「○○女子」「女子力」ブームはいつから始まった? キラキラ系とツッコミ系、二極化した女子の勢力図

社会

2014/4/14

 ここ数年の「○○女子」「女子力」といった言葉の流行を見るに、今ほど女性が輝いている時代はない気がする。現代は空前の「女子ブーム」が来ているようだ。一体いつからこの「女子ブーム」は訪れ、一体いつまで続くのだろうか。

 「草食男子」という言葉の生みの親であるライター・深澤真紀氏著『日本の女は、100年たっても面白い』(ベストセラーズ)には「女子ブーム」が起きている現在までの100年間のありとあらゆる「日本の女」の変遷が描かれている。もともと「女子」は「1おんなのこ。むすめ。2女性。おんな。」(『大辞泉』)という意味だが、それが「いくつになってもかわいらしさを忘れない女性」と「女の子」寄りの意味が広まるようになったのは2000年代中頃のこと。深澤氏が2006年「草食男子」(2009年流行語大賞トップテン受賞)と一緒に名付けた「肉食女子」や、マンガ家・安野モヨコの名付けた「女子力」(2009年同ノミネート)などから一気に流行したようだ。その後も「女子会」が2010年同トップテンに「こじらせ女子」が2012年ノミネートになったり、「大人女子」「40代女子」など、多くの派生語が誕生したりすると、「30代、40代のくせに女子などかわいこぶるな」などの批判も生まれた。とうとう『anan(2013年9月4日号)』(マガジンハウス)では、「大人の女性になるために今すべきこと」という特集のキャッチコピーとして、「もう“女子”は卒業です!」と打ち出して話題になったが、それでもまだまだ「女子ブーム」は続きそうな勢いである。

 深澤氏は、今の「女子ブーム」は前提に1980年代の「女の時代」があったことを指摘している。1980年代は、バブル景気と男女雇用機会均等法によって、完全でないまでも、働く女性が増え、彼女たちの選択肢が増えた。女が自らの欲望に気づき始めた時代だったのだ。

 たとえば、80年代・女の時代のスターといえば、林真理子だ。若手女性コピーライターとして注目されていた林は1982年に刊行された『ルンルンを買っておうちに帰ろう』( KADOKAWA 角川書店)が50万部近いベストセラーとなり、一気に有名になった。彼女が「女の時代」の寵児になれた理由は「女の本音を赤裸裸に描いた」からだという。『ルンルン~』の前書きでは、他の女性が決して書こうとしない「ヒガミ、ネタミ、ソネミ」を「言葉の女子プロレスラー」となって書き、これまでの「キレイキレイエッセイ」をぶっこわすと宣言し、多くの女性たちに共感を得たのだ。

 「女の時代」を経て、90年代、「女が女を語り、消費する」(≒批評する)時代となり、女は二極化したらしい。それは、深澤の言葉を借りれば、「モテ」「愛され」など、他者から認められることを重視する「キラキラ系」と、「自虐」「自意識過剰」など、自分で自分にツッコミをいれてしまう「ツッコミ系」だ。キラキラ系は女を楽しむことができ、「モテ」や「愛され」など女性誌のフレーズにも照れはない。一方のツッコミ系は、自分が女として評価されないのではないかと考えすぎてしまう者のことをいう。

 「ツッコミ系」は、90年代から2010年代にかけ、注目を浴びた。マンガ家・倉田真由美の『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)では、自身を含めて、だめ男にひっかかる女性を描いたし、エッセイスト・酒井順子による『負け犬の遠吠え』(講談社)では、30歳以上で結婚せず子どももいない女性を「負け犬」と表現した。マンガ家・ひうらさとるが描いた『ホタルノヒカリ』(講談社)では恋愛から離れている「干物女」が話題となり、AVライター雨宮まみは『女子をこじらせて』(ポット出版)で自分が女子として評価されないのではないかと考えすぎてしまう「こじらせ女子」を語った。

 ツッコミ系は「私なんか男性に相手にされない」と卑下する一方で、「だけど、あんな男はイヤ」「こんな私でも、あの私でも、あの子よりはマシなはず」とプライドが高い一面がある。そのため、キラキラ系に対して、「うまくやっていていいよな」など過剰に敵対視してしまったりもする。

 だが、「キラキラ系」も大変だ。キラキラ系は女性の賞味期限を伸ばし、「美魔女」を誕生させた努力家である。常に女性の厳しい目に晒されながら、「愛され」「モテ」を実践しなくてはならない彼女たちにも悩みは尽きないのだろう。

 時代を彩るのはいつだって女性たちだったのだ。今続いている「女子ブーム」もまだまだありとあらゆる形を変えながら続いていくに違いない。日本の女性は今までも、そしてこれからも、時に二極化したり、批評し合いながらも、輝き続けることだろう。できれば、ダメな女ばかりではなく、キラキラと輝く女ばかりが目立つ時代が来れば良いのだが。

文=アサトーミナミ