高貴なる人々も避けては通れない“縁談”…『李王家の縁談』林真理子さんインタビュー
駐イタリア特命全権公使の父をもち、ローマで生まれたから、イタリアの子という意味で「伊都子(いつこ)」。明仁上皇(あきひとじょうこう)の大叔父である、旧皇族・梨本宮守正王(なしもとのみやもりまさおう)と結婚した梨本宮伊都子を主人公に、皇族のめくるめく結婚譚を描いた林真理子さんの最新小説『李王家の縁談』(文藝春秋)。〈皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は読んだことがない。傑作である。〉と歴史学者の磯田道史氏も絶賛した同作について、林さんにお話をうかがった。
(取材・文=立花もも 撮影=内海裕之)
『李王家の縁談』(林真理子/文藝春秋)
――梨本宮伊都子さんにご興味をもたれたきっかけはなんだったんですか?
林真理子(以下、林さん):もともと、皇族や家族といったやんごとなき方々には非常に興味があって、関連書が出るたび、必ず買って読んでいたんですよ。高松宮妃殿下や継宮妃殿下が書かれたご本とかね。だから、2008年に歴史学者の小田部(雄次)さんが『梨本宮伊都子妃の日記』を出されたときも、当然、手にとったんですけれど、それまで受け取っていた彼女の印象と…