もはやためらっている場合じゃない!? ロマンス小説最前線はエロスと快楽のジェットコースター級!

文芸・カルチャー

2014/5/15

ドラマチックかつロマンチックな恋愛模様が世の多くの女性たちを魅了し、独自のジャンルを築いてきたロマンス小説。実はこのところ、そのロマンス小説の世界に注目の動きがある。「エロティカ」「ホット」などと呼ばれる、過激な性描写を売りにした作品、いわば官能小説に人気が集まっているのだ。

電子書籍の登場で女性も官能小説が買いやすくなったのが人気の原因との分析もできるが、実際には書籍のほうでも人気が高まっている面もある。事実、2013年には複数の出版社から女性向けの官能小説シリーズが立ち上がり、続々と新刊が登場。手に取りやすいキレイめの表紙カバーからは想像もつかないようなディープで過激、時にアブノーマルでエロティックな世界が次々に繰り広げられているのだ。昨今、女性のためのアダルトグッズの開発が進んだという話もあるし、以前よりも女性たちが性に開放的になったのは間違いない。もちろん「自分の欲望に忠実で、なにが悪い!」なわけで、草食時代といわれる現在、男たちを尻目に、女たちは自らに正直に生き始めたのかも。

さて、そんな熱い盛り上がりを受けて、ロマンス小説の元祖・ハーレクインからも超ホットな最新刊『秘密の扉、恋のルールⅡ』が登場する。なにやら意味深なタイトルの通り、禁断の「扉」を開けることがキーとなるアンソロジー集で、最先端の5人のエロティカ作家が、競い合うように刺激的な世界を繰り広げていくのだ。

夜行列車での自慰を秘密の趣味にしていたケイト、セクシーな隣人を覗き見し自分を慰めるコーリー、尊敬する上司から「調教」を依頼されてしまうグローリー、失恋の痛手から立ち直るために欲望をさらけ出すエマ、本当の愛に人生をかけるべきか悩むジーニア……ヒロインの誰もが心の奥に奔放な欲望を隠して生きているものの、ある日、不可避の状況に追い込まれ、はじめて自らの意志で「扉」を開ける勇気を得る。扉の先に広がる濃密でエロティックな快楽に素直に身を委ねたとき、興奮は最高潮に達し、新たな自分、そしてとびっきりの愛という新しい「扉」を開いていくことになる。

ハッピーエンドの結末といい、これまでのロマンス小説のお約束の展開ではあるが、最大の違いはやはり濃密なエロティックさだろう。行きずりの関係や突然の訪問者との交歓など、背徳的なシチュエーションに加え、時にアブノーマルなプレイも含む激しい描写の数々。本全体の3分の2強がエロティックなシーンと、ボリュームも相当なものだ。とはいえ、どの物語もこの上なく甘くロマンチックなのでご安心を。やはり女性作家が女性のために書いたものだけあって、不快感や嫌悪感を与えないどころか、密かに読者に「憧れ」すら抱かせてしまうあぶない魅力に満ちている。なお、この作品の場合には圧倒的なスピード感にも注目したい。バラエティに富んだ短編集のため展開が早く、気がつけばめまぐるしいエロスの世界へどっぷり。まるで快楽のジェットコースター(!)状態だ。

おそらくこの充実感とスピードは官能小説ファンを満足させることはもちろん、官能小説未体験の読者をも否応なしに巻き込んでしまうことだろう。もはやためらっている場合じゃない。ただしその先に、あなたの中の「秘密の扉」が開いてしまうかもしれないけれど。ご用心、ご用心!

文=荒井理恵

『秘密の扉、恋のルール(2)』(エデン・ブラッドリー、イライザ・アダムス、アレグラ・ヴェルデ、エメリア・エルムウッド、ティファニー・ライス:著、仁嶋いずる、中野 恵、北園えりか 紫堂あき、藤峰みちか:訳/ハーレクイン)