけど。

【布枝】 コーヒーを飲むだけでした。2回ほどね。

――ファストフード店にいるご夫妻を見てみたい気もします(笑)。すると出社するのは11時くらいですか?

【悦子】 そうです。その後は昔の資料を整理して、昼の1時から2時くらいでお昼ご飯。午後は原稿か、来客の対応をするかですね。会社には5時半から6時くらいまでいます。帰りは寄り道しながら、1時間くらい歩くんです。

【布枝】 帰り道にローソンがあって、そこを主人は「青い店」と呼んでいるんですが、かならずそこで食べ物を買うんです。買い物が楽しいみたいですよ。

【悦子】 この間も大盛りナポリタンを買ってきていたね。でもなんでローソンだけに入るんだろう。帰り道に別のコンビニもあるのに。

――でも店名は言わないんですね。

【悦子】 青い店です(笑)。

 同誌では、悦子さんが激写した水木しげるさんの素のショットとともに、数々のエピソードを披露している。

取材・文=村上健司
(『ダ・ヴィンチ』6月号「水木しげる特集」より)