上流階級がボートに乗り込む頃にできあがる「タイタニック角煮」!? 「作り方」の説明が斬新すぎる料理本が話題

食・料理

公開日:2014/5/7

だいち「突然すいません。今日は、お願いがあってきました。」
父「……。」
だいち「鶏もも肉を、僕に一口大に切らせてください。」
父「お前に鶏もも肉は渡さない。」

 なんとこの感動的(?)なストーリーは、ある料理本に載せられたレシピなのだ。「この発想はなかった!」「ドラマ化希望」という前向きな意見から「物語風のインパクトが強過ぎて、レシピが頭に入ってこないwww」という意見まで賛否両論。Twitterで密かな話題だ。その料理本の正体は、『カフェごはん』(山本ゆり/宝島社)。料理ブログ村にて、おうちカフェ部門で1位のアクセス数を誇るブログがムック化されたもので、2014年4月には『syunkonカフェごはんvol.4』が発売された人気シリーズだ。1冊に何個かこんな変わったレシピのページがあるようで、読んでいるだけで面白い。レシピそのものももちろんだが、どんなストーリー展開でレシピがすすんでいくのか気になってしまう。

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 料理本を開いてみると、変わったレシピの数々に驚かされる。「事情聴取レシピ」から「教育絵本レシピ」、「シンガーソングライターレシピ」や「迷惑メールレシピ」までバラエティーも豊かだ。中でもネットで話題なのが、「昔話レシピ」。「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは豚肉にAをもみ込んでいました。」という謎の昔話が始まる。それ以外にも「少女漫画レシピ」では、何やら胸キュンな展開が望めそうだ。

たかし:大きくなったら一緒に春巻きの皮で包もうね。これ、約束のお守り。
あや: なあに? 綺麗な瓶……何か入ってるわ。
たかし:水溶き小麦粉だよ。俺、東京に行っても、あやのこと絶対忘れないから。

 まったく、どのページを読んでも可笑しくてたまらない、おまけに美味しいものが簡単にできてしまうレシピばかりだ。実際に「迷惑メールレシピ」を試してみた。「件名:一億円差し上げますので、大根の皮を厚めにむいてもらえませんか?」というような感じで進むレシピに少し戸惑いながらも、楽しんでいるうちに美味しい料理ができてしまった。「新感覚料理本である。これなら、わたしにもできるかなwwww」「料理本じゃなくて、小説書けよお前www」とネット住民の心を掴むのも頷ける。


迷惑メールレシピで作った
「大根と鶏つくねの煮もの」

 このシリーズには、他にも物語風のレシピがいくつも掲載されているが、それ以外にも変わった調理の方法が記されている。その代表が、「タイタニックレシピ めっちゃやわらかいラフテー」だろう。名前からして「どんな料理?」と疑問に思うだろうが、そのレシピは見る者を驚かせる。

 なんと作り方の最初は、「タイタニックのビデオ(前編)をセットする」こと。その後、豚バラ肉を煮ていくのだが、「ジャックが唾を飛ばして遊んでるシーンで水を足し、ローズが踊り狂ってるシーンで水を足し、ジャックがローズの裸体を描いているシーンで水を足し、船が沈み始め、前編が終了したら、火を止める」。そして、あらゆるフローをこなしていけば、「上流階級がボートに乗り込む頃にできあがり」だそうだ。こんな奇想天外なレシピにネット住民は「素晴らしい! これなら時間を間違えない!」「別の映画でもぜひ煮物を!」「鍋かけたことを忘れそうである」と話題。「ああ、炊いた肉ね」と上手いこと言う奴まで出てきている。だが、後半の重要なところで角煮が完成してしまうため、タイタニックの続きが気になってしまうような…。長時間の料理もこうやって映画でも楽しみながらできたら鍋を火にかけている時間も楽しく過ごせそうだ。

 料理は毎日しなくてはならないもの。時には、「めんどくさい」と感じてしまうことだってある。だが、このシリーズは、そんな料理を楽しく気軽にしてくれる。「どこにでもある材料で、できるだけ安く、誰にでもできる料理」「卵黄5個、生クリーム大さじ1杯など、残りどーすんねーんというのも避けています」と書いてあるようにストーリーレシピに留まらず、他のレシピも作りやすい内容になっている。さぁ、アナタも物語を楽しみながら、簡単レシピを試してみよう!

文=アサトーミナミ